これまで、音楽配信プランはシングル、アルバムの1リリースごとの従量料金制「Pay Per Releaseプラン」のみであったが、そこに新たに加わったのが「Unlimitedプラン」だ。「Pay Per Releaseプラン」は、1曲単位のシングルで年間1551円(税込)、2曲以上のアルバムで年間5225円(税込)であるのに対し、最も手軽な「Unlimitedスタータープラン」は年間4400円(税込)で何曲でもリリースが可能となる(プランにより条件あり)。単純計算で、1年にシングルを3曲リリースするならば、「Unlimitedスタータープラン」のほうがお得に利用できるというわけだ。
チューンコアジャパンの山本祐哉ゼネラルマネージャーは「サービスをローンチした12年前と今とを比較したとき、3つの大きな時代の変化が『Unlimitedプラン』導入の背景となりました。1つは、サービスローンチ当初は『配信がこんな安価で可能』と評価を受けていたのですが、昨今楽曲を配信することが当たり前になり、配信する人も増えた反面、初心者の方の数も増え『Pay Per Releaseプラン』が経済的なハードルとなってしまった。また、音楽制作をする人が10代、20代前半でも増えており、費用を気にせずリリースできる環境の必要性を感じていました。2つめは、海外のアーティスト環境との対比で見た時にリリースし放題サービスが当たり前のものとなっていること。そして3つめは、利用アーティストが配信した累計楽曲数と累計収益の関係性を見た際に、多くの楽曲をリリースしているアカウントほどアカウントの収益は多く、また1曲あたりの収益も増加する傾向が見られたことです。新プラン導入は数年前から検討しており、コロナ禍が落ち着いた今、ようやく世界のインディペンデント・アーティストと同じような環境を提供できる体制を整えられました」と説明。
そのうえで、「スターター」と「スタンダード」の間には、1つのアルバムに含められる最大アルバム楽曲数(前者が5曲、後者が15曲)や、毎日の再生数を把握できる速報レポートの有無、配信開始までにかかる日数などの違いがある。また「スタンダード」と「プロ」に関しては、メインアーティストの人数の違いに加え、各音楽ストリーミングサービスにリリース情報をサブミットし、各サービスのバナーやピックアップ欄、公式プレイリストなどで自身の楽曲が展開・紹介がされやすくなるサブミット機能の有無が大きな相違点となっている。これらの差異を押さえつつ、自身の活動スタイルや音楽制作ペースを踏まえて、4つの「Unlimitedプラン」、あるいは「Pay Per Releaseプラン」のどれが最適かを検討すると良いだろう。
なお、既に「Pay Per Releaseプラン」で楽曲を配信している場合、「Unlimitedプラン」に切り替えると、配信中の楽曲も定額料金プランに内包される。例えば、現状でアルバムを10枚リリースしているアーティストなら、今まで年間5万2250円かかっていた料金が、「スタータープラン」に切り替えると10アルバムの配信が年間4400円で行えるということにある。もちろん、とりあえず「Pay Per Releaseプラン」で1曲をリリースし、反応を見つつ、時間をかけて複数曲ができたら「Unlimitedプラン」に切り替えるという選択も“アリ”だ。