枝元なほみさん 料理研究家の枝元なほみさんが2月27日、間質性肺炎のため亡くなったことがわかった。69歳。枝元さんが立ち上げた株式会社チームむかごが12日、発表した。
【写真】笑顔いっぱいで料理を楽しむ枝元なほみさん 公式インスタグラムで「料理研究家・枝元なほみに関するお知らせ」と題し、「料理研究家/チームむかご代表・枝元なほみにつきまして、かねてより病気療養を続けてまいりましたが、去る2月27日、69歳にて永眠いたしました」と報告。「ここに生前故人が賜りましたご厚誼を深謝し、謹んでお知らせいたします」とつづった。
葬儀については「故人とご遺族の意向により、近親者のみで家族葬にて執り行われましたことをご報告申し上げます」とした。
コメントで「枝元はその柔らかく、ふっくらとした手から、いつも自由で独創的な発想で美味しい料理をつくり出し、食べることをだいじにしてきました。枝元の料理の根幹には、食べものを生み出すいのちと生産者に対する敬意がつねにありました」と振り返り。
また「ホームレスや生活困窮者の自立支援を目的とした雑誌『ビッグイシュー日本版』における20年にわたる『世界一あたたかいレシピ』の連載、複数の生活困窮者支援団体が連携して年末年始に開催する『年越し大人食堂』での調理、フードロス削減と新しい仕事づくりを目指す『夜のパン屋さん』の主宰・・・食べることを通じて、人と人が『つながること』『わかちあうこと』を何よりも大切に思い、それを阻む社会のあり方に対して厳しい目を向けながら、たくさんの人においしいごはんとともに、深く温かい愛とサポートを届けてきました」と紹介した。
続けて「自分のことよりも誰かを思い、わかちあおうとすることを諦めないその姿勢は、最後の最後まで変わりませんでした。わたしたちチームむかご一同は、枝元のそばでたくさんの大切なことを教わってくることができてとても幸せでした」とつづり、「療養中にいただきました、皆さまからのたくさんの温かいお言葉とお心遣いが故人にとって大きな励みになりました。誠にありがとうございました」と締めくくった。
■枝元なほみさん略歴
料理研究家/NPO 法人ビッグイシュー基金 共同代表
昭和30年3月22日横浜市生まれ。
明治大学文学部英米文学科を卒業後、劇団転形劇場(太田省吾主宰)の研究生となり、演劇活動と並行して東京都内の料理店に勤務。転形劇場解散後、料理研究家としてデビュー、NHK『きょうの料理』『ひとりでできるもん!』などのテレビや、新聞・雑誌などで料理を紹介、レシピ本も出版した。
様々な社会活動に取り組み、農業支援活動団体「チームむかご」代表のほか、NPO法人ビッグイシュー基金の共同代表も務めた。東日本大震災後の被災地支援活動「にこまるプロジェクト」や、生活困窮者に手作りの食事を提供する「大人食堂」、フードロス削減と雇用創出をめざす「夜のパン屋さん」等の活動にも力を注いだ。
主な著書
『枝元なほみの料理がピッとうまくなる』『食べるスープレシピ』『かくし味は旅を少々』『今夜はおでん』『クッキングと人生相談』『捨てない未来―キッチンから、ゆるく、おいしく、フードロスを打ち返す』『枝元なほみのめし炊き日記』