性被害に遭った対照的な少年2人を描く…劇場未公開の傑作『ミステリアス・スキン』4月公開へ

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2025年02月28日 15:01  cinemacafe.net

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『ミステリアス・スキン』(C)MMIV Mysterious Films
ブレイク前のジョセフ・ゴードン=レヴィット、いまや『ブルータリスト』監督として知られるブラディ・コーベットが共演、幼少期の性被害によって人生を大きく変えられた2人の少年の行く末を描き、世界各国の映画祭で大きな反響を呼んだ映画『ミステリアス・スキン』(2004年/原題:Mysterious Skin)が4月25日(金)より公開決定し、ポスタービジュアル&予告編が解禁。日本では長らく未公開となっていた本作が、製作から20年の時を経てついに劇場初公開される。

本作は、8歳の夏、子どもたちを襲った衝撃的な体験と癒えない心の傷、その後の対照的な2人の少年の行く末を描いた鮮烈な物語。

90年代“ニュー・クィア・シネマ”のムーブメントを牽引し、つねに時代の遥か先を見据えてきたグレッグ・アラキ監督による本作は、第61回ヴェネチア国際映画祭(2004年)でのプレミア上映を皮切りに、トロント、サンダンス、ロッテルダム映画祭などでも上映され、世界中で大きな反響を呼んだ。

当時23歳のジョセフ・ゴードン=レヴィット(『スノーデン』『(500)日のサマー』)、そして現在は映画監督として世界に名を轟かせるブラディ・コーベット(『ブルータリスト』『シークレット・オブ・モンスター』)が全身全霊を注ぎ、チャレンジングな役柄に果敢に臨んだ。

そのほかにも、ミシェル・トラクテンバーグ(ドラマ「ゴシップガール」シリーズ)、メアリー・リン・ライスカブ(ドラマ「24 -TWENTY FOUR-」シリーズ)、エリザベス・シュー(『リービング・ラスベガス』、ドラマ「CSI:科学捜査班」シリーズ)など、人気を博する実力派俳優たちが脇を固めている。

今回解禁となったのは、ブルーとピンクのノスタルジックな淡い色合いが印象的な両A面のポスタービジュアル。

ブルーのビジュアルはブラディ・コーベット扮するブライアン、そしてピンクのビジュアルはジョセフ・ゴードン=レヴィット扮するニールの、それぞれアップの表情を切り取ったもの。

性被害による精神的ショックでトラウマを抱え、その体験を“思い出せない”ブライアン。その一方、特別な「愛」の思い出として、性被害の体験が“忘れられない”ニール。ひと夏の出来事により、その後の人生が大きく変わってしまった対照的な2人の少年、その表裏一体の姿を表現したデザインとなっている。

また、あわせて解禁となったのは、来日公演を果たしたばかりのアイスランドの至宝シガー・ロスによる劇中曲「Samskeyti」が忘れがたい余韻を残す予告編。



■著者の実体験にもとづいた小説を映像化「沈黙を破るきっかけに」
本作の原作はスコット・ハイムが1995年に発表し、かのウィリアム・バロウズも絶賛した同名小説。日本では「謎めいた肌」として2016年にハーパーコリンズ・ジャパンより刊行された。

監督・脚本のグレッグ・アラキは、本作の魅力について「人生のうち、何年かを費やして映画にしたいと思えるほどの情熱と興奮を覚えたのは、この作品に出会ったときだけでした。ずっと起きてきたのに決して語られることのなかった関係性や出来事が露になり、読者は心をかき乱されつつも惹きつけられてしまいます」と表現する。

また、映画化にあたっては「こうした極めて不穏な場面に背を向けてしまうのであれば作る意味がないと思いました。それでは原作の持つ特別な力や、心を引き裂くような衝撃が失われてしまうからです。この物語は人々に気づきをもたらす、語られるべき話であり、それを途中で目をそらせない“映画”という形で見るのは強烈な体験になるでしょう。私としては、『ミステリアス・スキン』が見た人に変化を起こし、タブーへの沈黙を破るきっかけになることを願います」とその決意を語る。



自身の実体験を基に小説を著したスコット・ハイム自身も「これ以上の映画化はない」と太鼓判を押す、最良の実写版を作り上げた。

■コメント全文:グレッグ・アラキ監督
人生のうち、何年かを費やして映画にしたいと思えるほどの情熱と興奮を覚えたのは、この作品に出会ったときだけでした。ずっと起きてきたのに決して語られることのなかった関係性や出来事が露になり、読者は心をかき乱されつつも惹きつけられてしまいます。もし映画化でこうした極めて不穏な場面に背を向けてしまうのであれば作る意味がないと思いました。それでは原作の持つ特別な力や、心を引き裂くような衝撃が失われてしまうからです。この物語は人々に気づきをもたらす、語られるべき話であり、それを途中で目をそらせない“映画”という形で見るのは強烈な体験になるでしょう。
私としては、『ミステリアス・スキン』が観た人に変化を起こし、タブーへの沈黙を破るきっかけになることを願います。本作のエンディングには、個人的に魔法のようなものを感じます。光と影が絶妙な塩梅で共存していると感じるんです。嘘くさいハッピーエンドではありませんが、完全に絶望しかないわけでもなく、一筋の希望が見えます。観たあとには、私が真に望んだのはどちらなのかという疑問が残るでしょう。

『ミステリアス・スキン』は4月25日(金)より渋谷ホワイトシネクイントほか全国にて公開。




(シネマカフェ編集部)

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