《もう1度見たい昭和のお笑い芸人ランキング》やすきよを抑えた1位は老若男女が爆笑した5人組

0

2025年03月13日 11:10  週刊女性PRIME

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

週刊女性PRIME

昭和のお笑い芸人

 2月24日に放送された『国民が選ぶ!志村けんの爆笑ベストコント30』(フジテレビ系)が話題になるなど、今なお往年のお笑いを楽しみにしている人は少なくない。

 そこで週刊女性では、全国の50歳以上の男女500人を対象に、現在も定期的に舞台に立っている芸人は除いたうえで、「もう一度見たい芸人」「大好きだった昭和のお笑い」についてアンケート。脳裏に焼きついて忘れられない昭和の爆笑王は、いったい!?

様式美としての型を持つ芸人がランクイン

 まずは、10位〜8位を続けて発表。

 10位は、「お色気医事漫談が大好きだった。まったく下品じゃない、知的な人だった」(埼玉県・56歳・女性)といった意見が集まったケーシー高峰。

 9位は「おめでとうございま〜す!」の声が忘れられない海老一染之助・染太郎、そして8位はトリオブームの牽引(けんいん)役として、ツッコミ・小ボケ・大ボケという、今に続くスタイルを確立したてんぷくトリオがランクイン。

「様式美として型がある方々が選ばれている印象です。昭和の芸人というのは、憧れやカッコよさを抱ける方が多い」

 そう解説するのは、『吉本興業の正体』などの著書もある、日本のお笑いに精通する作家の増田晶文さん。

 海老一染之助・染太郎は最たる例で、“究極の出オチ”ともいえる一方で、様式美ともいえるその芸は、画面に映っただけで華やかさを演出した。

 続く7位に選ばれたのが、「テンポが素晴らしく、ヤンキー漫才が面白かった」(大阪府・61歳・男性)といった声が集まった紳助・竜介。

「中田カウスさんに取材をした際、落語は伝統芸として受け継がれていくが、漫才はその時代時代のものだから消えていくもの─というお話をされていました。忘れ去られるものだから、漫才は常にリニューアルし、新しいものをつくっていく必要がある。

 紳助さんは研究熱心な芸人としても知られていたから、ヤンキー漫才という新しい漫才をつくり、その後も人気タレントとしての地位を築けたのでしょう」(増田さん、以下同)

 6位は、漫才ブーム前夜の『花王名人劇場』(フジテレビ系)で頭角を現したあの女性コンビ。

「今は亡きおふたりですが、テレビに映るだけで明るく楽しい気持ちになった。アップテンポの漫才が大好きだった」(新潟県・51歳・女性)

「女性漫才師の新しい道を切り開いた」と増田さんも話すように、今いくよ・くるよの功績は計り知れない。

 下積み生活が続いたが、『花王名人劇場』で、くるよがお腹を叩くパフォーマンスをしたところ大ウケ。

 以降、派手な衣装と「どやさ」に代表されるギャクが定着し、女性芸人の新しい道しるべとなった。

 そして5位に選ばれたのが、「個性豊かな人の集まりで、ミュージシャンとしてもコメディアンとしても一流」(東京都・76歳・男性)などの票が集まったクレージーキャッツ。

お笑いもできるミュージシャン

 戦後、在日米軍のキャンプを回って演奏していた彼らは、言葉が通じない部分をパントマイムやコメディーでカバー。その経験が、音楽+喜劇という唯一無二のパフォーマンスを生み出し、後のザ・ドリフターズへとつながる。

「トップ10に選ばれている芸人さんはもちろん、昭和の芸人というのは怒号が飛んでくるような状況で腕を磨いてきた人。キャバレーやストリップ劇場などアウェーの場所でも、客を笑わせる技術や度量が求められた。基礎体力という意味では、お化けみたいな人たちばかりだと思います」

 4位は、まさにストリップ劇場から羽ばたいた漫才師だ。

「毒舌チックなタブーを破る漫才は常識破りだった。異常なほどテンポが良く、ワードセンスも抜群だった」(埼玉県・63歳・男性)

 漫才ブームと呼ばれる期間の1980年から1982年当時、まだ関西で学生だったという増田さんは、「関西ではそれほどツービートは受け入れられていなかった」と語る。

「吉本の林正之助社長(後に会長)は、『吉本は箱根の関を越えられない』と話していた。

 吉本の笑いが東京に受け入れられることは難しいし、逆に東京の笑いが関西で受け入れられることも難しいと。『オレたちひょうきん族』などの影響で徐々に壁がなくなり、ダウンタウンの登場で箱根の関は取り払われた。

 また、たけしさんは毒舌と受け取られがちですが、正論をぶつけ続けてきた人だと思います。社会の代弁者だからこそ、時代の寵児(ちょうじ)になった」

伝説をつくった東西の芸人たち

 トップ3は、まさにレジェンドと呼ぶにふさわしい3組が選出された。

「客席を巻き込んで笑いをとるのが上手。優しさにあふれていたので面白かった」(長野県・65歳・男性)

 などの意見を集めたコント55号が第3位。増田さんが、

「萩本欽一さんの番組は、素人やキャリアの浅いタレントを起用することで人気を博した。坂上二郎さんを巧みにコントロールした萩本さんだからこそ」

 と評するように、ドタバタを逆手に取った笑いに心をつかまれた人は多数。

 その意味では、2位も暴れ馬と天才ジョッキーという組み合わせかも。

「賛否両論あると思うが、個性がなくなってきている今の時代にこそ必要な存在のように思う」(岐阜県・66歳・男性)

 横山やすし・西川きよしを支持する声は大きく、特に破天荒なやすしに対しては、「あんなめちゃくちゃな人はもういない」と惜しむ声も。

当初は、やすしさんに圧倒されることも少なくなかったきよしさんですが、やすしさんが問題行為で漫才ができない間、きよしさんは笑福亭仁鶴さん、桂三枝(現・六代目桂文枝)さんとともに司会を務め、腕を磨いた。

 その結果、やすしさんに負けない存在感を放つようになり、やすきよ黄金期をつくり上げた」

 小さなことからコツコツと──。西川きよしが口にするからこそ重みがあるのだ。

 そして、栄えある第1位はダントツで票を集めたザ・ドリフターズ。

『8時だョ!全員集合』が忘れられない。批判もたくさんあったが、老若男女が笑える面白さはこの人たちだからこそ」(愛知県・55歳・女性)

 などなど、大人から子どもまで爆笑させるエンタメ力に舌を巻く意見が多数。

 この時代は6時にニュース、7時にアニメ、9時以降は少し大人な雰囲気が漂うテレビ番組といった流れが存在した。そのため、8時台はその端境ともいえ、コントや合唱団パートなど誰でも楽しめる要素に加え、「チョットだけヨ」に代表されるお色気ギャグなど、幅広い世代が楽しめるコンテンツが集合。

『ドリフ大爆笑』でもレンジの広いコントを披露していたことからも、男女共に多数の票を集めたのも納得だろう。

「今のお笑いは、見ている人に知性が求められるようなものが少なくない。一方、昭和のお笑いはシンプル。難しくないですよね。見方によっては、マンネリのように映るかもしれませんが、何度見ても飽きません。宝物ってそういうものですよね」

 動画配信サイトなどで、往年のお笑いを気軽に見ることができる昨今。折を見て、宝物に触れてみてはいかがだろうか。

取材・文/我妻弘崇

増田晶文(ますだ・まさふみ) 作家。1960年、大阪府生まれ。お笑い関連の著作として『お笑い芸人就職読本』、6年にわたる取材を敢行した『吉本興業の正体』がある。代表作に『稀代の本屋 蔦屋重三郎』『河内熱風録 楠木正成』など。最新作は時代小説『たわけ本屋一代記 蔦屋重三郎』(講談社)

    ニュース設定