【角田裕毅テスト分析/最終日】チームリーダーの自覚を感じた3日間。アップデート失敗を避けたいチームに大きな貢献

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2025年03月01日 07:50  AUTOSPORT web

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2025年F1プレシーズンテスト 角田裕毅(レーシングブルズ)
 F1プレシーズンテスト最終日、角田裕毅にレーシングブルズが用意したプログラムは、ロングランとショートランを組み合わせた質の高いものだった。

 チームメイトのアイザック・ハジャルは、午前中のセッションで、前日に続いてレースシミュレーションを行った。ルーキーのハジャルにとって、このバーレーンでのテストは開幕前の最初で最後のテスト。FIA F2選手権のレースは300kmに満たないため、F1のレースディスタンスを体で覚える必要がある。

 これに対して、角田はこれまで87レースにスタートしており、その必要はない。チームが欲しいのは、今年の新車『VCARB 02』とピレリタイヤのさまざまなデータだ。角田は、セッションが開始されると18周のロングランを3セットを行ってタイヤのデグラデーションのデータを取った。

 このロングラン・メニューで約3時間を費やした角田。残り時間は1時間を切っていた。この時点で角田のポジションは最下位。しかし、角田に焦りはなかった。なぜなら、5年目のシーズンを迎える角田に、チームへ速さをアピールする必要はないからだ。

 いまの角田に求められるのは、質の高い走りと正確なフィードバックだ。なぜなら、昨年のRB(現レーシングブルズ)はシーズンのアップデートに失敗しており、今年はその二の舞をするわけにはいかないからだ。最後の1時間で、セットアップを変えて、角田はショートランでのマシンの反応を試していた。

「今回のテストで最も重要なのは、今後の作業に役立つデータを得ること」(角田)

 タイムを出すことよりも、マシンを限界で走らせ、弱点をあぶり出す。いまのレーシングブルズでその仕事ができるのは角田だけだった。

 角田はそのような状況の中で、残り20分を切って、1分30秒789を出し、その後、自己ベストの1分30秒497を記録した。最終リザルトでは、中団グループでポイント争いのライバルとなりそうなウイリアムズとは0.8秒以上、アルピーヌからは0.4秒以上離されたが、角田がこのテストで重視していたのはタイムではない。

「テストを終えて、今後の開発において、どの部分に重点を置くべきかが明らかになったのが最大の収穫でした。メルボルンでの開幕戦に向けて準備は万全です」

 角田の走行データとフィードバックによって、レーシングブルズのエンジニアたちが、オーストラリアGPまでに『VCARB 02』をどこまで改善してくるのか。

 走りだけでなく、その発言においても、チームリーダーとしての自覚が感じられた5年目のプレシーズンテストだった。

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