2025年F1プレシーズンテスト2日目 ルイス・ハミルトン(フェラーリ) 7度のF1世界チャンピオンであるルイス・ハミルトンは、フェラーリでの生活に徐々に馴染んできており、フェラーリの2025年型マシン『SF-25』にも順調に慣れていっているようだ。
バーレーンで行われたプレシーズンテスト2日目の午前のセッションでトップに立ったハミルトンは、スクーデリアの2025年型マシンと「ゆっくりと絆を深めている」と明かし、このマシンが彼を記録破りの8度目の世界タイトル獲得へ押し出してくれると期待している。まだ初期段階ではあるが、この結果は、彼がメルセデスとの難しい別れの悪夢を振り払い、フェラーリを心から歓迎していることを示唆した。
昨シーズン、ハミルトンは伝説的な12年間の在籍期間を終えてメルセデスに別れを告げたが、メルセデスでの最終年は決しておとぎ話のようではなかった。W15は気まぐれな怪物で、ハミルトンはチームメイトのジョージ・ラッセルに追い抜かれてしまったため、40歳のハミルトンには今も特別な才能が残っているのかどうか、うわさに拍車がかかった。
しかし今、赤を身にまとったハミルトンは、疑念を抱いている人々が間違っていることを証明しようとしており、そこには希望の光が見え、ハミルトンは新しいマシンについて楽観的な様子を見せた。
■「ゆっくりと絆を深める」
「本当にこのマシンを楽しんでいる。僕たちはゆっくりと絆を深めているんだ」とハミルトンは、いつものクールな態度を少し崩し、微笑みながら語った。
「昨日はまあまあの1日で、問題はなかった。僕たちは走行計画をすべてやり遂げた。いろいろなことをテストしているので、僕はセットアップの変更や、マシンをどこに向かわせたいか指示することはしていない」
「僕たちは形式に沿って走っているんだ。今日は、エンジニアとのやり取りをもう少し深く探ってみた」
「今のところ、このマシンでのドライビングを本当に楽しんでいる」
一目惚れというほどではないが、ハミルトンは明らかにSF-25に親しみつつあり、まるでコースをぐるぐる回るための新しいダンスパートナーのように扱っている。テストは厳しいものであり、絶対的なペースよりも、チェック項目を埋めていくことが重要だ。だがハミルトンは、すでにこれから大きなことが起こることを暗示するラップを記録している。
■フェラーリ用語の短期集中講座
もちろん、ひとつのチームに10年以上在籍してからチームを変わること、そしてより重要である異なる文化に入っていくことは、必ずしも常に順風満帆にいくわけではない。ハミルトンは、まだフェラーリの戦略を解読中で、混乱を招いている語彙に取り組んでいることを認めた。
「効果は若干異なり、呼び方も違う」とハミルトンは説明した。
「でも『ロール』は依然として『ロール』で、『アンチロールバー』は依然として『アンチロールバー』だ。ジオメトリの一部には、別の言葉がある。だから僕はそれを自分のコンピューターに入れて、彼らがこれらのさまざまなコンポーネントについて話しているときに理解できるよう、毎日毎晩勉強している」
「僕は別の場所で12年間過ごしたが、そこではいつも同じことを話していた。だから僕はそれに慣れていて、彼らが何を意味しているのか正確にわかっていた」
「でも、毎回(フェラーリの)報告会で(何かについて)言及されるたびに、僕は『これはどのパーツのことだろう? ああ、このパーツのことだ』という感じだ。これは学習プロセスの一部ですべてが新しいことなので、エキサイティングだよ。その新しさが気に入っている」
ノートパソコンに向かい、期末試験に向けて猛勉強する学生のようにイタリアのエンジニアリング用語をぶつぶつとつぶやくハミルトンの姿を想像してみてほしい。あらゆることを見てきたチャンピオンの、愛すべき姿だ。
ゆっくりと絆を深める? 確かにそうだが、しかしこれがゆっくりだというのなら、F1界はハミルトンと彼の赤いマシンが完全に同期したときに何が起こるか見るのが待ちきれないことだろう。ここに注目すべきだ。