運航会社社長、争う姿勢=知床事故賠償訴訟で初弁論―札幌地裁
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2025年03月13日 15:31 時事通信社

北海道・知床半島沖で2022年、死者・行方不明者26人を出した観光船「KAZU I(カズワン)」沈没事故で、乗客14人の遺族ら29人がカズワンの運航会社「知床遊覧船」(斜里町)と社長の桂田精一被告(61)=業務上過失致死罪で起訴=に約15億円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が13日、札幌地裁(小野瀬昭裁判長)であった。桂田被告側は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。
原告側は訴状で、船首付近のハッチのふたが適切に閉鎖できない状態だった上、出航を中止すべき基準を超えた風速や波高の予報が出ていたにもかかわらず、桂田被告と死亡した船長=当時(54)=は出航を決めたと指摘。事故は、被告らが必要な注意義務を怠ったため発生したと訴えた。
一方、桂田被告側は答弁書で、事故当日午前の気象条件は基準内で、船長からは天候が悪化したら引き返す「条件付き運航」をする旨報告を受けており、中止を指示する状況ではなかったと主張。船長が引き返したり、近くの港に避難したりしていれば事故は回避できたとし、被告に過失はないと反論した。
事故は22年4月23日、知床半島の「カシュニの滝」沖で発生。午前10時ごろ出航し、午後1時20分すぎに沈没した。乗客乗員20人が死亡、6人が行方不明となっている。
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