日本能率協会(東京都港区)は「2024年度(第45回)当面する企業経営課題に関する調査」の結果を発表した。現在の経営課題として重要度が高い項目として、最も回答が多かったのが「人材の強化」(47.7%)で、僅差で「収益性向上」(47.0%)が続き、これらの2項目が約5割と他の課題と比べ高い割合を示した。
最多だった「人材の強化」は2年連続で1位となり、生産年齢の減少に伴う人材獲得競争が激化している傾向がうかがえた。「収益性向上」は、原材料費やエネルギー価格の高騰、人件費上昇など、コスト増加要因への対応が求められていると考えられる。
3年後の課題についても最多は「人材の強化」(48.3%)だった。また「デジタル技術・AIの活用・戦略的投資」が、現在11位から3年後は7位に上昇している。
「収益性の向上」は12.3ポイント低下し、企業の各種コスト増加要因の対応を「3年後」までに完了させたいとの思いが感じられる結果となった。
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●従業員の規模別では
従業員の規模別にみると、「大企業」では「事業基盤の強化・再編、事業ポートフォリオの再構築」が33.0%と高く、長期的な経営環境変化を見据え、積極的な事業基盤の転換や見直しの推進を進めていることがうかがえた。
「中堅企業」は、「人材の強化」は49.5%、「働きがい・従業員満足度・エンゲージメントの向上」は20.0%と、大企業、中小企業と比較して2倍近く差があった。
「中小企業」は「人材の強化」が49.7%と高く、採用競争が激化し、思うように採用できない状況がうかがえた。「売り上げ・シェア拡大」も48.0%と高かった。
組織・人事領域における課題は何か。1位は「次世代経営層の発掘、育成」(30.0%)、2位は「優秀人材の確保」(28.3%)、3位は「管理職層のマネジメント力の向上」(27.0%)だった。
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「若手社員・優秀社員のリテンション(定着、離職防止)」は、前回より11.1ポイント増と大幅に上昇した。日本能率協会は「中堅・中小企業では採用だけで人材を確保することも難しく、社員の転職・離職防止(リテンション)に注力することで事業の継続的推進ができる体制を維持することが急務となっているため」と推察している。
今回の調査は、日本能率協会の法人会員ならびにサンプル抽出した全国主要企業の経営者を対象に、郵送調査法で実施した。期間は2024年9月13日〜11月30日、有効回答数は470社(回答率9.3%)。
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