WEC第1戦がカタールでスタート、序盤からフェラーリがワン・ツー築く。トヨタは最後列から追い上げ

　WEC世界耐久選手権の2025シーズン開幕戦『カタール1812km』は2月28日、カタールのルサイル・インターナショナル・サーキットで決勝レースのスタートが切られた。レース開始から1時間が経過した時点では、ポールポジションスタートだったフェラーリAFコルセの51号車フェラーリ499P（アレッサンドロ・ピエール・グイディ／ジェームス・カラド／アントニオ・ジョビナッツィ）がレースをリードしている。

　2025年のWECは、前年踏襲のカレンダーで全8戦が行われる。今季はハイパーカークラスにアストンマーティン・ヴァルキリー、LMGT3クラスにメルセデスAMG GT3 Evoが新規参戦。また、ハイパーカークラスでは昨年までポルシェ陣営だったJOTAがキャデラックのワークス活動を担うなど、いくつかの注目の変更点があった。

　日本勢としては引き続きトヨタGAZOO Racingがハイパーカークラスに参戦。7号車GR010ハイブリッドにチーム代表を兼ねる小林可夢偉、8号車に平川亮が加わる不動のラインアップを維持している。また、LMGT3クラスでは、こちらも昨年から引き続きユナイテッド・オートスポーツの95号車マクラーレン720S GT3 Evoで佐藤万璃音がステアリングを握る。今季、通年参戦する日本人ドライバーはこの3名だ。

　前週に行われた公式テストに続き、26日にレースウイークの走行がスタート。27日には公式予選が行われ、51号車フェラーリがジョビナッツィのアタックによりポールポジションを獲得。LMGT3は、佐藤組の95号車マクラーレンがクラスポールを手にした。

■BMWのマグヌッセンが不可解な後退

　晴天、しかしながら強い風が吹くなか、レースは現地時刻28日14時にスタート。ポールポジションの51号車フェラーリはジェームス・カラド、隣に並ぶ15号車BMWは今季F1から活躍の場を移すケビン・マグヌッセンがスタートドライバーを務めた。

　スタートではそのマグヌッセンがやや出遅れ、3番手スタートだった50号車のニクラス・ニールセンが2番手に浮上、ワークスのフェラーリ2台がワン・ツー体勢を構築する。なお、公式放送の文字情報によれば51号車は4輪ともハード、50号車はミディアムと、フェラーリは2台のタイヤ戦略を分けている。

　1周目から激しいポジション争いが繰り広げられるなか、35号車アルピーヌA424（アルピーヌ・エンデュランス・チーム）のフェルディナンド・ハプスブルクが9番グリッドから4番手へとジャンプアップを果たした。7番手スタートの7号車トヨタのマイク・コンウェイは、ポジションキープで1周目を終えている。

　15分経過を前に、38号車キャデラックVシリーズ.R（キャデラック・ハーツ・チーム・JOTA）をドライブするアール・バンバーがスピードを見せ、ハプスブルクをパスして4番手へ。さらに3番手のマグヌッセンも攻め立てるが、オーバーテイクを仕掛けた際に間に入ったGT車両と接触したか、スピン。ポジションをクラス最後尾付近まで落とすこととなった。

　スタートから39分、フルコースイエローが導入される。短時間で解除となるが、グリーンに戻った際に15号車BMWのマグヌッセンが失速。9番手まで順位を下げてしまう。これにより、35号車アルピーヌが3番手に浮上している。

　首位の51号車フェラーリは独走体勢。50分を経過する頃には、2番手の50号車フェラーリに9秒ほどのギャップを築いた。

　1時間経過を目前に上位勢の最初のルーティンピットが始まり、各車が作業を終えた段階でも2台のフェラーリがワン・ツーを堅持。3番手にはピットタイミングがオフセットしている5号車ポルシェ963（ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ）が浮上し、4番手以下は20号車BMW、83号車フェラーリ、38号車キャデラックと続き、トヨタは7号車が7番手、8号車は早めのタイミングでルーティンピットを済ませてクラス最後列スタートから9番手にまでポジションを上げてきている。

　初参戦で注目されるアストンマーティン・ヴァルキリーは、1時間経過を目前に009号車の右ドアが走行中に開いてしまい、風圧により吹き飛んでしまった。ガレージに戻り、修復を行なっている。

　LMGT3クラスでは、ポールポジションを獲得した95号車マクラーレンがホールショットを決めるが、4周目までに78号車レクサスRC F GT3（アコーディスASPチーム）のアーノルド・ロバンが首位を奪う。一方、僚友の87号車レクサスはフェラーリ296 GT3との接触によりダメージを負ってピットへと向かった。

　78号車レクサスは2台のマクラーレンを従える形で、序盤戦をリード。1時間経過目前で1回目のルーティンピット作業へと入ると、59号車マクラーレンが首位に立ち、95号車が続くというマクラーレンのワン・ツーが形成されている。

　カタールのナショナルデイ（12月18日）にちなむ1812km、または10時間で争われる決勝は、遅くとも現地時間28日24時（日本時間1日午前6時）にチェッカーを迎える予定だ。