
“ミッキー史上初のホラー映画”として世界中で物議をかもした『マッド・マウス ミッキーとミニー』(3月7日公開)。
【写真】もしかしてこのポーズは…不適切にもほどがある製作&脚本&出演のサイモンとジェイミー監督
米国でパブリックドメイン化した『蒸気船ウィリー』(1928年)の初代ミッキーを殺人鬼として再構築し、大殺戮スプラッターパーティーを開催する。劇中では大男と化したミッキーが躊躇なく斧を振り下ろし、あの見慣れた笑顔に返り血を浴びる。
何たる冒涜!しかし本作PRのために来日したジェイミー・ベイリー監督と製作&脚本&出演のサイモン・フィリップスに直撃してみると、ディズニー映画『ファンタジア』好きであることが判明。しかもサイモンの父親はディズニーと縁ある人でもあった…。
父親はホラー映画嫌い
──本作製作を通して、ミッキーマウスの新たな魅力や可愛らしさを再発見したようなことはありましたか?
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サイモン:この映画を作ってみて改めて、いかにミッキーが世界中で認知され愛されているキャラクターなのかを理解することができました。もちろんホラーというジャンルが世界中で受けるということもありますが、ここまで話題になって支持されたのは“ミッキーマウスのホラー映画”だからで。ちなみに我々はディズニー映画が大好きです!…あ、言っちゃった。なんかハズい。
──お気に入りのディズニー映画を教えてください。
ジェイミー監督:ミッキーで絞るならば『ファンタジア』一択です!
サイモン:え?嘘でしょ?初めて聞いた!ちなみに僕のパパはミュージシャンで、『ファンタジア』のライブコンサートで演奏していたよ。そのツアーで2000年には来日もしている。なんだか縁だね。
ジェイミー監督:マジ!?パパ凄くない?
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──そんなお父さんは本作について何か言っていましたか?
サイモン:そもそも観てくれません…。うちのパパはホラー映画が苦手で大嫌いだから。でもクリエイティビティという観点からはすごく評価してくれて、応援してくれています。ありがとう、パパ。
子供から抗議の手紙も?
──ディズニーファンは世界中にいるわけで、そういった人たちから怒りのメッセージを受け取ったりはしませんでしたか?
ジェイミー監督:やっとこの話ができる!実は予告編公開後、子供の字で「カリフォルニアに住んでいます」と書かれた手紙が届きました。読んでみると「僕はミッキーが大好き。だからこんな映画を公開しないでほしい」と書いてあって。思うに、ネットか何かで予告編を見て親に頼んで住所を調べて送ってくれたのでしょう。その手紙はグサッと心に刺さったので、一生捨てないでおこうと思って額縁に飾っています。
サイモン:それ本当に子供かね?50歳の小さなお友達じゃないの?僕には「お前がミッキーにしたのと同じようなことをしてやる!」というメッセージが届きました。それって僕をホラー映画の大スターにしてくれるってこと!?
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ジェイミー監督:その子に僕はちゃんと返信しました。「血まみれのミッキーの耳でも送って差し上げましょうか?」って…もちろん嘘ですよ、ジョークです。みんなゴメンナサイ。
──天国のウォルト・ディズニーさんは今回の作品をどう思うのでしょうか。
サイモン:ウォルトさん、あなたが作ったものは楽しくて、クリエイティブで子供のみならず大人をも楽しませるものばかりです。その意味では『マッド・マウス 〜ミッキーとミニー〜』はウォルトさんがやって来たことを踏襲した作品だと自負しております。どうでしょうか?
ジェイミー監督:オッホン…!ウォルトさん、僕ら弱小映画作家がどうあがいたってゴールドなディズニーの名声の足元にも及びません。だから…多少は目をつむってください!
サイモン:そもそも100年前に生まれたキャラクターがこうやって新しい形で現代にクリエイトされるのは偉大なことです。きっとウォルトさんも天国で「クール!」と言ってくれるのではないでしょうか。そう願います!
…ふざけたことがたまらなく好きな少年が、そのまま大人になったかのようなお二人。映画というおもちゃ箱で遊ぶのが楽しくて仕方ないのだろう。標的になってしまったミッキーは不憫ではあるが、きっと笑い飛ばしてくれる!?
(まいどなニュース特約・石井 隼人)