山崎豊子生誕100年記念テレビ朝日ドラマプレミアム『花のれん』で主演を務める北川景子(C)テレビ朝日 俳優の北川景子が、3月8日放送の山崎豊子生誕100年記念テレビ朝日ドラマプレミアム『花のれん』(後9:00)で主演を務める。このほど、北川がORICON NEWSの取材に応じ、本作でも演じた“母”としての現在地、そして目指すあり方について語ってくれた。
【扮装写真】吉本興業創業者がモデルのヒロインを演じる北川景子――明治〜昭和という激動の時代、“女性プロデューサー”の先駆けとして道を切り拓いた稀代の女性興行師・河島多加(かわしま・たか)の生涯を描く本作。北川さんは主人公の約40年にわたる半生を演じられましたが、短期間の撮影でその長い人生を表現することは大変だったのではないでしょうか?
【北川】そうですね。台本を読んでいる時は、付箋を貼って何歳のときなのか年齢を意識して書き込んでいました。本当に壮大な大河ドラマのような作品ですが、2時間ドラマということで、撮影となると1日でかなり年齢が飛ぶこともあり、目まぐるしいスケジュールでした。昼間は幼い子どもと一緒のシーンを撮影したかと思えば、休憩後には息子がすっかり成長していたりして…(笑)。1日の撮影の中でも波乱万丈で、気持ちの切り替えや集中力を保つことが大変でしたね。でも、その分やりがいも大きかったです。
――衣装やメイクの変化も大きかったかと思いますが、役作りに影響はありましたか?
【北川】はい、衣装やメイクは役作りを助けてもらう部分がすごく大きかったです。若い頃の着物は色や柄が鮮やかで、カツラも華やかなので自然と気持ちも若くなりました。一方で、晩年になると落ち着いた色合いの着物に変わることで、役柄の年齢を実感することができました。鏡の前で自分の姿を見て、「ああ、私は今こういう年代なんだ」と気持ちを作ることができるんです。それに合わせて声のトーンや歩くスピード、椅子から立つ動作などを変えていく。台本を読むだけでは気づけない部分を衣装やメイクが教えてくれる感覚でした。
――時代は現代と大きく違いますが、今回の役を通して北川さんご自身が共感した部分はありますか?
【北川】すごくありました。多加は子育てをしながら働く女性ですが、現代でも共働き家庭が当たり前になっているので、私自身も共感する部分が多かったです。
――北川さんも二人のお子さんを育てながらお仕事もされていますよね。
【北川】私はつい「しんどいな」「無理かも」と思ってしまうこともあるのですが、多加は脚本の中でもあまり弱音を吐かず、「じゃあどうしようか」と前向きに考える姿勢を持っています。それがすごくかっこよくて、私に足りない部分だなと感じました。役を通して、私も多加のように前向きに頑張ってみようと思えましたし、とても励まされました。
――でも北川さんもあまり弱音を吐かないようなイメージでした。
【北川】家では「疲れた」ってずっと独り言を言っています(笑)。子どもが寝た後に、1回座ってしまうとなかなか動けない時もあって。「お米をとがないと」とか「洗濯たたんでから寝よう」とか、自分に向かって声をかけてるんです。家では、世の中のママさんたちと同じですよ。でも、やっぱり外では言わないようにしていますね。
――本作でも、多加の姿を見て子どもが育っていく様子が描かれますが、北川さんはお子さんにどんな姿を見せていきたいと考えていますか?
【北川】ほかのお仕事でもそうですが、芸能界は人とのつながりがすごく大事なお仕事で。目上の方を敬うことだったり、後輩に言いにくいことでもきちんと伝えなきゃいけない場面があったり、良い人間関係を築くことが大切なんですが、そういうことを伝えたいなと思っています。
今回、撮影現場にも1日だけ来てくれて、「ママはこんなふうに働いているんだよ」と見せることで、日頃の離れている時間を少しでも理解してもらえたりするのかなって。だから、一生懸命働く姿を見せることが、子どもにとっても大事かなと思っています。
――最後に、本作は若い方にも見てもらいたい時代モノということで、この作品を通じて現代に生きる若者に届けたいメッセージはありますか?
【北川】この作品をやりながら思ったのは、「笑う門には福来る」という言葉がありますが、つらい時でも無理にでも笑うことは大切なんだなということ。私たちの仕事では、プライベートでつらいことがあっても笑顔でステージに立つことがあります。そうやって笑っているうちに、悲しみが少しずつ薄れたり、前に進むきっかけになったりするんです。
河島多加さんも人に笑いを届ける人でした。人を泣かせたり、怒らせることよりも、人を笑わせることはずっと難しい。でも、笑いは人を前向きにしてくれます。皆さんにも、笑うことの大切さを感じてもらえたらと思いますし、この作品を見た方が「面白かったね」と笑い合うきっかけになってくれたらうれしいです。