元TBSアナ、『朝ズバッ!』時代のみのもんたとの“事件“を明かす「本番中のことです…」

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2025年03月07日 09:20  女子SPA!

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『朝ズバッ!』時代、みのもんたさんに鍛えられていた25歳頃の私
 2010年にTBSに入社し、『朝ズバッ!』『報道特集』などを担当したのち、2016年に退社したアンヌ遙香さん(39歳・以前は小林悠として活動)。

 TBS退社から8年経った今年、紆余曲折を経て20年生活した東京を後にして活動拠点を故郷北海道に戻したアンヌさん。アラフォーにして再スタートを切った「出戻り先」でのシングルライフの様子や心境をつづる連載です。
 第24回となる本記事では、2025年3月1日に逝去したフリーアナウンサー・みのもんたさん(享年80)とのエピソードをつづります(以下、アンヌさんの寄稿)。

◆深夜2時に出勤する日々を送っていた『朝ズバッ!』時代

 みのもんたさんが亡くなりました。

 TBS入社1年目のとき、私が最初にレギュラーとしてついた番組が『みのもんたの朝ズバッ!』(以下『朝ズバ』)でした。

 私が今でもテレビ、ラジオ、新聞をこよなく愛し、ニュースや情報番組へのリスペクトが強いのは、『朝ズバ』時代があったからこそだと感じています。

 みのさんの思い出を語る……なんて、私なんかよりももっともっとそれをするに相応しい偉大な先輩がたくさんいらっしゃる、というのが大前提ですが『朝ズバ』という番組、空気感を数年に渡り体感したことは、何ものにも代えがたい財産であることは確かなのです。

 早朝帯の番組ということで前日夜7時には布団に入り、夜中1時に起き、2時には会社に行くという日々。

 当時の私は番組内で朝刊チェックというコーナーを担当していました。その日届いた朝刊の中から記事を6つほどピックアップし、注目すべき記事のまわりには赤線を引き、横一列に並べてみのさん、スタジオコメンテーターの話を聞き出しながら視聴者の方にお見せするというもの。

 新聞コーナー担当のディレクターや構成作家さんたちと一丸となり、どの記事がみのさんのツボにはまるか、及びどうプレゼンすれば「この記事をテレビで伝える意義、重要性」において、みのさんを納得させることができるのか、なんて会議に次ぐ会議。

◆「昭和の熱血テレビマンのDNA」

 みのさんはとにかく自由、誰にも忖度しない!

 赤ちゃんのように無邪気に真っ白い歯を剥き出しにして「いいじゃない?! 楽しいじゃない?!」なんてノリノリのときがあるかと思えば、

 ご機嫌ななめに、ちょっと意地悪して私たちアナウンサーの話を無視してみたり……お天気のようにコロコロとテンションが変わるのはいつものこと。しかし、いつも根底にあったのは、テレビをご覧になっている人が本当にそれを興味深い、面白い、必要だと思っているのか? という徹底的に視聴者目線に立った「昭和の熱血テレビマンのDNA」。

 みのさんの気持ちが動かないものは、視聴者の方にだって届くはずがないのです。

◆今でも記憶に残る“爪事件”

 お恥ずかしい限りですが私の失敗談をひとつ披露させて頂きます。

 まだ新聞コーナーを担当してまもない頃。

 当時世の中に定着し始めていたジェルネイルをサロンで施していただき、私はご機嫌で出社。新聞コーナーをいつも通りに担当していたところ、白地に小さな石がついたキラキラの爪で新聞を指差す私にいち早く気づいたのがみのさんでした。

 みのさんはいかにも楽しげな様子を残しながらも、数人いらしたスタジオコメンテーターにむかって(今議員さんになっていらっしゃる杉尾さんがいらしたような……)「見てください! こんなすごいものが爪についてますよ!」と、わざと騒いでみせたのです。はい、本番中のことです。

 私はその場で、ああ、これはとんでもないことをやらかしてしまったのかもしれない、と真っ青になり、必死に指先を隠す……なんて事態に。

 これは私の中で「爪事件」として今でも記憶に残っていますが、

 当時の担当ディレクターは激怒。人の命の問題を扱うこともある新聞にむけて、キラキラの石がついた爪をチャラチャラ指すとは何事かと。

 さらに、私は立場的に国内を取材で飛び回る可能性があるアナウンサーでした。災害が起きた際、被害にあった方にそんな爪でマイクを向けるつもりか、と言われたのです。

 まったく持って、その通りなのです。

 当時の私は入社1、2年目くらいだったと記憶していますが、自分の意識の低さ、想像力の欠如を大いに実感し、いたたまれなくなりました。そのジェルネイル、スタジオの片隅で無理くり全部剥がした記憶があります。

◆ニュースを扱う“責任”をわからせてくれた

 この一件以来、私は爪に関してはまったくノータッチを貫いています。

『朝ズバ』が続いていた間はもちろん、退社後も、フリーアナウンサーとして北海道で仕事している今も、です。

 仕事柄、時折薄いマニキュアを塗ることはありますが、すぐに落とすようにしています。落ち着かないのです。

 今時珍しいですね、と言われますが、曲がりなりにもニュース番組に呼んでいただく人間として、「素顔」ならぬ「素爪」は貫いていきたいのです。

 私の派手派手な爪に真っ先に気づき、面白おかしい空気に包み込みながらもしっかりと自覚を促してくれたのは、他ならぬみのさんでした。

 あのときの担当ディレクターも、みのさんが感じていたこと、注意したかったことを代わりに言ってくれたのでしょう。テレビでニュースや情報を扱うことに対する責任の重さをしっかりとわからせてくれたのが『朝ズバ』であり、みのさんでした。

 毎日夜中に出社する生活は、時には体がついていかない日もありましたが、毎日が大運動会のような疾走感と学びに溢れており、あれは紛れもなく私の青春時代でした。

 みのさん、ありがとうございました。

<文/アンヌ遙香>

【アンヌ遙香】
元TBSアナウンサー(小林悠名義)1985年、北海道生まれ。お茶の水女子大学大学院修了。2010年、TBSに入社。情報番組『朝ズバッ!』、『報道特集』、『たまむすび』などを担当。2016年退社後、現在は故郷札幌を拠点に、MC、コメンテーター、モデルとして活動中。文筆業にも力を入れている。ポッドキャスト『アンヌ遙香の喫茶ナタリー』を配信中。Instagram: @aromatherapyanne

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