参院予算委員会で答弁する石破茂首相=5日、国会内 太平洋戦争終結から80年の節目を迎えるのに合わせ、日本政府が今夏にも戦後フィリピンに残され無国籍となっていた「残留日本人2世」を日本に招く方針を固めた。日本国籍を取得する「就籍」に向けた情報収集を支援し、石破茂首相との面会も調整する。関係者が6日、明らかにした。
首相は5日の参院予算委員会で、残留2世について「国民の負担で渡航、親族探しをすることは十分理由のあることだ」と答弁。その上で、「首相が会うことで日本の思いが伝わるのであれば、ぜひ実現したい」と述べ、面会に意欲を示した。
フィリピンには、20世紀初めごろから多くの日本人が移住。現地で生まれた子供の中には、戦後の反日感情を背景に、親が日本人であることを隠し無国籍状態となった人が多くいた。
今回は、沖縄や広島にルーツを持つとみられる残留2世約10人が招かれる予定。就籍を支援するNPO法人「フィリピン日系人リーガルサポートセンター(PNLSC)」(東京都新宿区)などが現地で調査に当たったが、日本人との親子関係を示す証拠の収集が難航していた人たちだ。証拠が見つかれば、日本の裁判所に就籍を申し立てる。
終戦から80年がたち、残留2世の高齢化は進む。日本政府によると、これまでに1600人超が日本国籍を取得。昨年時点で50人余が就籍を希望している。