宗教法人法で定められた質問権に基づく調査への回答を拒んだとして、文部科学省が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)側に過料を科すよう求めた申し立てで、最高裁第1小法廷(中村慎裁判長)は3日付の決定で、「民法上の不法行為は解散命令の要件に含まれる」との初判断を示した。
その上で、田中富広会長に過料10万円を科した東京高裁決定(2024年8月)を支持し、教団側の不服申し立てを退けた。過料を巡る手続きは終結した。
裁判官5人全員一致の意見。教団の解散命令請求を巡る裁判は異なる手続きだが、民法上の不法行為が解散命令の要件に含まれるかどうかという争点は共通している。小法廷の決定は、解散命令の判断に影響を与える可能性がある。
宗教法人法は、解散命令の要件として「法令に違反し、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」を挙げ、こうした行為をしたと疑われる場合、質問権を行使できると定めている。
文科省は献金被害に遭った元信者らが起こした民事訴訟で、教団側の民法上の不法行為が認められていたことを理由に、22年11月〜23年7月、7回にわたり質問権を行使したが、教団側に一部の回答を拒まれたとして23年9月、東京地裁に過料を科すよう申し立てた。
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教団側は過料の手続きで「民法上の不法行為は解散命令の要件には含まれず、質問権の行使自体が違法」と反論していた。
これに対し、小法廷は、民法上の不法行為は、他人の権利や利益を侵害するもので、不法行為を理由に宗教法人として不適切となることも十分あり得ると指摘。教団側に過料10万円を科すことを認めた東京地裁、東京高裁決定を支持した。
教団側は、東京地裁で続いてきた教団に対する解散命令請求の審理でも、民法上の不法行為は解散命令要件には含まれないと主張している。
解散命令請求の審理は25年1月に終結し、今後判断が出される見通し。
【巽賢司】
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