曽野綾子さん死去、９３歳＝作家、「神の汚れた手」

　小説「神の汚れた手」やエッセー「老いの才覚」などで知られる作家の曽野綾子（その・あやこ、本名三浦知寿子＝みうら・ちずこ）さんが２月２８日午後２時５９分、老衰のため東京都内の病院で死去した。９３歳だった。東京都出身。葬儀は近親者で済ませた。

　聖心女子大英文科卒。１９５３年、同人誌「新思潮」で出会った作家の三浦朱門さんと結婚。阿川弘之さんや遠藤周作さんらと共に「第三の新人」と呼ばれた。

　５４年「遠来の客たち」が芥川賞候補となり、以降「無名碑」「天上の青」などの小説を発表。生き方指南のエッセイストとしても知られ、「誰のために愛するか」「人間の分際」などはベストセラーに。保守派の論客としても活躍し、沖縄戦の女生徒部隊について記した「生贄（いけにえ）の島」などを出版した。

　７２年から４０年間、海外で活動する日本の神父やシスターを支援する民間組織（現・海外邦人宣教者活動援助後援会）の代表を務めた。７９年、ローマ法王庁からバチカン有功十字勲章を受けた。

　９５年から約１０年間、日本財団会長。ペルーのアルベルト・フジモリ元大統領と交流を持ち、２０００年の日本亡命時には自宅に受け入れた。

　０３年、文化功労者。日本芸術院賞・恩賜賞、菊池寛賞なども受賞した。