外山文治監督、8年ぶり短編作品集5・16公開 田中麗奈と遠藤雄弥が1日限りの夫婦役

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2025年02月28日 13:00  日刊スポーツ

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「東京予報−映画監督外山文治短編作品集−」の「名前、呼んでほしい」のビジュアル(C)〓外山文治

20年「ソワレ」、23年「茶飲友達」が高く評価された、外山文治監督(44)の短編作品集第2弾が、5月16日に東京・シモキタ−エキマエ−シネマ「K2」を皮切りに全国で順次公開されることが28日、発表された。


外山監督は、17年に製作・監督・脚本から配給と宣伝まで手がけた「映画監督外山文治短編作品集」を公開。短編映画3本で構成され、中でも芳根京子(27)主演の「わさび」は、ブリュッセル映画祭(ベルギー)で上映。同作と「春なれや」「此の岸のこと」が上映された東京・ユーロスペース(渋谷)では、2週間レイトショー観客動員数歴代1位を樹立した


8年を経て公開の第2弾は「東京予報−映画監督外山文治短編作品集−」と題し、25年の東京の「かたすみのひかり」をコンセプトに描かれた全くジャンルの違う3作品に、短編映画の枠を超えた豪華キャストが集結した。


「名前、呼んでほしい」は、不倫関係を解消するべく最後に1日だけ夫婦として過ごす男女を描く大人のラブストーリー。主演は23年「福田村事件」(森達也監督)で変わらぬ存在感を示した田中麗奈(44)が務め、24年の主演映画「辰巳」(小路紘史監督)で高崎映画祭で最優秀俳優賞を受賞した遠藤雄弥(37)と、大人の恋愛模様を演じる。


「はるうらら」は、女子中学生の春と麗が、離婚した春の父親をSNSで偶然、見つけて会いに行く物語。「nicola」専属モデルで、24年の映画「ゴールド・ボーイ」(金子修介監督)、23年のNHKドラマ「柚木さんちの四兄弟。」に出演の星乃あんな(25)と、「Seventeen」専属モデルで、24年のフジテレビ系ドラマ「嗤う淑女」などで活躍する河村ここあ(17)が、ダブル主演に抜てきされた。父親を、吉沢悠(46)が演じる。


「forget−me−not」は、ガールズバーの女の子たちが、ネットカフェで亡くなった痛客の葬儀に出席するポップシニカルな現代劇。主演は「バーガーキング」のCMで注目の内海誠子(23)、24年の映画「スノードロップ」(吉田浩太監督)や舞台、PVなど幅広く活躍するイトウハルヒ(29)、舞台「空腹」「つきかげ」などに出演し、成長著しい宇野愛海(26)が選ばれた。


外山監督と俳優陣は、コメントを発表した。


<「名前、呼んでほしい」>


田中麗奈(沙穂役) 今回、外山文治監督と初めてご一緒させて頂きました。「茶飲友達」を劇場で拝見していた事もあり、お話しを頂いた時は大変うれしかったです。外山監督とお会いした際、私が20才の時に撮影した市川準監督の「東京マリーゴールド」がとても好きだったとおっしゃって下さいました。自分が過去に出演した映画を鑑賞してくださり、そこから何かを感じ取っていただいた同世代の方と出会い、ご一緒出来るという出来事は、勝手にご褒美を頂いたような感じがして、ありがたい気持ちで作品に入らせて頂きました。そして、さらにスタッフの皆さんそれぞれが外山監督から刺激を受けられていて、皆さん心から作品作りを楽しんでる温度感を感じ、私も現場にいる間ずっと幸せな気持ちでいられたことが印象に残っています。ショートムービーという短い時間でしたが、お相手の遠藤雄弥さんとは繊細な心の通い合いができたような気がして、一緒に豊かな時間を過ごす事ができました。ひと時の夢のような時間の中で起こる心の揺らめきで、観ていただいた方の心に何か伝わればいいなと思っています。そして私の大好きなシモキタ−エキマエ−シネマ「K2」にて上映される事、大変光栄です。どうぞ劇場に足を運んで頂けたら幸いです。


遠藤雄弥(涼太役) 皆さま、こんにちは。このたび、外山文治監督短編作品集「東京予報」の「名前、呼んでほしい」に参加させていただきました遠藤雄弥です。外山監督とは2023年の東京国際映画祭の際に初めてお会いしてその後、雑誌の取材で外山さんにスチール写真を撮っていただきながらお話をする企画がありました。そこで意気投合し、なにか面白い事できたらいいですねとお話しさせていただいたのをよく覚えています。まさかこんなに早くご一緒できるなんて…! まさに、その面白い事を皆さまに観ていただいて、どのような感想がお聞きできるのか。他の短編2本も見るのが今から楽しみです。外山さんの世界観をこの3本の短編を通して、存分にお楽しみ下さい!


外山文治監督 かつて映画学生だった私の部屋には市川準監督の「東京マリーゴールド」のポスターが貼ってあり、田中麗奈さんはずっと私の憧れでした。思えばあの作品は「1年間限定の恋人」がテーマでした。あれから20年以上が過ぎた今、私は「1日だけの夫婦」を演じてほしいと思いました。市井の暮らしの中で母であり妻であり続ける女性が、同じ境遇にいる男性とひとときの夢をみる。倫理に反した恋ではありますが、復讐(ふくしゅう)も堕落もない、大人の恋路の映画です。憧れの女優を迎えて映画を撮れる感動をかみしめ、そして映画を好きにさせてくれた感謝を物語に込めて。相手役には映画「辰巳」で鮮烈な印象を残した遠藤雄弥さん。昨年、彼と初めて会ったとき、まるでトニー・レオンをほうふつとさせる映画俳優としての色気を感じました。そしていつか「花様年華」のような映画を作ろうと約束しました。今、その約束を果たします(わりと早く)。東京の片隅に咲くあだ花の恋です。咲いても実を結ばないあだ花にも香りがあることを、映画を通じて感じていただければ幸いです。


<「はるうらら」>


星乃あんな(春役) とてもすてきな作品に出演させてもらえると聞いてすごくうれしかったです。撮影時は監督から自由に演技をして欲しいと言っていただいてとてものびのびと演技をすることができました。私が演じた二宮春は友達といる時は明るいけど、素直になれない所があって、悩んでいる自分を隠そうとしているような性格だったので、セリフには表されていない感情などを表現するのが難しかったです。暖かい春の日差しのようなうららかな気持ちになる映画です。


ぜひたくさんの方に見て頂きたいです。


河村ここあ(麗役) 出演のお話を頂いた時はとにかくうれしかったです。自分にとって初めての映画を外山監督の元で学び、役者としての基礎、そして一つの作品を作るとはどういうことか学ぶことができました! 私が演じる麗は春の想いに寄り添う優しい女の子です。春らしい心温まる作品になっています。


ぜひたくさんの方に届きますように!


外山文治監督 昨年出会った数多くの俳優の中でも抜群の将来性と確かな表現力を併せ持つ星乃あんなさんと河村ここあさん。そんな最強のふたりを迎え、ある晴れた春の日の物語を作りました。彼女達の放つ輝きにきっと誰もが驚き魅了されるはずです。お楽しみに。


<「forget−me−not」>


内海誠子(ミカ役) ミカ、ハルちゃん、エリリン。本名も素性も知らない仲の3人が、1人のお客さんの死をきっかけに一緒に過ごした時間は、日常のような非日常のような、とても不思議なものでした。故人をしのびながらも、時折クスッと笑える瞬間も多々あって、そこも楽しんで観ていただけるとうれしいです。


イトウハルヒ(エリ役) 性格も見た目も違う3人が集まって、カメラが回っていないときも姉妹のような友達のようなわちゃわちゃとした時間を過ごしていました。若さを使って今を生きている彼女たちが、ふと誰かの死に触れた時にどう変わるのかまた変わらないのか、観ていただけたらうれしいです。


宇野愛海(ハル役) 約10年ぶりに外山組に帰ってくることができました。広くて狭い世界で生きるさまざまな顔を持つひとたち。孤独とは、幸とは、不幸とは。私はこの作品に関わってから、より人とのつながりを大切にしたいと思うようになりました。1人でも多くの方に届きますように。応援のほどよろしくお願いいたします。


外山文治監督 東京の夜の街角に立つガールズバーの呼び込みの女の子たちのおしゃべりが、やがて都会の孤独と無関心さを炙り出していきます。誰かの死さえもコンテンツへと変わる現代の無慈悲さにビターなユーモアを加えることによって、私の作品では珍しいPOPな仕上がりになりました。忘れな草の逸話に重ねながら、さらりと重く、不思議と脳みその片隅に残り続ける物語。これぞ短編映画の醍醐味(だいごみ)だと思います。お楽しみに。


◆「名前、呼んでほしい」妻であり1児の母でもある沙穂は、同じく妻子持ちの涼太と恋人関係にある。涼太に引かれる沙穂は、この関係をいつまでも続けてはいけないという冷静さも持ち合わせており、1日だけ夫婦として過ごして関係性を解消することを提案する。約束の日、2人は「ユウスケくんのパパ」「ヒナタちゃんのママ」であることを忘れ、見知らぬ街でお互いの名前を呼び合い、1日限りの夫婦になった。


◇  ◇  ◇


◆「はるうらら」クラスメートの二宮春(15)と水原麗(15)の二人は、そっくりな女の子。ある日の放課後、TikTokの撮影をしていた彼女たちはSNSで偶然、ハルの父親の姿を見つける。ハルが子供の頃に離婚して家を出て行った父は、東京の外れでスコーンのおいしいカフェを営んでいた。ハルはウララを連れて、それもハルがウララに、ウララがハルになり変わって父に会いに行くことにした。果たして10年ぶりに会う父は娘を間違えずに気づくことができるのだろうか。


◆「forget−me−not」東京の夜の街角でガールズバーの呼び込みをするミカ、ハル、エリは常連の痛客・君島がインターネットカフェで遺体で見つかったことを知る。ズボンのポケットには「死んだら呼んでほしい人」のメモが残されてあり、そこに3人の名前が記載されてあった。翌日、無縁仏となった君島のために3人は葬儀場へ向かった。

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