バレンティーノ・ロッシ(チームWRT/46号車BMW M4 LMGT3) 2025年WEC第1戦カタール 中東のカタールで2025年シーズン最初の予選が行われ、フェラーリAFコルセの51号車フェラーリ499PがWEC世界耐久選手権開幕戦『カタール1812km』のポールポジションを獲得した。
この地域では珍しく、予選前のFP3では降雨が確認された木曜日のルサイル・インターナショナル・サーキットから、レースウイーク2日目の主要トピックをお届けする。
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アントニオ・ジョビナッツィ(フェラーリAFコルセ)は、ルサイルで行われたWEC開幕戦の二次予選『ハイパーポール』で1分38秒359というタイムを記録し、このセッションを制した。これは、昨季2024年のローン・スター・ル・マン(オースティン/COTA戦)に続き、彼にとってWECで2度目のポールポジション、そしてフェラーリにとってはハイパーカークラスで5度目のポールとなっている。
フェラーリは、アウディ、ポルシェ、トヨタに続き、WECでの5回めのポールポジション獲得という節目に到達した4番目のメーカーとなった。
ポールポジションを獲得したラップについて、ジョビナッツィは次のように振り返った。「簡単なラップではなかった。最初の予選ではもっと快適に感じていたが、ハイパーポールでは風向きが変わったことに驚いたし、それによってドライブが難しくなった。でも、最後のラップではすべてがうまくいった! とくに最後のセクターでは、大きく改善することができたよ」
■レースペースに自信あり
ジョビナッツィは、LMGT3のポールシッターであるショーン・ゲラエル(ユナイテッド・オートスポーツ/95号車マクラーレン720S GT3エボ)にも敬意を表した。彼の父リカルド・ゲラエルは、ジョビナッツィのキャリアを熱心に支援してきた。ふたりはエクストリーム・スピード・モータースポーツのリジェLMP2カーを2016年のWEC富士と上海の2ラウンドでシェアしたことがある。「僕たちはフォーミュラカーで一緒にスタートし、それ以前のカートの頃からお互いを知っているので、この素晴らしい結果を一緒に祝うことができて嬉しく思う」とイタリア人は語った。
ゲラエルは昨年のLMGT3カテゴリー発足以来、マクラーレンに3回目となるポールポジションをもたらした。これはどのメーカーよりも多く、ユナイテッド・オートスポーツにとっても昨季最終戦バーレーンに続き、年をまたいでの2戦連続ポールとなっている。ユナイテッドはまた、このカテゴリーの歴史上、2回連続でLMGT3ポールを獲得した最初のチームとなった。
キャデラック・ハーツ・チーム・JOTAのアレックス・リン(12号車キャデラックVシリーズ.R)は、同チームが走らせる2台のLMDhカーのうち、より良いリザルトの予選4番手に入ったことを、「チームにとって本当に堅実なスタート」と評した。「プロローグの初日から本当にうまくやっていて、今はトップグループにいる。そこが僕たちの望んでいたところだ」とイギリス人は述べた。「超接近戦になると思う。僕たちのレースペースは速いので、うまくやれるはずだ」
BMWドライバーのロビン・フラインス(20号車BMW MハイブリッドV8)は、ハイパーカーのドライバーは、コースのコーナーの外側に点在する新しく設置された砂利の帯の周りでは「注意」する必要があると語った。レース中に重大な損傷を引き起こす可能性があるためだ。「限界がどこにあるかを正確に知っているという意味で、僕はグラベルが好きだ」とフラインスは語った。「唯一の問題は、とくにGTカーがそこを何度も走行し、溝のようになることです。誤ってそこを走行してしまうと、底を打ちフロアを完全に壊してしまう」
■たった1km/hでも違反は違反です
プジョー9X8の94号車は予選12番手だったが、チームのスポークスマンによると、このクルマは水曜日のプラクティス2の後、「潜在的な問題を防ぐ」ために新しいモノコックを中心に14時間かけてリビルドされたという。
アストンマーティンの009号車ヴァルキリーは、当初マルコ・ソーレンセンのドライブで予選を15番手で通過したが、デンマーク人ドライバーがピットレーンの制限速度を1km/hオーバーしたため、ラップタイムが取り消された。これにより、同車はクラス最後尾の18番手に後退。ハリー・ティンクネルの運転で17番手となっていた姉妹車の007号車は16番手に繰り上がった。2台のヴァルキリーの間には、予選でスピンとコースオフを喫しタイムをまとめきれなかった8号車トヨタGR010ハイブリッド(トヨタ・ガズー・レーシング)がつけている。
シルバーレーティングのドライバーがLMGT3ハイパーポールに参加するなか、ヴァレンティーノ・ロッシ(チームWRT)がWEC予選デビューを果たし、46号車BMW M4 GT3エボを8番手に導いた。「僕にとって、ハイパーポールに参加できる機会を得られたことはとても良いことだ。なぜなら昨年は、土曜日はいつも待つばかりで、運転する時間がほとんどなかったからね」と今月16日に46歳になったばかりのロッシ。「シルバーランクのドライバーにとっては、新品のタイヤと少ない燃料でクルマをドライブする絶好の機会だ」※予選ではなくフリープラクティスの映像
■元F1ドライバーが愛息をサポート
TFスポーツのベン・キーティング(33号車シボレー・コルベットZ06 GT3.R)は、4月20日にイタリアで行われるイースター期間中のレース開催について以前から懸念を示していたが、来月の第2戦イモラには参加することを確認した。「(キリスト教は)場所により宗教ではないことは承知しているが、イタリアはカトリック教会の本拠地であり、イースターはもっとも重要な宗教的祝日のひとつだ」とキーティングはSportscar365に語った。「その週末に、家で一緒に祝うのではなく、レースに出るべきだと妻と子供たちを説得するのはかなり大変だった」
彼は冗談まじりにこう付け加えた。「イースターの祝日を欠席するだけでなく、土曜日(4月19日)は妻の誕生日でもあるんだ。妻が僕にレースに出る許可を出して以来、彼女はそれを僕にとって不利になるように利用してきた。きっとイモラのレースが終わっても止まらないだろう。この決断のツケを1年中払うことになるんだろうね!」
元F1ドライバーのルーベンス・バリチェロがパドックに姿を見せている。彼は10号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3エボ(レーシング・スピリット・オブ・レマン)でWECデビューを果たす息子のエドゥアルドをサポートするためにルサイルを訪れている。
ル・マン24時間レース以外では初めてのWECレースとなるマシュー・ジャミネ(5号車ポルシェ963)は、慣れるまでに時間が掛かったことを認めている。「IMSAで慣れているものとは雰囲気もパドックもかなり違う」と彼はSportscar365に語った。「走りながら学習しているが、いまのところ順調だ」
ジャミネと同じくポルシェ・ペンスキー・モータースポーツのサードドライバーであるマット・キャンベル(6号車ポルシェ963)は、この開幕戦に加えてイモラ6時間、ル・マン24時間、バーレーン8時間にも出場することが確定しているが、彼は猛暑のレースでは3人体制が有利となるため、COTAで行われるローン・スター・ル・マンに招集される可能性が高いと示唆した。
■手痛い“拘束”のわけ
メルセデスAMG・カスタマーレーシングの責任者であるステファン・ウェンドルは、走行初日のFP1で2台のアイアンリンクス・メルセデスAMG GT3エボがガレージ閉じ込められたままになった問題についてさらに詳しく語った。
「燃料補給中やクルマがジャッキアップされている場合、エンジンを停止する必要があるというルールがある。そのため、当社のソフトウェアがこれらすべての事態を引き起こし、エンジンを停止させ、クルマの始動を許可しなかった」とウェンドルはSportscar365に語った。「車検でスターターがクランキングしていたが、これもルールで許可されていない。そのため、最終的な車検通過のステッカーを受け取ることができなかった。私たちはクルマが浮いているときにクランキングを許可しないように、ECUのファームウェアを緊急に更新しなければならなかった」
ウェンドルはまた、メルセデスAMGはトップクラスの競争のためにプロトタイプを開発する予定はないと繰り返し、ブランドにはそのようなプロジェクトを引き受ける「能力がない」と指摘した。
同氏は次のように述べている。「WECへの参戦以外にも、私たちの眼の前には大きな課題が待ち受けている。また、昨年アファルターバッハ・レーシング社を設立したが、これも後継モデルを開発しGT3を継続するために解決しなければならないプロセスの一環だった。同時に多くのことが起こっており、限られたスタッフ数で集中力を保ち、品質を維持し、将来に向けて改善していきたいと考えている」
ACOフランス西部自動車クラブのピエール・フィヨン会長は、27日木曜に行われた『カタール・クラシック・チャレンジ・レース』に出場した。このフランス人は1971年製シェブロンB19をドライブし1時間のレースを完走。総合17位でフィニッシュした。