鉄鋼関税、米国内で物価懸念=22兆円相当に影響―トランプ政権

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2025年03月14日 08:02  時事通信社

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時事通信社

トランプ米大統領=12日、ワシントン(EPA時事)
 【ニューヨーク、ワシントン時事】トランプ米政権が12日発動した鉄鋼・アルミニウムへの25%の追加関税が、米国内の物価を押し上げるとの懸念が強まっている。新たに対象となった製品は約290品目。ロイター通信によると、自動車部品からステンレス流し台、フライパンなど身近なものまで幅広く、昨年の輸入総額は1473億ドル(約22兆円)に上った。企業のコスト上昇は避けられないとの声も出ている。

 トランプ政権は今回、第1次政権時に導入した鉄鋼に25%、アルミに10%の追加関税を強化した。アルミの税率を25%に引き上げ、日本を含む複数の国・地域に適用していた例外措置をすべて廃止。対象品目も大幅に広げた。

 トランプ氏は、幅広い業種で利用され、産業基盤である鉄鋼・アルミ業界を重視。保護することで製造業全体の底上げを狙う。ただ、追加関税による輸入コストの上昇は、米企業の負担増大につながりかねない。

 鉄鋼・アルミ消費量が多い米自動車大手フォード・モーターは、鉄鋼の9割を米国内で調達するが、ファーリー最高経営責任者(CEO)は「部品メーカーは、鉄鋼・アルミの供給元を海外に持っている。対処する必要がある」と指摘。投機的な動きによる市場価格の上昇も警戒する。

 米国際貿易委員会(ITC)は2年前に公表した報告書で、第1次政権時の鉄鋼・アルミ追加関税により、国内の鉄鋼価格は2.4%、アルミは1.6%上昇し、関連製品の生産が減少したと分析。「関税によるコスト増は、米国の輸入業者がほぼすべて負担した」と説明した。

 欧州系金融大手INGのエコノミストは、米企業の間では、トランプ氏の関税政策を受けた便乗値上げの動きが既に見られると指摘。「関税政策の不確実性と物価上昇は、消費者心理と個人消費を一段と悪化させる恐れがある」と警告している。 

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  • 米国の工業は失敗したから、こうなった。
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