最終ラップまでテール・トゥ・ノーズの戦いを繰り広げた33号車シボレー・コルベットZ06 GT3.Rと、59号車マクラーレン TFスポーツのダニエル・ジュンカデラは、WEC開幕戦『カタール1812km』でユナイテッド・オートスポーツ・マクラーレンのグレゴワール・ソーシーを抑え、シボレー・コルベットZ06 GT3.Rに勝利をもたらした自らのディフェンスを「とても誇りに思う」と語った。
■2年前の経験からインスピレーションを受ける
2月28日にカタールのルサイル・インターナショナル・サーキットで行われたシーズン開幕戦。LMGT3クラスの栄誉をかけた戦いは、33号車コルベットのジュンカデラと、95号車マクラーレン720S GT3 Evoのソーシーによる直接対決に発展した。10時間レースの最後の1時間の大半で、両者はテール・トゥ・ノーズの大接戦を繰り広げたのだ。
終盤はソーシーがペースで優位に立っているようにも見えたが、ジュンカデラは2025年の新たなチームメイトであるジョニー・エドガー、ベン・キーティングとともに、表彰台の中央に立った。ファイナルラップまで続いた攻防は、わずか0.493秒差で決着した。
「これは、準備し、ジムで一生懸命トレーニングし、心理学者に面会し、すべてをやり遂げた末の、勝つか負けるかという状況だった。後ろにいるマシンに匹敵するペースを自らは持っていないと分かっていながら、彼を封じ込めなければならないという場面だ」とジュンカデラは振り返る。
「それをやり遂げて、今は最高の気分だよ。オーバーテイクが難しいコースなので、彼が僕について来るのに苦労することは分かっていたが、彼はとても速く、そこには何度かチャンスがあった」
「僕は経験豊富な男なので、その時が来たら、どのように防御し、どこに身を置くべきかを知っている。その状況については、緊張しなかった。それをやり遂げたことをとても誇りに思っている」
ジュンカデラの仕事は、最後のスティントで左側のタイヤしか新品ではなかったという事実によってさらに困難になっていた。ソーシーは、最後のピットストップが長かったため、遅れをとった後、すぐにコルベットのドライバーに再び迫ってきていた。
「僕らのマシンの右サイドには予選で使ったタイヤが付いていて、それは少し古かったので、左コーナーでは彼に比べてかなり遅れていた」とジュンカデラ。
「特にターン10で(ソーシーは)とても速く、セクター2の終わりでは僕の横に迫りそうだった。だけど、それでも、そのシナリオにおける自分の仕事は分かっている。自分自身に集中し、ミスをしないようにしなければならない」
「思ったよりも長かったね。リードしていて、それをこんなに(僅差で)長く維持しなければならなかったレースは記憶にないよ」
ジュンカデラは、2年前のプチ・ル・マン(IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の10時間レース)で、ウェザーテック・レーシングのメルセデスAMG に乗っていたときのドライブからインスピレーションを得たと付け加えた。そのときは、最後の1時間のほとんどを、パフ・モータースポーツのポルシェをドライブしていたケビン・エストーレから守らなければならなかった。
「あれは僕が最も誇りに思うレースのひとつだった」とジュンカデラは回想する。
「僕はそのシナリオについて考えていた。2年前にレースに勝つためにそれをやったし、ここでもそれをやったんだ」
■GT2年目のソーシーは「経験不足」を認める
一方のソーシーは、ジェームス・コッティンガム、セバスチャン・バウドと組んだ95号車で2位を獲得したが、GT経験の不足がジュンカデラとの戦いで決定的な要因になったかもしれないと認めた。
「僕は最大限の努力をした」とスイス人ドライバーは語った。
「僕の方が速かったけど、ジュンカデラは僕の前にいて本当に強かった。僕が彼をオーバーテイクできる可能性があるところでは、彼はいつも本当に強かった。だから彼をオーバーテイクするのは本当に難しかった」
「彼がとても強いドライバーであることは分かっているし、僕はGTに参戦してまだ2年目なので、GTについてもっと理解する必要がある。だから将来的には彼より速くなれるかもしれない」
「(ルサイルでのタイヤの)デグラデーションはそれほど大きくない。もっとデグがあれば、可能性はあるのでもう少し楽だっただろう」
「だけど、(ペースの面で)両者の間には最小限のギャップしかなかったから、彼を追い抜くのは本当に困難だった」