参院予算委員会で挙手する石破茂首相=10日、国会内 自民、公明両党は、年金制度改革関連法案の今国会提出を巡り、立憲民主党など主要野党と協議した上で対応を決定する方針だ。国民の負担増となり得る内容が含まれ、与党内では夏の参院選への影響を懸念する声が出ている。協議を通じて野党の出方を探る狙いだが、速やかな提出を訴える立民などが応じるかは不透明だ。
関連法案は、厚生年金の積立金や国費を活用して基礎年金(国民年金)の給付水準を底上げすることが柱。厚生年金の一時的な受給減や、将来的な増税につながる可能性がある。
自公両党の幹事長と政調会長、国対委員長は10日、東京都内で会談。提出の是非を議論したが結論は出ず、野党に協議を呼び掛けることを確認した。自民の坂本哲志国対委員長は記者団に、衆院での与党過半数割れを踏まえ、「事前に話し合うべきことがあれば調整したい」と強調。協議の相手に立民と日本維新の会、国民民主党を挙げた。
これに関し、立民幹部は与党側から非公式に協議の打診があったと明らかにした。
石破茂首相は参院予算委員会で「成立を期すため、どのような形がいいか、与党で検討している」と説明。自民の森山裕幹事長は記者会見で、関連法案の提出期限について「14日ごろがめど」とした上で、野党側と丁寧に調整する考えを示した。
関連法案は、本会議や委員会で首相に質疑を求める「重要広範議案」とすることで、与野党が合意している。立民の野田佳彦代表は記者団に「重要広範を提出しないのは前例がない。粛々と出すのが原則だ」と主張。ただ、賛否については「法案を見ないと申し上げられない」と言及を避けた。
立民の長妻昭代表代行は10日の党会合で「野党と協議し『調わず』ということで提出しない方向に持って行く(ことが与党の思惑)と聞いている」とけん制した。