新たに野尻智紀担当となった田口顕人エンジニア。“一瀬時代”も参考に探し求める突破口

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2025年03月01日 13:40  AUTOSPORT web

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今季から野尻智紀(TEAM MUGEN)を担当する田口顕人エンジニア。昨年は岩佐歩夢車のパフォーマンスエンジニアを務めていた。
 いよいよ開幕まで1週間に迫った2025年の全日本スーパーフォーミュラ選手権。ルーキードライバーの参戦や新規チーム立ち上げなど、今年も話題が多いなか、特に注目を集めたのが“エンジニアの移籍・昇格”といったチーム内部の動きだ。

 今年は約半数の車両でエンジニアが昨年の開幕時点と変わっており、今年初めてスーパーフォーミュラのトラックエンジニアを務める人もいる。

 このなかで最も注目を集めたのが、2021年と2022年のチャンピオンエンジニアである一瀬俊浩氏のThreeBond Racing移籍だ。公式テストでは最初のセッションから好タイムを連発していた。

 そして、その一瀬エンジニアが長年担当したTEAM MUGEN野尻智紀の16号車のトラックエンジニアに新たに就任したのが、田口顕人氏。昨年はチーム内で岩佐歩夢の15号車のパフォーマンスエンジニアを務めていた人物だ。

■「言葉のニュアンスで食い違うことはない」

 開幕に向けた公式テストは雪の影響により2日目の走行がキャンセルとなったものの、16号車陣営は新シーズンに向けての準備を着々と進めている様子だった。

「今回はタイヤ(のスペック)が変わって初めてのテストだったところもあって、新しい試みをやりつつ、昨年の振り返りもやりつつみたいな感じでやっていきました。その中で良いところ・悪いところは一応判別できているところはあるので、開幕戦に向けた材料集めはできたかなと思っています」と田口エンジニア。

 とはいえ、2日目のセッションができなかったことは痛手のようで「ただ、もうちょっと(走行する)時間がほしいなというのはありますが……そこは全車イコールなので(苦笑)」と本音を漏らす場面もあった。

 タイヤに加えて鈴鹿サーキットの東コースも変わったということで、現段階で勢力図がハッキリしていない。それでも田口エンジニアは「まったく戦えないかというと、そうではないと思います。ただ、勝てるかと言われると現状では難しいところもあります。僕の野尻さんとでパフォーマンスを上げていくところに対して、その引き出しをもう1段上げていくというというところが少し足りていないかなと。そこは開幕戦の練習走行しかないですが、何とかして引き上げられないかなと思っています」と現状のポジションを語った。

 トラックエンジニアは初めてではあるものの、TEAM MUGENでの在籍は長く、データエンジニアとしての経験も豊富。もちろん、野尻と仕事をしている時間も長いため、コミュニケーション面の問題はないという。

「基本的に野尻さんが言っていることは自分も理解できていますし、言葉のニュアンスで何か食い違うことはないです。ドライバーコメントは人によって違うと思いますけど、野尻さんとはその辺を擦り合わせる必要はないかなと。今は僕自身がこのクルマの理解を深めないといけないなというところと、今年のタイヤにあったパフォーマンスを引き出すというところを頑張っていかないといけないかなと思っています」

 自身のやり方で淡々とテストをこなしていた感じはあるが、やはり16号車担当の前任者は野尻の絶対的な相棒だった一瀬エンジニア。否が応でも比較されがちだ。

 そこに関してテスト前日のメディアデーでは「気にしても仕方がない」と田口エンジニアも話してはいたが、プレッシャーがゼロではない様子。「一瀬さんがやっていたところが大きいんですけど……(これまでの実績に)恥じないようにやれればなと」と苦笑いを見せつつ、田口エンジニアが見つけた“可能性ある突破口”を開幕に向けた準備のテーマにすると語った。

「やっぱり、(一瀬エンジニアの凄さは)常々思いますよ。でも通年やってきたなかで良いところ悪いところがあって、それは自分が今やっても改善することができないですけど、『多分、一瀬さんはここの部分で悩んでいたんだな』と自分も理解することができました。今までの手法だとダメなところがあるのかもしれないし、逆にタイヤが変わったことで今までやったことを振り返っていくなかで良くなるものもあるかもしれません」

「僕たち自身も過去のデータを振り返りきれていないので、開幕戦に向けて時間が短い中にはなりますが、過去のデータもみて、そこに何か良いものがあれば取り入れられればなと思います」

 ある意味で新たなスタートを切る16号車陣営。開幕戦を含めて、今シーズンどのように変わっていくのか、目が離せないところだ。

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