田園都市線の度重なる遅延、沿線民から不満爆発 東急電鉄は「お詫び」掲載も…残る懸念とは【コラム】

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2025年03月13日 14:20  TRAICY

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東京と神奈川を結ぶ、東急田園都市線。沿線に高級住宅地を擁し、渋谷や大手町などへ乗り換えなしで行ける人気の高い通勤路線だ。この路線で、遅延が多発し、沿線民から不満が爆発しているという。

沿線民から不満が爆発したのは、3月12日。午前7時33分頃、神奈川県川崎市の梶が谷〜溝の口駅間で車内の安全確認を実施。運転を見合わせなかったものの、混雑や列車の集中により、朝ラッシュピーク時に40分程度の遅れが出て、多くの通勤客に影響がでた。その通勤客が帰宅する夕ラッシュに直撃するように、午後5時47分頃には長津田駅構内でポイント点検を実施。こちらも、運転見合わせをしなかった(ことになっている)が、混雑や列車の集中により、100分以上の遅延が発生した。

通勤客が多く利用する朝夕それぞれに、遅延が発生したことで、沿線民の不満が爆発。東急電鉄は公式ページで「お詫び」を掲載するなど火消しに追われる事態になった。

"それでも"遅れなくなった田園都市線

田園都市線の遅延は減少傾向だ。不満を抱える沿線民には「焼け石に水」かもしれないが、10〜20年前と比べて、遅れにくくなったというのが筆者の所感だ。大きな理由は、ホームドアの全駅整備だ。腰ほどの高さのホームドアが、2020年までに各駅に整備されたことにより、利用客の線路内転落が大きく減少。踏切ゼロの田園都市線は、自線内での人身事故による運転見合わせがほとんどなくなった。

長時間にわたる運転見合わせの大きな要因である人身事故が無くなったことにより、その他の要因による遅れが「悪目立ち」してしまっているのも事実だ。もちろん台風や地震、降雪などの自然災害による遅れもあるが、田園都市線のここ3か月(2025年1〜3月)の遅れの要因をみると、線路内安全確認(発煙)、ドア確認、安全確認、ポイント点検、車両不具合、異音確認、レール点検作業と、設備系のトラブルが並ぶ。

東急線のほとんどの区間は地上にあるなか、田園都市線の二子玉川〜渋谷間は、1977年に「新玉川線」として開業した地下区間だ。東急線では他にトンネルや半地下の駅もあるが、長い地下区間はあまりなく、比較的最近に地下化された区間や、新規開業した路線などが目立つ。それゆえに、開業から間もなく50年を迎える、「新玉川線」のメンテナンスは困難で、トラブルが生じるのもやむを得ないのではないだろうか。

トラブル後の対応に問題?

トラブル後の対応に問題があることを浮き彫りにしたのが、3月12日の2件のダイヤ乱れであった。朝のダイヤ乱れは、午前7時33分頃に安全確認が発生、午前7時41分に「遅れが発生している」旨の運行情報が配信された。定期客が他の路線を利用できる振替輸送の開始を案内する運行情報の配信は午前7時54分と、比較的スムーズであったが、すでにこの時間帯は他路線もラッシュに突入しており、利用客の多くは振替輸送を利用できずに、遅れている田園都市線に利用が集中し、朝ラッシュ中にもかかわらず40分以上遅延が増大してしまった。

最も多く利用が集中する、都心に午前8時台に到着する列車が、午前9時前後まで遅れてしまったので、利用者のイライラは容易に想像できるだろう。

問題は夕方のダイヤ乱れだ。午後5時47分頃に実施したポイント点検について、実質的には運転を見合わせていたにもかかわらず、運行情報の発信は、発生から33分後の午後6時20分。お粗末なことに、午後6時8分には直通する東京メトロ側で、東急電鉄側のポイント点検による運転見合わせがアナウンスされている。自社側で把握していたはずなのに、運行情報の配信が直通先の運行情報に後れを取るとはいただけない。

適切に情報発信がなされなかったため、夕ラッシュの各駅に利用者が集中。午後6時半時点で約30分程度の遅れであったにも関わらず、100分以上の遅れ(遅延証明書発行ベース)となり、終電までダイヤ乱れを引きずる結果になった。

お詫びの文章をよく見てみると…

東急電鉄の発表した、お詫び文を見ると、「かねて運行支障の未然防止には全社を挙げて取り組んでおりますが、なお一層、再発防止に全力で努めてまいります。」とある。しかし、今回のダイヤ乱れはトラブル発生後、適切な情報発信や振替輸送などで、混雑集中と、遅延拡大を防げなかった対応にこそ問題があるのではないだろうか。

もちろん、トラブルを未然に防ぐことも大事ではあるが、発生時から30分以上運行情報を出すことができず、利用者に情報提供できない状況が起こったことを認識せずに、「運行支障の未然防止」に全社を挙げてしまっては、また同じようなシチュエーションが起こり、利用者が激しい混雑と遅延に悩まされるだけである。はたしてこの懸念は解消されるのだろうか。東急電鉄に自浄能力はあるのか、また不満爆発とならないことを願うばかりだ。

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  • 30年前は逆に多少の��じゃ遅れないことを恨めしく思ったくらい。時代は変わったなぁ(笑)
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