第45回ポルト国際映画祭でグランプリを受賞した映画『ドールハウス』矢口史靖監督、アヤちゃん、映画祭ディレクターのベアトリス・パチェコ・ペレイラ氏 俳優の長澤まさみが主演を務めた矢口史靖監督の映画『ドールハウス』(6月13日公開)が、ポルトガルで開催された世界三大ファンタステック映画祭の一つ、「第45回ポルト国際映画祭」(2月28日〜3月9日)でグランプリ「Best Film Award」を受賞した。
【画像】「第45回ポルト国際映画祭」現地写真 ポルトガル第二の都市・ポルトで毎年開催されている同映画祭は、1981年に始まった、ファンタジーやSFなどのジャンル映画に特化した国際映画祭。シッチェス国際映画祭やブリュッセル・ファンタスティック国際映画祭と並び世界三大ファンタスティック映画祭の一つに数えられている。『ドールハウス』は、ファンタジー長編部門のコンペティション及びオリエントエクスプレス部門で選出された。
同映画祭の最優秀作品賞には、アカデミー賞監督のギレルモ・デル・トロやアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥやカルト映画の鬼才ジョージ・A・ロメロ、そしてデヴィッド・フィンチャー、ダニー・ボイル、ピーター・ジャクソン、リュック・ベッソンなど歴史に残る名作を撮ってきた、そうそうたる監督たちが受賞者に名を連ねている。
現地での舞台あいさつでは、矢口監督と劇中で愛らしい人形ながらも長澤演じる主人公の家族を翻ろうしていく謎の人形“アヤ”が登壇。上映後にはエンドロールを待たずに5分間にわたるスタンディングオベーションが巻き起こった。
ポルト国際映画祭の共同ディレクターであるベアトリス氏は選出の理由について、「人形がかわいらしくもまるで悪魔のようで、ごく普通の家庭におとずれる恐怖がぞくぞくと伝わってきました」と評価。
歴史ある世界的な映画祭での快挙に、矢口監督は「賞をいただけたことで、映画として誰にでも楽しめるエンタテインメントができたのだと確信しました。ありがとうございます」と喜びのコメントを寄せている。
■矢口監督のコメント(全文)
ポルトの観客の皆さんにお礼を言いたいです。あんなに熱狂的に受け入れてくれるとは想像してなかったので、上映中のどよめきと大絶叫が一番のご褒美です。賞をいただけたことで、映画として誰にでも楽しめるエンタテインメントができたのだと確信しました。ありがとうございます。
■ポルト国際映画祭共同ディレクター、ベアトリス・パチェコ・ペレイラ氏のコメント(全文)
この作品を選んだ理由の一つは、女性たちの心が映されていることです。映像も美しく見ごたえがある作品でした。人形がかわいらしくもまるで悪魔のようで、ごく普通の家庭におとずれる恐怖がぞくぞくと伝わってきました。
作品のテイストも独創的です。CG技術に頼らない作品で、この人形のような質感はCGでは出せないものです。面白いことに、彼女が本当に普通の子どもに見えました。人形なのに本物の人間のように見えてしまうのです。
私も幼かった時、ちょうど同じような人形を持っていたんです。小さな人形でしたが…彼女のように怖い人形ではなかったですね!チケットは完売でした。大ヒット間違いなしですね。
■ストーリー
5歳の娘・芽衣を亡くした鈴木佳恵(長澤まさみ)と夫の忠彦(瀬戸康史)。
哀しみに暮れる佳恵は、骨董市で見つけた、芽衣によく似た愛らしい人形をかわいがり、元気を取り戻してゆく。だが佳恵と忠彦の間に新たな娘・真衣が生まれると、2人は人形に心を向けなくなる。
やがて、5歳に成長した真衣が人形と遊ぶようになると、一家に変な出来事が次々と起きはじめる。佳恵たちは人形を手放そうとするが、捨てても供養に出しても、なぜかその人形は戻ってくる……!人形に隠された秘密とは?そして解き明かされる衝撃の真実とは――!?