加山なつこさん(54歳)1989年にデビューし、2024年にはデビュー35周年を迎えたレジェンドセクシー女優の加山なつこさん(54歳)。その間に結婚・出産・離婚を経験し、シングルマザーとして我が子を育てあげた。なんと、昨年は孫が誕生し、ついに念願の“おばあちゃん”になったそうだ。
現在は女優業だけでなく、熟女キャバクラのママとして多忙な日々を過ごす。そんな彼女の話から、セクシー女優であり一人の母親でもある女性の“生き方”が見えてくるかもしれない。
◆高校卒業後、“波乱万丈な人生”に憧れていた
――昨年、デビュー35周年を迎えられましたね。おめでとうございます。
「ありがとうございます! お陰様で去年は写真集や2025年のカレンダーも発売されたり、充実した1年になりました」
――もともと、どういった経緯でセクシー女優になったのでしょうか?
「いわゆるスカウトです。声を掛けられたのは、農業高校を卒業して花屋さんでアルバイトをしていた頃でした。『これから私の未来はどうなっていくんだろう?』と、漠然と考えていた時期だったんです。
私はそれまで、良くも悪くも普通の人生を歩んできていて、“波乱万丈な人生”に憧れていたんですよ。生き別れの家族を探す番組に出るみたいな(笑)。とにかく人と違うことがしたいっていう気持ちだけは強かったんです」
◆妊娠と同時に業界からフェードアウト
――裸になる仕事、という部分に抵抗は感じませんでしたか?
「詳しいことはわからないまま、とんとん拍子に話が進んだというのが正直なところです。でも、最初からグラビアの仕事にはけっこう興味ありましたね」
――企画単体女優として、瞬く間に売れっ子になりましたよね。
「事務所は売れるとはあんまり思ってなかったみたいですよ。ムチムチ系って当時はB級扱いだったので、マネージャーもたぶんあんまりやる気なかった感じで。でも、発売してみたら売れちゃったという(笑)」
――そんな中、デビューから1年半くらいで表舞台から去っていますよね。
「あの頃はメーカー数も少なかったし、ひと通り撮影したら終わりという時代だったんですよ。要は1年半で出演し尽くしちゃったってことです。その後はステージで踊る方に主戦場を移したのですが、付き合っていた相手との子どもができたので、特に引退発表などをすることもなく、業界からフェードアウトするかたちとなりました」
――当時、そうやって消えていく女優さんは珍しくなかったのでしょうか。
「だと思いますよ。そういう時代でした。結婚相手も仕事を辞めて欲しいと言っていたし、私も女優をしていた過去を隠しながら主婦として生きていくつもりでいたんです。でも結局、子どもが1歳くらいの時に離婚しちゃったんですよね」
◆表舞台で活躍したい欲が抑えきれず……
――離婚の原因は何だったのですか?
「付き合っている時は月の半分はステージに立っていて会えなかったのですが、私としてはその距離感が心地良かったんです。結婚して毎日の生活となると、ちょっと違ったのかな。
あと、人前に出ていた時の感覚が抜けずに、主婦になっても『私が、私が!』と自己主張が強かったのかも。妻に支えて欲しいタイプの男性には合わなかったんだと思います(笑)」
――離婚後はどのような仕事に就いたのでしょう?
「ステージの仕事に戻りました。でも、それも1年くらいで終わりましたね。脱がない仕事へのシフトを決めて、飲み屋で働くようになったんです」
――仕事中、お子さんはどうされていたのですか?
「母と同居していたので、面倒を見てもらえるようにお願いしました。でも、将来的なことを考えると、もっと稼がないと、という危機感があったんです。同時に時間の自由が利く仕事がしたいとも考えました。そうなると、行き着くのは裸で男性にサービスするお店ですよね。でも、どうしても本番には抵抗があって、そういうことをしなくてもいいのはどこなのかと。そして行き着いた先はSMのお店でした」
◆世間からは忘れられていなかった
――もしや、女王様をやっていたのですか?
「いえ、M女です。痛いのが嫌で嫌で……自分を騙し騙し続けていました。最終的には女王様もやったんですけど、私はちょっと潔癖なところもあって根本的に向いてないな〜と痛感する日々だったんです。でもある日、そういう雑誌に名前を隠して出たら、1日で100人くらいから問い合わせが来たんですよ。『雑誌に載っていたのって、加山さんですよね?』って」
――とんでもない反響ですね! 世間は加山さんを忘れていなかった!
「もう辞めてから4〜5年経っていたので、私もビックリしました。『加山が一人歩きしてる!』って感じ(笑)。でも、そのことがあってから、自分の中で再び加山として活動してみたいという欲が出てきたんです。その頃に知り合いの監督から誘いがあって、1作だけ出演することになりました」
――ついに業界に復帰ですか。
「いえ、1本撮影しただけです。身バレを気にしていたので、3人くらいの共演作で、パッケージでは顔を伏せさせてもらいました。監督からは復帰を勧められたのですが、その時はそのまま終わりました」
◆盟友・林由美香との再会が転機に
――では、本格復帰をしたのはいつ頃だったのですか?
「2004年のことです。たまたま街中でスカウトをされて、前に出たい欲が爆発しちゃったんですよ(笑)」
――スカウト!? 昔のツテを頼ったわけではなく……。
「声を掛けられた時に『最近の業界事情、どうなの?』って話を聞いてみたくなったんですよ。デビューの仕事が決まりかけていたタイミングで『実は、昔ちょっとやってまして……』と告白して、晴れて復帰作として発売されることになりました(笑)」
――あんなに身バレを気にしていたのに、よく復帰を決意しましたね。
「同期で同い年だった林由美香ちゃんと、たまたま再会したことが大きかったんです。彼女は驚くほど綺麗で、ずっと現役で作品に出ていました。かたや私は、隠れてコソコソとバイトしてる状態で……触発されましたね。私も女として、これで終わりたくないという気持ちが芽生えて、復帰に心が動きました。
もちろん、身バレして子どもが苛められたらどうしようという不安はありましたよ。でも、やってみたら本当に、モノづくりとしての撮影現場が楽しくて楽しくて。『これだー!』って感じでした」
◆仕事のことは、子どもにはとっくにバレていた
――同居しているお母さんには、復帰することは伝えたのですか?
「言いました。子どもは中学生くらいだったので私から特に話したりはしなかったです。でも、子どもが高校生になった時に『ずっと前から知ってたよ』と言われて衝撃を受けました。
本格復帰の直前、私はポールダンスのお店で働いていたのですが、週刊誌で『あの人は今』みたいな企画で取り上げられたんですよ。どうやら子どもはそれをコンビニで立ち読みをして、私がセクシー女優をやっていたことを知ってしまったらしいんです」
――その時にお子さんはどんな心情だったのか、聞きましたか?
「母には相談したみたいですね。でも、母が『そのお陰で私たちは生活できているんだよ』と言ってくれたそうで、特にメンタル面で荒れたりはなかったみたいです。
うちの場合、子どもからすると祖母が母親みたいな存在で、私は年の離れたお姉さんって感じ。ただ、私が色んなものを見てきたぶんだけ、芸能関係からは遠ざけてきました。そこだけは厳しく育ててきたつもりです」
――それが母として、人生の先輩としての教え。
「ですね。そんな我が子も、もう30歳をすぎていて、結婚して、もうすぐ1歳になる子どももいます」
――えっ! ということは、お孫さんですか?
「はい。そうなんです。私、孫ができました! これ、本邦初公開の情報ですよ(笑)」
◆現役“おばあちゃん”セクシー女優、爆誕!
――おめでとうございます! 孫がいる現役セクシー女優さん、稀少な存在ですよ(笑)。
「子どもには散々『私のせいで結婚できなかったらごめんね』と言ってきたのですが、良いご縁があったようです。私の仕事のことはパートナーにも伝えてあるそうです。さすがに向こうのご両親は知らないとは思いますけど……。
私、ずっと“おばあちゃん”になるのが夢だったんですよ。それを子どもからは『今時そういうことを言うのはハラスメントだ! 孫ハラだ!』なんて言われていたので諦めていたんですが、あっという間に念願のおばあちゃんになれちゃいましたね(笑)」
――お孫さん、カワイイですか?
「そりゃあもう、超カワイイですよ! 顔を見るだけでニヤニヤしちゃう。めちゃくちゃ課金もしてますね。完全に“推し”です(笑)」
◆現役は続行! 目指すはデビュー40周年
――現在、加山さんは女優業のほかにも、熟女キャバクラ『SHUNGA』のママさんとしても忙しくされているとか。
「それこそが、私が現役でいることの意味になっています。“加山なつこ”がママをやっていることで、お客様も来てくれていますし、現役のセクシー女優さんだけでなく、引退後の元女優さんもキャストとして働きやすい環境になっているかと。女優を辞めた後にどうしたらいいの? って悩む女の子はけっこう多いんですよ」
――いわゆる、セクシー女優のセカンドキャリア問題ですね。
「その受け皿のような場所にできたらいいなと思っています。うちで働いていると、本当にしっかりと作品を見てくれているファンがたくさん来るんですよ。『自分なんて売れてないし……』なんて卑下している子にも、ファンって絶対にいるんです。見てくれている人は必ずいるから、自信を持って欲しいなといつも思っています」
――広い意味でみんなの“ママ”である加山さん。今後の目標は?
「目指すはデビュー40周年ですかね。これからも現役は続けていくので、よろしくお願いします。あと、来年で55歳になるので、盛大な周年記念はやりたいなと思っています!」
――ありがとうございました!
【加山なつこ】
X:@natsuko_shunga
Instagram:@kayamanatsukoofficial
<取材・文・撮影/もちづき千代子>