奥田瑛二の“観察眼” 撮影の合間も診察部長・角田茂司に 『まどか26歳、研修医やってます!』

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2025年03月10日 18:00  ORICON NEWS

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火曜ドラマ『まどか26歳、研修医やってます!』の場面カット(C)TBS
 俳優の芳根京子が主演を務める、TBS系火曜ドラマ『まどか26歳、研修医やってます!』(毎週火曜 後10:00)。今回は清桜総合病院で“神”と医師たちから尊敬される、診察部長で泌尿器科の医師・角田茂司を演じる奥田瑛二にインタビュー。ここまで事あるごとに主人公・若月まどか(芳根京子)を見守り、背中を押してきた角田をどう演じているのか。奥田が考える“成長に必要なこと”も教えてもらった。

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■角田のように撮影現場を見守る――共演者の本質と出会う

――ここまで角田を演じてきて、どんな人物だと思われましたか?

角田は清桜総合病院の中で“神様”と呼ばれる存在です。そのため、全てを理解し、病院や医学という惑星を見守り、知り尽くしている人物。研修医たちの成長を見守ることも役割の一部なので、“1+1=2”のように単純に気持ちを作ることはなかなか難しかったです。
角田を演じる中で、全ての先入観を取り払い、「無」になった感覚がありました。それでも意識や人格、技術、そして医師としての心を持っている。小学5年生の頃に医師になることを志して以来、ずっと向上心を持ち続けながら、若手医師たちを見守り生きてきた人物。それが角田なのではないかと思います。今、即席で彼のキャラクター背景を作りましたけれども(笑)。

――診察部長として全体を見守る役ですが、奥田さんは撮影現場でどのように過ごしていますか?

常に皆さんを見ていますね。そうすると、ある瞬間にその人の新しい一面や本質と出会うことがあるんです。その本質が役とシンクロすると、それが何とも言えず面白い。
そうしたら、相手がまどかであり、木村多江さん演じる手塚冴子であり、佐藤隆太くん演じる城崎智也であると感じられる。それは意図的にそうしようとしたわけではなく、台本を読んでいく中で自然とそうなりました。役を演じることで自分自身も変化し、日常生活でもその気持ちを持ち続けるようになったと感じます。

■主演・芳根と“角田とまどか”のような関係性に

――芳根さんの印象を教えてください。

共演させていただくのは本作が2作目なんですけど、素晴らしいですよね。前回ご一緒した時は時代劇で、撮影が一緒だったのが1日だけだったので、今回芳根さんが主演と聞いて、楽しみというよりも、「よし、これで本格的に芳根さんを見られるな」と思いました。彼女の人柄や熱心さ、そしてまどかという役への取り組み方は、まさに彼女だからこそ演じられるものです。迷いながらも医師として成長していく姿を見事に表現しています。
何より、芳根さんがつらい顔をしているのを一度も見たことがない。そういう主役だからこそ、他の出演者もつらい顔を見せずに撮影に臨んでいる気がします。僕が撮影へ行くたびに、芳根さんと他愛もない話をしているのですが、まるで角田とまどかのようです。

――角田はまどかに対して、決めつけるのではなく、問いかけるような感じでアドバイスをしていますが、そのアドバイスについて、奥田さん自身はどのように思われていますか?

まどかの本質を見抜き、医師としての将来を考えた上でアドバイスをする。そういう役割ですね。「こうしろ」と指示するのではなく、「どうするんですか?」と優しく問いかけることで、彼女自身が答えを見つけようと冒険し始めるんです。良い作品ほど、錯覚のように役が自分の中になじんでいくものですが、本作もその感覚がありました。

■「新しい時代に適応しながら共に生きていくことが大切」――角田を通して感じた価値観

――印象に残っているシーンを教えてください。

まどかと2人で病院の庭を散歩するシーンです。彼女に語りかけるように伝える場面は、僕もこれまでに経験したことのない芝居でした。彼女の真剣な眼差しが印象的で、その瞬間に彼女の脳内で何かが動き、角田の言葉を受け止めているのが分かりました。
また、病室を案内しながら、医師がどう患者と向き合っているのか、日常会話など在り方を伝える場面も印象的でした。まどかが角田を見て学び、成長していく様子が感じられました。最終回の台本をもらうまで僕はまどかが何科を選択するのか知らなかったので、ドキドキと期待感を持って、まどかに語りかけていたと思います。

このドラマで“スーパーローテーション”を知りましたし、医療指導の方とお話をさせていただいて、実際の研修医も「まどかたちのようだ」と聞いて驚きましたし、こんなに大変なんだと感じました。昔は徹夜で働いていたけれど、今は“お客様”と言われる研修医たち。時代に合わせた考え方が必要ですね。僕たち世代は昭和を懐かしむことも良いが、昭和元年から100年が経った今は現代の良いものを取り入れ、新しい時代に適応しながら共に生きていくことが大切。そんな姿勢を示している本作はとても面白いです。

――そんな中、角田は研修医の気持ちを理解していますよね。

分かっていますね。5話で吉村界人くん演じる桃木健斗のSNSへの投稿に対して、角田が叱る場面があったのですが、本作を通してその時だけ一番強い目をしたと思います。以前だったら、「貴様、なんだと思っているんだ。言ってみろ」「やめちまえ」というようなセリフが入ってきたと思うんです(笑)。そこを角田はグッとこらえている感じがしますね。ただそれは諦めるという意味で言わないのではなく、彼の本質が変わらないと何も始まらない。なので、本質を変えるためにはどうしたらいいのか、他の医師にも相談して、彼を導いてやろうと会議でもしたんでしょうね。そういったシーンでは描かれていない裏側も想像しながら演じています。

――モルック(「モルック」と呼ばれる木の棒を投げて、「スキットル」と呼ばれる数字が書かれた木の棒を倒して点を取っていくゲーム)に挑戦されるシーンもありましたね。

最初、「モルックってなんだろう」と思っていたのですが、やってみたらとても楽しかったです(笑)。倒せなかったら、もう悔しくて仕方がなくて…_倒せた設定で喜ぶ演技をしなくてはいけなかったのですが、芝居でうそがつけないくらい夢中になってしまいました。孫がこういう遊びに夢中になる年頃なので、一緒に遊べたらなと思っていますし、家族全員で遊べますよね。値段も(ベテラン患者・橋口健太役の)森田(哲矢)くんに聞いたから、買いたいなって思っています(笑)。

■奥田が考える“成長するために必要なこと”とは?

――本作を通して、昭和世代とイマドキ研修医のギャップをどのように感じましたか?

世代間の違いは確かにあります。ただ、本作は「医師とは何か」をしっかり描いている作品です。だから、研修医をテーマにした作品なのかと思いました。その一方で、ニュースを見ていると、医師によるずさんな診察が問題になることがありますよね。そうしたニュースに憤りや悲しみを感じます。そうした社会問題に、役者として医療について勉強したり、短い期間ですが疑似体験することで、一喜一憂するなと改めて実感しました。
さらに角田を演じることで、自分自身も人に対して、しゃべり方も含めて優しくなった気がします。これまでは相手が話の途中でも自分の意見を言ってしまったり、論破してしまったりしたのですが、最後まで聞くようになりました。それが自然にできるようになったのは、大きな変化だなと思います。
また、本作に携わるスタッフには女性が多く、それが良い影響をもたらしています。男女問わず、それぞれの力を発揮し合う環境は、今後の作品作りにも重要だと感じますし、僕が目指している世界です。

――終盤の見どころを教えてください。

研修医たちが、それぞれの未来に向かって歩み始める姿が描かれます。医師としての道を見つける過程を通じて、「人のために生きる」ことの意味を考えさせられるのではないでしょうか。この作品は、ただの青春ドラマではなく、深い人間ドラマになっています。最終回に向けて、彼らがどのような選択をするのか、ぜひ見届けてほしいです。

 シーンでは描かれていない角田という人物がどんなことを考えているか、行動をしているのか、奥田なりの見解を明かしてくれた。その見解を踏まえて、物語も大詰めとなる第9話をチェックしたい。

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