2013年、日本ラブストーリー大賞最終候補作に選ばれた『今日、きみと息をする。』で作家デビューし、続く「響け!ユーフォニアム」はテレビアニメ化されヒットしている武田氏。吉川英治文学新人賞を受賞した本作「愛されなくても別に」は、著作の中で実写化初となる作品。2016年公開の短編映画「溶ける」で日本人最年少での第70回カンヌ国際映画祭シネフォンダシオン部門の正式出品を果たし、その後も映画「真っ赤な星」(18)、「NO CALL NO LIFE」(21)、「あの娘は知らない」(22)ほか、ミュージックビデオ、ドラマ「隣の男はよく食べる」(23)など数々の作品でメガホンをとった若手映画監督・井樫氏が監督、脚本を務めた。オリジナル作品をフィルムライクな映像表現で描きながら、若者たちの言葉で表現しづらい心情を見事に映像化する手腕は本作でも顕著に見ることができる。
浪費家の母親に依存され、人生に一度も期待を抱いたことのない主人公・宮田陽彩(みやた・ひいろ)に抜擢されたのは、三島有紀子監督作「幼な子われらに生まれ」(17)で鮮烈なデビューを果たし、その他「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」(18)で、報知映画賞、ブルーリボン賞他、数々の映画賞を受賞し、その演技力が高く評価される南。主な出演作にドラマ「ドラゴン桜」「鎌倉殿の13人」「女神の教室〜リーガル青春白書〜」「君に届け」「光る君へ」、映画「女子高生に殺されたい」「この子は邪悪」など。現在は、DMMTVオリジナルドラマ「外道の歌」、ABEMAオリジナルドラマ「わかっていても the shapes of love」が配信中。南はこの作品と出会ったことで「陽彩を抱きしめてあげたくなりました」と主人公への愛情を示し、「ただ生きることがこんなにも難しいこの世界で、未来を見ることが出来なくても、今を生き抜く力を持てたら、と強く思えた作品でした」と、生きることをエンパワーメントする映画であることを伝える。