ラズガットリオグルが抱えるジレンマ。「まるでドゥカティ・カップ」と性能調整の改善求む/SBK第1戦

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2025年02月25日 21:20  AUTOSPORT web

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トプラク・ラズガットリオグル(ROKiT BMW Motorrad WorldSBK Team)/2025WorldSBK第1戦オーストラリア
 2月21〜23日、スーパーバイク世界選手権(WorldSBK)第1戦オーストラリアラウンドがフィリップ・アイランド・サーキットで開催され、2025年シーズンの幕が開けた。前年度王者のトプラク・ラズガットリオグル(ROKiT BMW Motorrad WorldSBK Team)は、レース1で表彰台を獲得するもレース2ではトラブルが発生し無念のリタイア。トップをドゥカティが占領していることや性能調整の方法が変わったことにおいても不満を漏らした。

 2024年シーズンはヤマハからBMWに移籍1年目にして、自身2度目のWorldSBK王者に輝いたラズガットリオグル。ゼッケン『1』のチャンピオンナンバーを掲げて戦っているが、彼にとって開幕戦は少々厳しく悔しさが残るものとなった。

 スーパーポールではポールポジションのニッコロ・ブレガ(Aruba.it Racing - Ducati)と0.094秒差のフロントロウを獲得し、レース1では2位表彰台に上がった。幸先の良いスタートを切ったかとも思われたが、スーパーポールレースでは1周目4コーナーでのオーバーランで13位、レース2はトラブルによりピットに帰還してリタイアとなってしまった。

 厳しい結果となった要因としては、次のようなことが考えられる。第1戦オーストラリア前に行われた2日間の事前テストにおいて、初日に激しくクラッシュを喫して右手の人差し指を骨折していたこともあるだろうが、今季はWorldSBKのホモロゲーションによって昨年使用していたスーパーコンセッションシャシーが装備できないことが影響している。ラズガットリオグル自身もシャシーの違いにより「曲がらない、止まらない、グリップしない」とコメントしている。

 いざセッションが始まってみると2024年と比較してBMW M1000RRとドゥカティ・パニガーレV4 Rの戦闘力の違いは明らかであった。ラズガットリオグルはスーパーポールではブレガの後方についていたことで、スリップストリームの恩恵を受けてなんとか2番手タイムを出せたというが、レースにおいてはホームストレート上での加速不足が見受けられて1コーナーで何度も抜かれていた。

 よって、オーバーテイクできるコーナーがハードブレーキングの4コーナーなどに限られているようにも見られたため、少々苦しい状況に立たされていたようだった。そして、極め付けはレース2でのトラブルだ。その状況を把握したラズガットリオグルは、レース中にも関わらず拳を握り締めスクリーンを割り怒りをあらわにしていた。

 WorldSBKにおけるホモロゲーションによってBMW M1000RRの真の戦闘力が出せず、悔しさと苦しさのジレンマに陥った状態で戦っていたラズガットリオグル。さらにここに追い討ちをかけたのは、ブレガが開幕戦3レースともに見事な完勝を収め、上位勢はドゥカティ勢が占める結果となったことだ。

 ラズガットリオグルにとって、フラストレーションが溜まるレースとなったようで、レース終了後のインタビューでは「今年はドゥカティ勢が全員前にいるけど、これは普通ではない。まるで『ドゥカティ・カップ』のようだ」と思わず吐露していた。

 続けて「誰もがこの状況を楽しんでいないから、このままではいけないよ。もしWorldSBKが今後もこんな状況を続けるなら、僕はもうここでレースをするつもりはない」とまで示唆し、ホモロゲーションへの不満も示していた。

 全く歯が立たない状況ではないものの、BMWでの初勝利を手にした2024年シーズンと比較すると、自身とマシンにおける真の力が発揮できないことで、焦燥感にもかられてしまうのかもしれない。そのことを考えると、不満を思わず漏らしたくなるラズガットリオグルの気持ちも理解できる。

 今季におけるWorldSBKの性能調整の改善や見直しは難しいかもしれないが、元王者の言葉と訴えで今後なにかしらの動きも見られるかもしれない。そして、このような苦境を見事断ち切って勝利を手にするラズガットリオグルとROKiT BMW Motorrad WorldSBK Teamの躍進を期待して待つことにしよう。

■トプラク・ラズガットリオグル/ROKiT BMW Motorrad WorldSBK Team
(スーパーポール:2番手、レース1:2位、スーパーポールレース:13位、レース2:リタイア)
「シーズン開幕戦は決して満足していないよ。ここ数年のはいつもシーズン開幕戦は奇妙なものだ。レース1で表彰台を獲得するのは簡単なことではなかった。チームはセッションごとにバイクを改善してくれたから、感謝しているよ。バイクの感触が少し良くなり、あのレースではとても良い仕事ができたんだ」

「けれど、スーパーポールレースは僕にとって理想的なものではなく、スタートで大きなトラブルが発生したんだ。幸運にも誰かにぶつからず、大きなクラッシュも避けることができたけどね。レース2は、土曜日のバイクに乗る方が良いだろうと伝えたんだ。本当に良くなっていると感じたし、グリップも以前よりずっと良かったんだけど、レース中に技術的なトラブルが発生したことで続行できなかった。僕はシーズンを幸せな気持ちでスタート出来ることは決してないし、今年も決して例外ではない。いつも不思議な感じだけど、今は次のレースだけに集中しているよ」

「次戦はヨーロッパ戦になるし、ドゥカティ勢と戦い始めたところだ。ニッコロ・ブレガは昨年ここで強かったから、彼が速かったことには驚かなかったよ。おめでとう。彼は本当に良い仕事をしたし、その栄誉に値する。けど今年はもっと戦えると思う。アルバロ・バウティスタも強いけど、今年はドゥカティ勢が全員前にいた。これは普通ではないし、こんなことが続かないように願っているよ。今は1カ月近く長い休みがあるから、ハードワークを続けてもっと強くなって戻ってくるつもりだ。ポルティマオでもテストがあるが、この2日間のテストはバイクを改良するために本当に重要だ。まだ100%ではないが、全員が一生懸命頑張っているのは分かっているよ」

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