過酷な“3週連続24時間レース”も影響。BMW、2025年ル・マンへの3台目のハイパーカー投入を断念

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2025年03月03日 19:50  AUTOSPORT web

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WEC公式テスト“プロローグ”でカタールのルサイル・インターナショナル・サーキットを走るBMW Mハイブリッド V8
 BMWは2025年のル・マン24時間レースに、3台目のMハイブリッド V8を投入しないと明らかにした。モータースポーツ責任者のアンドレアス・ルースは、3週連続で24時間レースが開催されるという忙しい6月を乗り切るため、同ブランドは「2台のクルマに集中する」と述べている。

 ミュンヘンのメーカーは今週末、WEC世界耐久選手権のハイパーカー部門で2年目のシーズンを開始、開幕戦『カタール1812km』レースにチームWRTが運営するBMW MハイブリッドV8を2台投入する。

 ルースは先月のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権開幕戦デイトナ24時間レースで、ル・マンにチームRLLが投入する3台目の車両の可能性を検討していると示唆していた。

 しかし、カタールでSportscar365に語ったルースは、3台目のクルマは投入しないという決定を下し、ル・マンでは既存のハイパーカー2台による取り組みを続けることを選んだと説明した。

「正直に言わなければならない」とルースは語った。

「時間が迫っているため、ル・マンに3台目のクルマは出せない」

 ルースはさらに、耐久レース界にとって異例の忙しさとなる6月を背景にこの決定が下されたと説明した。今年の6月はル・マン24時間レース、ニュルブルクリンク24時間レース、スパ24時間レースが3週末連続で開催されるスケジュールとなっている。

 さらに複雑なのは、ル・マン翌週の6月22日、ニュル24時間と同じ週に、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のワトキンス・グレン6時間レースが予定されていることだ。

「それが、現時点では2台のクルマに集中している理由である」とルース。

「(3台目となる)追加のクルマがあれば常に役に立つのは明らかだし、将来的にもそれを否定するつもりはない」

「IMSA側でも話し合いを進めており、カスタマーチームの可能性についても検討中だ。カスタマーからの要望はあるが、現時点では何も決まっていない」

「決まったことなど何もないが、とにかくこれは通常の話し合いだ。昨年もすでにこの話し合いがあった」

 ルースは以前、BMWはダラーラをベースシャーシに持つLMDh車をカスタマーに販売する考えに前向きであると示唆していたが、それはまだ実現していない。

 ルースはさらに、BMWは6月に「過度のストレス」を負わないように注意する必要があると述べている。昨年夏に初めてこのスケジュールが確認されたとき、ルースは反対の声を挙げていた。

「6月に3つの主要な耐久レースすべて、すなわちGTレースふたつとハイパーカーのレースがひとつ、そして世界最大のレースのひとつであるル・マンに出場するにあたり、我々は持っているもの、できることに集中し、とにかくすでに非常に忙しい週に過度のストレスを負わないようにしなければならないと明確に述べた」とルース。

「だからこそ、ル・マンでは2台の車両に集中し、その後、安心できるニュルブルクリンクとスパで何ができるかを見極めると言ったのだ」

 ルースは、BMWがワトキンス・グレンとニュル24時間の週末のドライバーの割り当てについて「すでに決定を下した」と示唆し、ファクトリードライバーのフィリップ・エング、シェルドン・ファン・デル・リンデ、ドリス・ファントール、マルコ・ウィットマンは、シーズンを通してIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権に出場するため、ニュルには参加できない可能性が高いと述べた。

「もちろん、影響はある」とルース。

「結局のところ、ドライバーの数は限られており、これですでに対応できるクルマの数が制限されている」

「これは私が最初から言っていたことだ。これらの重要なレースをすべて同時期に詰め込み、他の重要なレースと重なるのは理想的ではない」

「結局のところ、単一のイベントにドライバーをただ乗せるだけ、はできない。これは我々の哲学ではないし、我々がやりたいことでもない」

「だからこそ、最終的には、これらすべての重要なレースの間で最善の妥協点を見つけなければならないのだ」

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