代打参戦モスタートを撃破し、ローブが前人未到の5勝目。初のネイションズカップ同時制覇/RoC

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2025年03月10日 17:40  AUTOSPORT web

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セバスチャン・ローブが急きょのRoC代役参戦を決めたチャズ・モスタートを撃破し、前人未到5回目の史上最多勝利を獲得
 南半球はオーストラリアに上陸した2025年の『レース・オブ・チャンピオンズ(RoC)』第33回大会が、3月7〜8日にシドニーのアコー・スタジアムで開催され、急きょの代役参戦を決めたチャズ・モスタートを撃破したセバスチャン・ローブが、前人未到5勝目の史上最多勝利を獲得。
 前日のネイションズカップでもビクトール・マルタンとのペアで“チーム・フランス”が勝利を飾り、RoCの37年の歴史のなかで同一イベントの両部門を制覇した最初のドライバーとなった。

■エクストロームら複数名が直前に欠場する事態に

 イベント会期直前に複数の参戦ドライバー変更のアナウンスがあり、マティアス・エクストロームとマックス・マクレーが病気や怪我のため欠場し、RSCレプコ・スーパーカーチャンピオンシップで7度のタイトル獲得を誇るジェイミー・ウインカップは、同国東海岸へのトロピカル・サイクロン(台風)接近により、参戦を見合わせ。
 それぞれの代役として、RSC通算24勝でシリーズ最大の祭典『バサースト1000』でも2勝を挙げるモスタートに、言わずと知れた故コリン・マクレーの弟でマックスの父でもあるアリスター・マクレー、そして2023年のスーパーカーチャンピオンであり、今季RSCでは名門ディック・ジョンソン・レーシング(DJR)移籍を果たしているブロディ・コステッキが起用された。
 これにより、初日金曜のネイションズカップにて、WorldRX世界ラリークロス選手権7冠のヨハン・クリストファーソンとタッグを組むモスタート組はチーム・スウェーデンからチーム・オールスターズに改編されることとなった。
 その国別対抗で輝きを放ったのが、地元開催としてスーパーカー・チーム、オフロード・チームと計2チーム4名が編成されたうち、前者に所属する現役RSC王者のブラウンと、フランス代表で今季2025年もFIA F2に参戦するマルタンのふたり。
 決勝では『ポラリスRZRサイド・バイ・サイド』に乗り込み、まずはRSC王者ブラウンがローブを撃破すると、続いて北米ナイトロクロスのステップアップ部門で採用される『FC2』の最新ラリークロス車両を用いたヒートでは、ウインカップの代打を務めたコステッキをマルタンが1.1秒差で破る結果に。これで決着は、もう1種類のラリークロスカー『スーパーカー・ライト』での勝負に持ち込まれる。
 ここではファイナルヒートの半ばまでブラウンが優勢に勝負を進めたものの、RSCチャンピオンは最終コーナーの脱出で痛恨のミスを犯し、この間隙を突いたマルタンがわずか0.2秒差でフィニッシュラインに先着した。
「デビュー戦で優勝できて本当に楽しかったし、信じられない気持ちだ」と、今季3年目のF2を戦うマルタン。
「RoCネイションズカップで優勝できたことは本当に特別なことで、自分の実力とスキルを示すまたとないチャンスだった。もちろんセブ(セバスチャン・ローブ)にたくさんのヒントを聞き、橋を渡るジャンプでフラットにできるかを尋ねたら、クルマには『着地できるサスペンションがある』と言っていた」と笑ったマルタン。
「明日のチャンピオン・オブ・チャンピオンズの抽選を確認したが、セブと対戦する機会は決勝までないようだから、明日の夜に彼とレースできるチャンスがあることを祈っている」
 そんな印象的な活躍を演じた同郷の若手に対し「もちろん、最初からビクトール(・マルタン)と話し合ってきたし、一緒にいい仕事をしたと思う」と、その才能を称賛したローブは、明けた土曜を不戦勝のシードポジションで開始すると、グループステージをスキップした準々決勝ではエクストリームE初代チャンピオンとして元僚友のクリストファーソンを破ったモリー・テイラーと対戦。
 続く準決勝では、トラビス・パストラーナとヘイキ・コバライネン、さらにダカールラリーの大スターである地元のトビー・プライスを撃破してきたオリバー・ソルベルグと対戦し、ともに勝利を飾ってファイナル進出を決めた。

■通算5度目、2022年以来の総合優勝

 一方のモスタートはグループステージを乗り切る必要があり、バルテリ・ボッタスやカート・ブッシュに勝利。準々決勝では2015年のレース・オブ・チャンピオンズ覇者であるセバスチャン・ベッテルと対戦し、モスタートが『スバルBRZ』でヒート1を獲ると、続く『スーパーカー・ライツ』で反撃を試みたベッテルは最終コーナーでウォールの餌食となってしまう。
 これで準決勝はRSC王者ブラウンvsモスタートの地元ファン歓喜のカードが実現し、少なくともどちらかのRSCレギュラーがファイナル進出の権利を獲得する状況が生まれると、ここまでにRoCで2勝を飾ったデビッド・クルサードや前日のネイションズカップ覇者マルタンを撃破してきたブラウンは、モスタートに破れてRoC制覇の夢をライバルに託すことに。
 これでローブvsモスタートが並び立ったファイナルは、いずれのヒートも接戦で最初のポラリスからわずか0.27秒差でローブが獲り、同じくフォトフィニッシュのFC2やライトを経て、最終的にローブが0.16秒差で総合優勝を飾った。
「5回目のRoCチャンピオン・オブ・チャンピオンズを獲得できたことは、僕にとって素晴らしいことだ」と、2003年、2005年、2008年、2022年に続く総合優勝を果たし、これでマティアス・エクストロームとディディエ・オリオールを抜いてRoC歴代最多勝ドライバーとなったローブ。
「同じイベントでRoCネイションズカップとチャンピオン・オブ・チャンピオンズの両方を獲得した最初のドライバーになったのも特別なことだ。僕たちにとって、これ以上ないほど素晴らしい週末になったし、ネイションズカップで優勝したことで週末に何かを達成し、今日はさらにリラックスして楽しむことができた」と続けたWRC世界ラリー選手権"9冠"のレジェンド。
「RoCに初めて来たときはまだ若いドライバーだったが、そこは毎回違うね。でも雰囲気はいつも同じだ。みんな楽しんでいて、ドライバー全員が喜んで共有したり話し合ったり、お酒を飲んだりしている。クルマに乗っているときは、もちろん勝ちたいけれど、外では楽しい時間を過ごせているよ」

[オートスポーツweb 2025年03月10日]

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