堤真一、井川遥、錦戸亮、のん、『地震のあとで』出演決定 村上春樹の連作短編が原作

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2025年03月11日 14:50  クランクイン!

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ドラマ『地震のあとで』に出演する(左から)堤真一、井川遥、錦戸亮、のんが声優を務めるかえるくん (C)NHK
 村上春樹の連作小説『神の子どもたちはみな踊る』を原作とした連続ドラマ『地震のあとで』に、堤真一、井川遥、錦戸亮、のん(声)の出演が決定した。

【写真】ドラマ『地震のあとで』新たに発表されたキャストを切り取るショット

 1995年に発生した阪神淡路大震災の後、作家・村上春樹が著した4つの短編を、震災から30年を迎える2025年の節目に連続ドラマ化。

 各話に通底するのは「人間社会を襲う圧倒的な暴力とその影響」であり、阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件、東日本大震災、コロナ禍、そして現在へ続いていく悪夢とも言える負の連鎖である。原作の舞台を1995年だけでなく、2025年にいたる設定に置き換えることで、“今に続く“地震のあとの30年の時間を描き、これらの連鎖の先に回復を祈るドラマを目指した。

 阪神淡路大震災の影響を、現地ではなく遠い場所で受けた人間たちの喪失を伴う奇妙な物語の脚本を務めるのは、映画『ドライブ・マイ・カー』の大江崇允。演出をドラマ『その街のこども』『あまちゃん』で震災を描いてきた井上剛が手掛け、年代も舞台も異なる4つの物語を通し、「地震のあと」の30年間の時間を描いていく。4話それぞれの主演を岡田将生、鳴海唯、渡辺大知、佐藤浩市が務める。

 堤真一が演じるのは、第2話に登場する阪神淡路大震災が起こる前まで神戸に住んでいた男・三宅。冷蔵庫を嫌い、順子(鳴海唯)の働くコンビニに毎日買い物にやってくる。職業は不明だが風貌から画家だと推察される。

 「僕は西宮出身なのですが、阪神・淡路大震災の当時は東京にいて、遠くから被災する故郷を眺めるという経験をしています。幸い実家は大きな被害はなかったのですが、亡くなられた人、また大切な人を失ってしまった方々のことを考えると、家族ができた今だからか、以前よりも一層、とてつもないことだっただろう、と怖さを感じています。僕は実際に焚き火が大好きなんですが、今回、被災し家族を失ってしまった心の傷を抱えつつ、それでも少しでも前に進みたいという気持ちを焚き火の炎に託して演じました」とコメントを寄せた。

 井川遥は、第3話で神の子どもである善也(渡辺大知)の母を演じる。新興宗教の信者であり、今では指導者的な立場にいる。少年だった善也に神の子どもである所以ゆえんを語り、善也を動揺させた。その善也の揺らぎは、今もなお続いている。

 「地下鉄サリン事件が起きたとき私は学生で電車通学でした。東日本大震災が発生した時、わが子はまだ1歳で毎日飛び交う情報に惑わされ、自分を見失いそうになっていました。身近な人たち、大切な人、当たり前だと思っていた日常が、一瞬で崩れ去ってしまうことを私達は知ってしまった。人はいくつもの後悔の積み重ねで生きていて、トラウマや呪縛、整理のつかない感情を抱えている。私の演じた母親も信じることで自分を生かしているのではないかと思いました」と思いを語っている。

 錦戸亮は、第4話で片桐(佐藤浩市)の前に現れる介護士然とした謎の男を演じる。関西弁を話し、片桐をある部屋へと誘っていく。そこで片桐は「ぼくのことを本当に覚えていないんですか?」と男に詰め寄られ、世界とのつながりを見失っていく。

 同じく第4話で、かえるくんの声を演じるのはのん。30年前に片桐の前に現れた巨大な蛙かえるの姿をしたかえるくん。かつてみみずくんが怒り地震を起こそうとしたが、かえるくんは片桐を頼り東京を壊滅から救った。そして今、かえるくんは再び片桐の元へ現れた。

 のんは「阪神淡路大震災が起こった日私は兵庫県にいましたが、その時は1歳で当時の記憶というのは残っていません。ですが、様々な災害が起こる日本でこの 作品 が誕生すること、井上監督のこの作品に声の演技で参加できることに、使命感を抱きました。村上春樹さんの原作をリスペクトしながら 2025 年に置き換えた『続、かえるくん』画面を通して佐藤浩 市 さんと演技を交わしているような気分になれて特別な時間でした。何か観念的なもの、意識の奥に疑問やテーマを投げかけるような作品です。たくさんの人に、様々な感じ方をしていただけたらと思います」としている。

 土曜ドラマ『地震のあとで』は、NHK総合にて4月5日より毎週土曜22時放送(全4話)。

※制作統括・山本晃久、演出・井上剛からのコメント全文は以下の通り。

<コメント全文>

■制作統括:山本晃久

30年前、ぼくは中学2年生で西宮市に住んでいました。真冬の朝方のあの揺れの激しさを、今でも鮮明に覚えています。あの時から自分の足元はずっと揺れ続けていたように思います。時折、自分たちの立つ地面がとても頼りない危ういものではないかとおののくことがあり、そして真夜中などに、自分の足に血が通っていることをたしかめて安心することさえあります。

村上春樹さんが30年近く前に書かれた短い4つの物語を今映像化することは、30年前とこれまでに起こった天災の犠牲者への哀悼の意を表するものであると同時に、その揺らぎを捉えようという試みだったのかもしれません。井上剛監督の元、素晴らしいキャスト・スタッフと挑みました。どれもが心を揺さぶられる不思議な物語です。ぜひご覧ください。

最後に、14年前の今日、多くの犠牲者を出した東日本大震災が起こりました。被災者の方々にお見舞いを申し上げると共に、犠牲となった方々には改めてお悔やみを申し上げます。このドラマは阪神淡路大震災だけではなく、この30年の間に天災人災で亡くなった方々への哀悼を込めています。この祈りが多くの方々と共鳴するものであってほしいと願っています。

■演出:井上剛

以前、阪神淡路大震災を題材にテレビドラマを作った際、僕は震災を体験していない〈部外者〉でした。そんな自分に原作『神の子どもたちはみな踊る』は物事を考える指針でした。「地震に遭った人の数だけ震災はある、当事者だけでなくそこから遠く離れた場所にも震災の傷はある」と諭されました。しかしあの地震から30年、今や天変地異や災厄、だけでなく不穏な暴力が横たわる日常に誰もが「部外者」ではなくなりました。そんな時代に改めてこの原作の持つ力を映像化したいと山本 晃久制作統括はじめ キャスト・スタッフ、仲間とともに試行錯誤しました。奇しくも本日、東日本大震災から14年目を迎えます。被災者の方々にお見舞いを申し上げると共に、このドラマが、この国の地面の上に生きるひとたちが少なからず持つ不安や祈りのようなものに少しでも共振し、共感しうるものであったら嬉しいです。
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