歌舞伎指導中の中村鴈治郎=映画『国宝』(6月6日公開)メイキング写真(C)吉田修一/朝日新聞出版 (C)2025映画「国宝」製作委員会 歌舞伎界を舞台にした吉田修一の小説を、吉沢亮主演、横浜流星共演で映画化した『国宝』(6月6日公開)の歌舞伎指導を、現役歌舞伎役者の中村鴈治郎が務めたこと、歌舞伎役者・吾妻千五郎役で出演していることが発表された。
【動画】2025年注目作『国宝』予告編 本作は、任侠の一門に生まれながらも、歌舞伎役者の家に引き取られ、芸の道に人生を捧げ、世界でただひとりの存在“国宝”となるまで、主人公・喜久雄(吉沢)の50年を描いた壮大な一代記。監督は、『フラガール』(2006年)の李相日監督。吉田修一作品を映画化した『悪人』(10年)の監督も務めた。
中村鴈治郎は、人間国宝・四代目坂田藤十郎を父に持ち、1967年歌舞伎座にて「紅梅曾我」の一萬丸で中村智太郎を名乗り初舞台。「廓文章 吉田屋」の藤屋伊左衛門、「恋飛脚大和往来 封印切」の亀屋忠兵衛を当たり役とし、2015年に四代目中村鴈治郎を襲名、19年には紫綬褒章を授与された。
原作者の吉田が本作を執筆するにあたり、血肉とした3年間の黒衣経験も、鴈治郎の元で培われたものだった。未経験の吉沢や横浜は、撮影開始前から、撮影中も鴈治郎の指導のもと、歌舞伎の稽古に励み、撮影に臨んでいた。
また、鴈治郎が映画本編で演じるのは、森七菜演じる彰子の父親で、歌舞伎役者・吾妻千五郎。スキャンダルで騒がれた喜久雄に同情して優しくアドバイスをするが、娘・彰子が喜久雄に恋心を抱いていることを知り、娘を使って成り上がろうとする喜久雄に対して厳しくあたる、名門・富士見屋の当主を演じる。映画出演は、19年公開の『ねことじいちゃん』(監督:岩合光昭)以来となる。
■中村鴈治郎のコメント
普段は優しい李監督ですが、撮影現場ではより良い作品を目指す方なので、とても厳しかったです。映画は舞台と違い、同じシーンを何度も撮るのでクタクタになると思います。ラッシュ版で吉沢亮さんをはじめ、彼らの歌舞伎のシーンを観た時に、その時の現場の状況を思い出し、とても感動しました。
この映画を通して、歌舞伎を知らない方には、歌舞伎ってこういうものなのかと感じてほしいですし、歌舞伎を観たことのある方には違和感なく、作り事でもなく、自然に観ていただければ一番いいな、と思っています。そして、この作品をご覧になった方々が歌舞伎に興味を持っていただければ、こんなにうれしいことはないです。
吉沢亮さん、横浜流星さん、黒川想矢くん、越山敬達くん、田中泯さん、渡辺謙さんには本当によくやっていただいたと思っています。今は観客の皆さんに受け入れてほしいなと切に願っています。