ジョアン・ミル(ホンダHRCカストロール)/2025MotoGP第1戦タイGP 決勝 3月2日、2025年MotoGP第1戦タイGP MotoGPクラスの決勝レースがチャン・インターナショナル・サーキットで行われ、ホンダHRCカストロールのルカ・マリーニは12位でポイントを獲得、ジョアン・ミルは転倒リタイアという結果で終えた。
開幕戦はミルとヨハン・ザルコ(カストロール・ホンダLCR)の2台が、ダイレクトでの予選Q2進出を決め、ミルは予選においてホンダに移籍した2023年以来では自身最高となる11番グリッドを獲得。スプリントでも9位でポイントを獲得し、気温と路面温度ともに上昇した厳しい状況下でのレースにおいても、ペースや戦闘力の向上が見られる。そのため、ミルもマリーニも少しずつポジティブなコメントが増えてきているのがうかがえる。
そして迎えた決勝日、まずは午後のレースに向けて朝のウォームアップ走行が行われた。セッション中にはミルがコースアウトする場面も見られたが、転倒には至らず無事な様子。マリーニは12番手、ミルは13番手でこのセッションを終え、決勝に向けて準備を進めた。
決勝レースは気温36度、路面温度49度とスプリントに比べると路温が少し低いコンディションとなった。タイヤ選択としてはリヤはともにハードだったが、フロントは分かれミルはソフト、マリーニはハードを選択。始まった決勝レースのスタートではミルが10番手に順位を上げていたが、マリーニはスタート直後のミスが響き1コーナーで19番手まで順位を落としていた。
ミルはその後も着実に順位を上げていき7番手を走行していたが、15周目の最終コーナーで痛恨の転倒を喫してしまい、戦線離脱となってしまう。一方のマリーニも同様に少しずつポジションを回復させており、ミルの転倒後には12番手まで浮上していた。
その後はジャック・ミラー(プリマ・プラマック・ヤマハMotoGP)を追いかける展開となったが、オーバーテイクには至らず12位でチェッカーとなった。スタート直後は大きく順位を落としてしまったが、貴重なポイントとデータを持ち帰った。ミルは初日から好調を示していただけに、決勝での転倒は少々痛手となってしまった。
また、ホンダ陣営としてはヨハン・ザルコ(カストロール・ホンダLCR)が最上位となる7位を獲得。ホンダ移籍後において、スプリントと決勝の8位という自己ベストを上回る成績となった。ルーキーのソムキャット・チャントラ(イデミツ・ホンダLCR)は、18位でチェッカーを受けた。
ザルコがホンダ移籍後の自己ベストを更新したこともそうだが、ミルとマリーニにおいても、開幕戦からポイント圏内だけでなくトップ10内でも争える位置まで上がってきていることが見てとれた。レースペースも決して悪くはなさそうだが、第2戦目以降はプライベートおよび公式テスト以外でのサーキットとなるため、真の戦闘力は次戦以降で見えてくるのかもしれない。
前年度よりは確実に良くなってきているものの、上位との差はまだ大きいようで、さらなるホンダRC213Vの戦闘力向上と改善が必要となってくるだろう。第2戦目以降は、ホンダファクトリチームのミルとマリーニがどこまで上位に食い込めるかに注目しよう。
■ルカ・マリーニ(決勝:12位)
「体力面と精神面にとって良い最初のテストだったし、今週末の展開には満足しているんだ。週末を通してペースを上げることができたからね。今日のレースはスプリントほど体力的にきつくなかった。このような長距離レースでは走り方が異なるし、今日は雲も少しあった。さらに先はあるけれど、ほんの数か月前にここに来てから、本当に良い進歩を遂げることができたと思う」
「スタートで遅れて急いでいたからスタート手順を間違えてしまったけれど、その後は本当に良いレースを展開し、最初のコーナーで最後尾から12位まで順位を上げたんだ。これがなければ、ミルやザルコと並んでトップ10内で戦えたかもしれない。僕たちの成果には満足しているし、シーズンが進むにつれてさらに進歩することができるだろう」
■ジョアン・ミル(決勝:リタイア)
「本当に良い週末、本当に良いレースだったよ。クラッシュするまでの僕たちのパフォーマンスは、オフシーズン中に僕とホンダが成し遂げた進歩を示していると思う。ジャック(・ミラー)を追いかけようとして小さなミスを犯し、あのコンディションではセーブすることができなかった。でも、スタート直後にポジションを落とした後、僕たちは本当に素晴らしいレースをしていたんだ」
「他のみんなと同じようにバイクはとても熱くなっていたし、同様のコンディションでの今後のレースではこの点にもう少し取り組む必要があると思う。グループの先頭、トップ5あたりで戦う可能性もあったと思うから、このような結果に終わるのは残念だ。昨年は感じなかったことだけど、正しい方向に向かっていることを証明しているよ。今週末は最も厳しい瞬間を経験したけれど、これからさらに厳しい瞬間がやってくると思う」