前週にアトランタの高速ハイバンク戦を制していたクリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)が2週連続勝利を達成 サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で開催された2025年シーズン初のロードコース戦、2025年NASCARカップシリーズ第3戦『エコパーク・オートモーティブ・グランプリ』は、前週にアトランタ・モーター・スピードウェイの高速ハイバンク戦を制していたクリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)が、残り5周でカイル・ブッシュ(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)を仕留めて2週連続勝利を達成。
終盤は猛追するウイリアム・バイロン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)も抑え、カップ通算11勝目、自身COTA初制覇を成し遂げた。
■トヨタがフロントロウを独占
昨季は小林可夢偉の参戦で話題を集めたCOTAラウンドだが、今季2025年はショートレイアウトながら“ロードコースでのドライビングの真髄”を披露すべく、この2025年よりカップ本格フル参戦を開始した“SVG”ことシェーン−ヴァン・ギズバーゲン(トラックハウス・レーシング・チーム/シボレー・カマロ)がフリープラクティスから快走。伝統の開幕戦デイトナで連覇を達成したバイロンや、前戦アトランタで“叱責”のキャリアハイ2位を記録したカップ2年目のカーソン・ホセヴァー(スパイア・モータースポーツ/シボレー・カマロ)らを従えトップタイムを刻んだ。
オーストラリア仕込みのドライビングで、その勢いを維持するかに見えたRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップ3冠のSVGだったが、予選に入ると様相が一変。このCOTAで優勝経験もあるタイラー・レディック(23XIレーシング/トヨタ・カムリXSE)が手腕を発揮し、僚友ダレル“バッバ”ウォレスJr.(23XIレーシング/トヨタ・カムリXSE)との編隊走行でポールポジションを獲得し、トヨタ・カムリXSEがフロントロウを占拠してみせた。
迎えた日曜ファイナルは、オープニングから波乱を予感させるアクシデントが発生し、ターン1ではSVGの僚友ロス・チャスティン(トラックハウス・レーシング・チーム/シボレー・カマロ)を起因にチェイス・エリオット(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)が巻き添えを喰うと、その後方では他車に接触したタイ・ギブス(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)が衝撃で空中に舞い上がり、同じく僚友のデニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)が右フロントを損傷してしまう。
最終的にウォレスがステージ1を制覇した後、トヨタ勢に喰い下がったのが88号車SVGと“もう1台のシボレー”ことブッシュの8号車で、ステージ2のリスタート以降はお互い首位争いを繰り広げ、カップ2冠に輝く元王者が95周中42周で最多ラップをリードしていく。
44周目に右前輪が外れたカイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)に2周のペナルティが課されると、ライアン・プリース(RFKレーシング/フォード・マスタング)がステージ2ウインを奪取。迎えたファイナルステージ序盤の50周目には、縁石を跨いでスピンを喫したダニエル・スアレス(トラックハウス・レーシング・チーム/シボレー・カマロ)が、このラウンドでカップ初挑戦を果たした注目のコナー・ジリッシュ(トラックハウス・レーシング・チーム/シボレー・カマロ)のラインを塞ぐかたちで交錯。この接触により双方に大きな損傷が生じるなどトラックハウス・レーシングには手痛い展開となってしまう。
首位ブッシュは残り27周で最後のピットインを敢行し、ベルはその2周後にピットへ。残り20周でサイクルを終えたブッシュは、新たな挑戦者であるJGRトヨタの20号車に5.3秒のリードを保っていく。
一方、序盤にダメージを負ったハムリンは、終盤にオースティン・ディロン(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)と接触してスピンするアクシデントもあり。これによりディロンの3号車がグラベルにスタックしたため、レースの残り17周で最後のコーションが出される。
これでギャップがリセットされ残り13周で迎えた最後のリスタートでは、アウトサイドレーンを選択したSVGがラップ終盤でポジションを落とす一方、ベルはインサイドの2列目で首位ブッシュの背後から勝負を再開し、すぐさま2番手に浮上して優勝争いに加わっていく。
残り5周を目前に8号車ブッシュのインサイドにダイブしたベルは、首位浮上後も左右に目を配り、リードを争うなかで背後に迫ったバイロンと時折接触するバトルを展開して8周をリード。皮肉なことに、昨季このサーキットでバイロンを追い掛けて2位に終わっていたベルが、雪辱の連勝劇を演じてみせた。
「ああ、これは去年のデジャブみたいだった。あのときもトラックポジションを争っていた」と振り返った2週連続ウイナー。
「ロードコースのレースは本当に楽しい。カイル(・ブッシュ)がリードしているときはいつも、とても慎重になるようにしていたんだ。もちろん、去年何が起こったかはわかっている(ベルがターン1でブッシュをスピンさせた)し、ああなって欲しくなかった」
「キレイに追い抜きたかったし、彼はレースをうまくやっていて、僕はダイブする隙がなかった。僕が鼻先をのぞかせ始めたとき、彼はタイヤが終わっていて、そのおかげで僕が前に出ることができた。その瞬間は『ああ、自分を責めないで』と思ったよ」
その勝者の言葉どおり、最後はバイロンばかりかレディック、エリオットにも先行を許して5位に終わったブッシュは「(ベルとの)接触で右リヤが曲がり、その後はまったく別のレースカーになった」との不満を漏らした。
「RCRの皆には申し訳ない。オレたちには根性があるし、誰よりも頑張るつもりだが、20号車(ベル)が2周分だけフレッシュなタイヤを履いていたことが違いだったかもしれない」と続けたブッシュ。
「でも、クリストファー(・ベル)には敬意を表したい。彼は本当に激しく走ってくれたが、こちらは完全に終わっていた。彼は素晴らしい仕事をし、オレをうまく料理し、正しいやり方で追い抜いていったんだ」
併催されたNASCARエクスフィニティ・シリーズ第3戦『フォーカスド・ヘルス250』は、前評判どおり“ロードコースの天才”と謳われる18歳のジリッシュ(JRモータースポーツ/シボレー・カマロ)が、コーリー・ハイム(サム・ハント・レーシング/トヨタGRスープラ)との激戦を制し、その実力を証明する勝利を飾っている。
https://youtu.be/S0xLjIWdTTs
https://youtu.be/6l6rtzqTQE4
[オートスポーツweb 2025年03月04日]