シャオミ・ジャパン(Xiaomi Japan)は3月13日、都内で春の新製品発表会を開催した。
同社副社長の鄭彦氏は冒頭、Xiaomiが世界第3位のスマートフォンブランドとしての地位を維持し、前年比15%増の成長を記録したと強調した。
今回は、スマートフォン3機種を中心に、タブレット、ウェアラブル、スマートホーム製品群を発表し、イオンモールとの協業による日本初の常設店「Xiaomi Store」のオープンも明らかになった。
●フラグシップスマートフォン「Xiaomi 15 Ultra」
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最上位モデル「Xiaomi 15 Ultra」は、ライカと共同開発したクアッドカメラシステムが最大の特徴だ。価格は16GB/512GB構成で17万9800円(税込み、以下同)、16GB/1TB構成で19万9800円。3月18日に発売する。
4眼のカメラシステムは「大三元レンズ」の画角をカバーする。14mmの超広角レンズ、23mmのメインカメラ、70mmのフローティング望遠カメラ、そして100mmのペリスコープカメラを搭載し、14mmから200mmまでの幅広い焦点距離に対応する。特徴的なのは100mmのペリスコープカメラで、1/1.4型の2億画素センサーを採用し、前モデルより2倍以上の光を取り込めるようになった。
メインカメラ(広角)にはソニーの5000万画素センサー(LYT-900)を搭載し、14EVのダイナミックレンジとF1.63のSummiluxレンズで高い撮影クオリティーを実現。動画性能も強化され、8K撮影対応、全焦点距離でのDolby Vision録画、100mm望遠カメラでの4K 120FPS撮影、全カメラでの10-bit Log撮影が可能になった。
プロセッサはSnapdragon 8 Eliteと5410mAhバッテリー(90W急速充電対応)を搭載。カラーはブラック、ホワイト、シルバークロムの3色を展開する。4回のOSバージョンアップと、セキュリティパッチは6年間サポートが提供される。
発売記念期間中(4月15日まで)の購入者には「Xiaomi 15 Ultra Photography Kit Legend Edition」(通常1万9800円)が無償提供される。
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●コンパクトフラグシップ「Xiaomi 15」
「Xiaomi 15」は日本初となるXiaomiシリーズのコンパクトフラグシップモデルで、片手操作に適した設計が特徴だ。価格は12GB/256GB構成が12万3000円、12GB/512GB構成が13万8000円で、4月1日から販売する。
191gの軽量ボディーながら、6.36型のCrystal Res AMOLED(2670×1200)ディスプレイを搭載し、ベゼル幅は1.38mmと薄く、上下左右に均等に仕上げた。ピーク輝度は3200ニトと非常に明るく表示できる。
カメラはライカ共同開発のトリプルカメラシステムで、14mmの超広角、23mmのメイン、60mmの望遠レンズを搭載。ロスレスズームにより5倍(120mm相当)までカバーできる。新機能として「サンセットポートレート」モードと「ファストショット」機能も追加された。
処理性能はXiaomi 15 Ultraと同じSnapdragon 8 Elite Mobile Platformを採用。5,240mAhバッテリーは90W急速充電とワイヤレス充電に対応する。カラーはグリーン、ホワイト、ブラックに加え、特別カラーの「リキッドシルバー」が用意された。
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4回のOSバージョンアップと、セキュリティパッチは6年間サポートが提供される。
●2億画素カメラ搭載のミッドレンジ「Redmi Note 14 Pro 5G」
「2億画素×AIでもっと写真を楽しもう」をコンセプトとする「Redmi Note 14 Pro 5G」は、ミッドレンジながら高いカメラ性能と耐久性を備える。Corning Gorilla Glass Victus 2を搭載。1.5mの水深に30分間耐えるIP68防水防塵(じん)仕様となっている。OSアップデートは3回、セキュリティパッチは4年間提供される。
カメラはF1.65の大口径レンズを備えた2億画素のメインカメラを搭載。ハイブリッド手ブレ補正と6画素をまとめるピクセルビニングにより、夜間撮影も鮮明に対応できる。
曲面エッジディスプレイを装備。1.5Kの有機ELで、3000ニトのピーク輝度と120Hzリフレッシュレートを備える。MediaTek Dimensity 7300 Ultraプロセッサと5110mAhバッテリー(45W急速充電対応)を搭載し、1600回の充電後も容量の80%を維持できる。
カラーは合成皮革仕上げのラベンダーパープルと、ミッドナイトブラック、コーラルグリーンで計3色。価格は8GB/256GB構成が4万5980円、12GB/512GB構成が5万4980円で、3月22日から販売する。
●薄型設計でペンやキーボードも利用できる「Xiaomi Pad 7」シリーズ
「作る、見る、AIタブレット」をコンセプトとする「Xiaomi Pad 7シリーズ」は、「Xiaomi Pad 7」と「Xiaomi Pad 7 Pro」の2モデルで展開する。両モデルともアルミニウムユニボディーで500gの軽量かつ、6.18mmの薄型設計だ。
ディスプレイは11.21型で縦横比3:2、解像度は3.2K(3100×2136)、リフレッシュレートは最大144Hz。この比率はWeb閲覧やマルチタスク作業での効率向上に適している。
Xiaomi Pad 7/7 Proの違いはプロセッサだ。
「Xiaomi Pad 7」はSnapdragon 7+ Gen 3、「Xiaomi Pad 7 Pro」はSnapdragon 8s Gen 3を搭載する。どちらも8850mAhバッテリーを内蔵している。
また、Xiaomi Pad 7 Pro版には「マットグラスバージョン」も用意される。非光沢仕様のディスプレイガラスを備えており、明るい場所での優れた視認性と、紙のような書き心地が特徴となる。
アクセサリーとして「Xiaomi フォーカスペン」(8,192段階の筆圧検知対応)と「Xiaomi フォーカスキーボード」も用意。ソフトウェアはタブレット専用に開発された「Xiaomi HyperOS 2 Pad」が搭載されている。
価格は「Xiaomi Pad 7」が8GB/128GB構成で5万4980円(早割4万9980円)、「Xiaomi Pad 7 Pro」は8GB/128GB構成で6万7980円から。
アクセサリーは「フォーカスペン」が1万4980円、「フォーカスキーボード」が2万2980円。
●スマートウォッチ「Xiaomi Watch S4」とスマートバンドの新色も
「ベゼルで遊ぶ、スマートに操る」をコンセプトとする「Xiaomi Watch S4」は、フラグシップスマートウォッチ。1.43型の有機ELディスプレイ(輝度1500ニト)と回転式クラウンを搭載している。
特徴的なのはワンタッチでベゼルを交換できる機能で、標準ベゼルに加えて5種類のベゼル・ストラップセットから選択可能。200種類以上のウォッチフェースにも対応する。「Xiaomiスマートハブ」に対応し、他のXiaomi製品をウォッチから操作できる。
ヘルスケア機能も充実しており、60秒のヘルスレポート作成機能や精度98%の心拍数モニタリングシステムを搭載。150種類以上のスポーツモードに対応し、最大15日間のバッテリー持続を実現している。
価格はブラック・シルバーモデルが1万9980円、レインボーモデルが2万1980円で、3月13日に発売する。
また、「Xiaomi スマートバンド 9 Pro」にはクラシックでエレガントなホワイトレザーのバンドが付属する限定カラーが追加された。価格は9980円となっている。
●「Xiaomi Buds 5 Pro」ワイヤレスイヤフォンはWi-Fi版も
「音と静寂の頂点へ」をコンセプトとする「Xiaomi Buds 5 Pro」は、デュアルアンプシステムと同軸トリプルドライバーで高音質を実現。Harman AudioEFXの調整とQualcomm aptX Losslessに対応し、高音質・低遅延・低消費電力を両立させている。
ノイズキャンセリング性能は最大55dBに向上し、レベル調整も可能。イヤフォンケースのバックボタンを3回押すだけで録音が可能なスマート機能も搭載されている。
カラーはチタングレーとセラミックホワイトの2色。さらに「Wi-Fiエディション」も用意された。QualcommのXpanテクノロジーにより、Wi-Fi経由で4.2Mbpsの高速伝送による忠実なロスレスオーディオを実現する。ただし現時点ではXiaomi 15 Ultraとの組み合わせのみ対応する
価格はBluetooth版が2万4980円、Wi-Fi版が2万7980円で、3月13日に発売する。
●コードレス掃除機や調理家電、メッシュWi-Fiルーターも
Xiaomi Storeオープンを見据え、スマートホーム製品ラインアップも大幅に拡充された。全ての製品はXiaomi Homeアプリで連携可能で、新店舗では実際に触れて体験できる。
「Xiaomi G20」(2万5800円)は最大吸引力25000Paのサイクロン方式を採用し、長い髪の毛や隙間のホコリも効果的に除去する。振動ミニブラシが付属しており、ソファやベッドの清掃も簡単に行える。「Xiaomi G20 Lite」(1万2800円)は18000Paの吸引力と1.34kgの軽量さが特徴で、LEDライト付き回転ブラシを搭載している。
炊飯器に次ぐ調理家電として、エアフライヤーも投入する。
「Xiaomi スマートエアフライヤー 4.5L」(8980円)はアプリと連携して100種類以上のレシピにアクセスでき、予約調理も可能な調理器だ。
「Xiaomi エッセンシャル 6L」(6980円)は、アプリ連携機能を省いた大容量モデル。二重スパイラルファンと立体サイクロンバスケットにより、360度の均一調理を実現している。
メッシュWi-Fiルーターも日本で初めて投入されることになった。「Xiaomi メッシュシステム AX 3000 NE」はWi-Fi 6に対応し、最大3000Mbpsの通信速度を提供する。NFCタッチによる簡単な接続方法を採用している。1ユニット6280円で、2ユニット1万1800円だ。
上位版の「Xiaomi メッシュシステム BE 3600 P」はWi-Fi 7に対応しており、最大3570Mbpsの高速通信が可能だ。1ユニット1万800円、2ユニット1万9800円だ。
「Xiaomi スマートカメラ C500 Dual」(8680円)は2つのカメラで異なる視野角を同時にカバーし、400万画素・20fpsでペットの動きも滑らかに記録できる。
「Xiaomi スマート体重計 S 200」(1980円、早割1680円)はアプリと連携してデータ管理ができる。
43型のチューナーレステレビ「Xiaomi TV A 43」も発表された。Amazon.co.jpにて3万2800円(早割3万800円)で販売される。
●日本初の「Xiaomi Store」オープン
イオンモールとの協業による日本初の常設店「Xiaomi Store」が、3月22日に「イオンモール浦和美園店」、4月5日に「イオンモール川口店」にオープンする。
各店舗ではシャオミの全製品を展示・体験・購入できる新しいコミュニティスペースとなる。イオンモールの坪谷雅之取締役常務執行役員は「Xiaomiのスマート家電が忙しい家族の時間を効率化し、より便利に家族の時間が生まれるのではないか」と期待を述べた。
●10割の打率でやるよりは「トライアンドエラー」で製品を投入
発表会後の囲み取材では、シャオミ・ジャパンの鄭副社長と安達氏が、製品戦略と日本市場での展開について説明した。
記者から製品ラインアップを増やしている理由を問われた安達氏は、「全社的に『ガンガンいこうぜ』というモードになっている」と説明。日本市場での手応えを得て積極的な製品投入戦略に転じていることを明かした。
さらに安達氏は「トライアンドエラー」というアプローチを採用していると強調。「10割の打率でやるというよりは、ある程度投入することの中でトライアンドエラーをしながらやっていく」と述べ、多様な製品を市場に出して消費者の反応を見ながら戦略を調整する姿勢を示した。
特に「Xiaomi Storeの展開によってSKUや商品の幅、カテゴリーや価格帯のレンジもそろえる必要がある」と語り、イオンモールに出店するXiaomi Storeの棚を効果的に埋めるための製品多様化戦略も明確にした。
●グローバル製品の迅速導入とそのトレードオフ
今回のXiaomi 15 Ultraはグローバル発表からわずか約10日で日本市場投入を発表した。鄭副社長は「2024年はグローバルから2カ月遅れで5月発売だったが、2025年はほぼ同時に日本のお客さまにお届けできた」と説明。
グローバル発表から1週間での発表という迅速さと引き換えに、おサイフケータイ(FeliCa)などの日本向けカスタマイズは最小限となっている。安達氏は「日本に来るものが決まって、それでFeliCaをつけるかつけないかというよりは、まずはグローバルで要望も高くて鮮度高く持ってくることが第一優先」と述べた。
こうした方針はキャリア販売の制約となっているが、安達氏は「ないよりあった方が、グローバルの強さ、商品のユニークさをお伝えできる」とし、「販路によって期待できる数量は大きく異なるので、どういった形で国内に商品を導入していくかは今後も継続検討していく」と、トライアンドエラーの姿勢を示した。
●Xiaomi 15 Ultraを海外よりも安くできた理由は?
Xiaomi 15 Ultraは当初予想より2万円安い17万9800円に設定された。安達氏は「グローバル商品のスペックをそろえて全体のボリュームでコストを抑える」という基本戦略に加え、「昨今の円安でXiaomi本来のコストパフォーマンスはここ数年出せなかった部分もあるが、今回は頑張った」と説明。サプライチェーンや物流の最適化と「アグレッシブなプライシング戦略」への転換を強調した。
製品によるターゲット層の違いについても言及があった。安達氏は「Xiaomi 15 UltraはMiファンやカメラ愛好家向け」としつつ、「Xiaomi 15は手頃感とデザインで新しいユーザー層、特に女性など握りやすさや持ちやすさを重視する層にも提案したい」と説明した。
●イオンモールへの出店はファミリー層との親和性が高いため
日本初の「Xiaomi Store」をイオンモールに出店する理由について、鄭副社長は「中国と東南アジアでは26のイオンモールでXiaomi Storeを展開している実績がある」と説明。また「スマートフォンやタブレットだけでなく、IoT商品やライフスタイルソリューションを提案するには、ファミリー層との親和性が高い」と、イオン顧客層との相性の良さを指摘した。
安達氏は「Xiaomi Storeの展開によってSKUや商品の幅、カテゴリーや価格帯のレンジもそろえる必要がある」とし、今後も積極的に製品ラインアップを拡充していく方針を示した。
●スマホと連携するスマート家電の体験価値を日本でも訴求する
日本市場でのXiaomiの今後について、鄭副社長は「『ヒューマン×カー×ホーム』という戦略の枠組みの中で、スマートフォンと連携するスマート家電などの体験価値を日本の消費者にも提案していくために加速していく」とし、キャリア販売や量販店と自社チャネルのバランスを取りながら展開していく方針を示した。
ハイエンドSIMフリー市場への挑戦についても、安達氏は「10万円を超えるハイエンドフラグシップのマーケット自体はすごく大きいわけではないが、まずは投入してみて、どれくらいのフィードバックがあるか見たい」と、積極的なチャレンジの姿勢を見せた。
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