“間違いだらけ”の健康常識10連発「1日に水2リットル」「紫外線対策」に潜む意外な危険性

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2025年03月15日 08:00  週刊女性PRIME

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週刊女性PRIME

※写真はイメージです

 コロナ禍以降、以前にも増して「健康ブーム」が盛り上がりを見せている。メディアで紹介されたり、ネット検索で偶然目にしたり、タレントが紹介している「健康ネタ」をとりあえず試している。そんな人も多いのでは?

 自然療法や食事療法に詳しい医師の石原新菜先生によれば、「どの健康法にも共通するのが、免疫力を上げること」だという。

「この免疫力の中心的存在が血液中の白血球です。白血球が感染症はもちろん、がんや高血圧、糖尿病などの生活習慣病から身体を守ってくれています。ただ、世の中で信じられている健康法には、間違った認識で定着しているものがあります。よく耳にする健康法を一緒に見直してみましょう」(石原先生、以下同)

間違いだらけの健康常識10連発

×「辛・酸・苦の刺激物は控えたほうがいい!」
◯「刺激物は毎日摂取で代謝&消化力アップ」

「刺激物は胃や腸、食道などの粘膜が荒れるから控えたほうがいい」というイメージがある。激辛料理でお腹を壊すなど、不調のサインがわかりやすく出る人もいるからだ。

 確かに、下痢をするほど刺激物を食べるのはよくないが、刺激物とされる薬味スパイスには、身体に良い作用をもたらす面も。むしろ、「積極的に食事に取り入れてほしい」と石原先生は言う。

「例えば、激辛をもたらす唐辛子は、カプサイシンという成分が代謝を上げ、脂肪を燃やしてくれる。酸味の強いレモンや梅干し、今話題のリンゴ酢などは、胃酸の分泌を促し、消化を助けてくれます。

 最近の研究で、レモンは腎臓での水分調整を促し、むくみを取ることもわかってきました。お茶の渋みはカテキン、コーヒーの苦みはポリフェノールで、どちらも血液をサラサラにする効果があります」

 その他、刺激物の中でも、冬におすすめなのが、身体を温めてくれるショウガだ。

「ショウガのジンゲロールという成分が手足の血流をよくし、代謝を上げます。ただ、効果が3時間くらいしか続かないので、白湯(さゆ)や紅茶、スープなどに(1杯あたり小さじ1)加えて、こまめに取り入れることが大事です。

 ショウガが苦手な方は、シナモンにも同様の作用があるので、赤ワインやコーヒー1杯に小さじ1/4ほど入れて習慣にするのも良いですね」

食事回数、食事量も見直し

×「食事は1日3食で栄養バランスよく」
◯「食事は1日2食で空腹タイムをつくる」

 多くの健康本でオススメされているのが、「1日3食食べて、栄養バランスを意識した品目をとること」。一方で、「1日2食」を提唱する人や、プチ断食を実践する有名人もいる。

「2016年にオートファジーの研究で大隅良典さんがノーベル賞を受賞し、飢餓状態が細胞の生まれ変わりを活性化させることが広く知られるようになりました。

 また、運動をしないのに、栄養をとりすぎることも問題視されています。運動習慣がない、あるいは、お腹が減っていない状態なら、2食に抑えて“空腹タイム”を設けたほうがいいという考えが出てきました

 満腹感は「血糖値が上がっているからこれ以上食べなくていい」という身体からのサインだ。それを無視して食べすぎると、自律神経の不調を招く原因に。血糖値が高い状態が続くと糖尿病などの原因にもなり、免疫細胞の働きも低下する。

 健康のためには、朝食と昼食の間は5時間以上空け、寝る3時間前には夕食を終えて空腹タイムを確保したい。

「例えば、ライフスタイルの関係で夜にしっかり食べるなら、朝は飲み物だけにする。その日初めての食事となるランチは胃腸に負担をかけないうどんやそば、おにぎり程度にしておく、といった調整をするのがおすすめです」

 朝食は、豆乳や甘酒を口にする程度でも十分だという。

 身体をたくさん動かす職業なら、3食しっかり食べて、消費するエネルギーを補充する必要がある。自分のライフスタイルに合わせた食事回数、食事量を見直してみよう。

×「飲酒の習慣は病気のリスクを上げる」
◯「飲酒の時間を守れば、免疫力アップ」

「酒は百薬の長」という言葉がある。一方、「お酒は少量でも飲まないほうがいい」という説も。結局、飲んでいいの? 飲んじゃダメなの?

アルコールは身体にとって毒なので、それを排出するために、身体は尿量を増やそうとします。実はその際に、副交感神経が優位になり、心身がリラックスして免疫力がアップ。同時に血液がサラサラになる、血流が良くなって身体が温まるといった健康効果がもたらされるのです。

 ただし、その効果は飲み始めてから1〜2時間くらいで消えてしまうことを覚えておいてください

 注意すべきは「飲み続ける時間」と、石原先生は指摘する。

「絶対にダメなのは、長い時間をかけて、ダラダラと飲みすぎてしまうこと。胃腸にも肝臓にもすごく負担がかかるし、眠りも浅くなります」

 2軒目、3軒目と“はしご酒”をしたり、時間もお金も気にならない家飲みを遅くまでしないよう、飲酒時間にはご注意を。お酒の種類にも気を配ると、よりメリットが!

「食事のおともに、その季節においしいと思うお酒を少量飲む。冬なら赤ワイン、日本酒の熱燗(あつかん)、焼酎のお湯割りなどで身体を温めてください。ビールは身体を冷やすので、冬は最初の1杯だけにするといいですね」

ウォーキングは“早歩き”で

×「休日は家にこもらず身体を動かす!」
◯「休日はダラダラ過ごすと免疫力アップ」

 休みの日にダラダラしてしまうと、なんだか罪悪感を覚えてしまうけど……。

疲労がたまったままだと、免疫力が低下します。休みの日までギッチリ予定を入れると、交感神経が働きすぎて免疫細胞がさらに弱まってしまいますよ。まずは心身を休ませることを優先して。

 みなさんが想像する以上に、仕事や家事などで活動しているときは、無意識に交感神経が優位になり、脳のストレスが腸に伝わって腸内細菌の活動が低下します。現代人はむしろ、リラックスして、副交感神経が優位になる時間を意識的につくる必要があります

 副交感神経が優位になると、免疫力が高まり、腸内細菌の動きも活発に。いちばんリラックスできるのは就寝中で、腸のゴールデンタイムでもある。日々忙しい人には、移動時間でも実践できる呼吸法がおすすめ!

 副交感神経を優位にするスイッチを簡単に入れることができるという。

休みの日以外でも、日中、30秒でもいいから副交感神経を優位にする時間をつくりましょう。目を開けていると、視覚的な情報がたくさん入って脳が興奮しちゃうので、まず目を閉じて。鼻から息を吸って口から長く吐く。これで自然に腹式呼吸になり、副交感神経が優位になります。1日10回程度やると、心も身体もスーッと落ち着きますよ」

×「ウォーキングは、ゆったり大股で」
◯「“せかせか歩き”で認知症も予防!」

 ウォーキングといえば、ゆったり大股で歩くイメージが強いが、早歩きがおすすめ。

「大股歩きは、筋肉に負荷がかかるので筋肉量アップには良いのですが、膝や腰に負担がかかり、太ももが肉離れを起こすリスクがあります。

 一方、ちょっと早めのせかせか歩きは有酸素運動になり、全身の血流がよくなるほか、脳の血流もよくなるので認知症予防も期待できますよ

 最近の研究では、早歩きと普通に歩く、を交互に繰り返す方法が特に効果的だとわかってきているそう。

3分早く歩いて、3分普通に歩くを1セットとして、3〜5セット繰り返すといいですね。朝歩けば太陽の光を浴びて体内時計が整い、よく眠れるようになりますし、夕方歩けば夜間頻尿が改善するという泌尿器科の先生による報告もあります。

 朝10分、夕食後10分のウォーキングから始めてみて!食後に動けば、血糖値の上昇も抑えられます」

紫外線の避け過ぎにも注意

×「1日2リットルの水を飲む」
◯「水2リットルはむくみの原因!」

 モデルやタレントが「1日2リットル、水を飲む」とコメントしているのを聞くと、ついまねしたくなる……。

「気持ちはわかりますが、モデルさんたちは朝晩たっぷり半身浴をしたり、ジムで汗を流したりして、体内の水をしっかり循環させています。

 運動の習慣がなく、代謝が悪くて排泄(はいせつ)能力も低い人が1日2リットル水を飲んでも、体内に水がたまって、むくみの原因になるだけです

 就寝前も脱水予防のためにたくさん飲みがちだが……。

「確かに寝ている間にコップ1杯分ぐらいの汗をかくといいますから、寝る前に温かい飲み物をコップ半分ほど飲むのはいいでしょう。でも、コップ何杯も飲むのは過剰です。夜中に何度もトイレに起きるなら、その方にとってはトゥーマッチということ」

×「紫外線は徹底予防したほうが良い」
◯「1日10分紫外線を浴びて骨と歯を守る」

 紫外線が肌の老化、さらには皮膚がんを招くということで、夏はもちろん冬も、日傘や日焼け止めを徹底している女性が増えている。

「美容のために紫外線を避けることは悪くありません。急激に紫外線を浴びると、皮膚の細胞はダメージを受けますから。ただ、対策しすぎには注意が必要。紫外線にまったく当たらないと、ビタミンDが身体の中でつくられず、骨や歯が弱くなったり、免疫機能が落ちたりします

 紫外線を避けすぎると、女性に多い骨粗しょう症を引き起こすことがあるという。

顔は守りつつ、手や足などを日光に当てるといいですよ。冬なら15分、夏なら10分が目安。太陽に当たりにくい冬は、ビタミンDをサプリで補充してもいいでしょう

×「泣いていると免疫力が下がる」
◯「“感動の涙”を流すだけで免疫力アップ」

 笑うと生活習慣病やうつ病などの予防・改善につながることが広く知られるようになり、「逆に、落ち込んで泣いてばかりいると免疫力が下がり、身体によくない」というイメージがある。

実は感情の高ぶりによって流す“情動”の涙には、緊張や興奮を解き、副交感神経を優位にするリラックス効果があります。悲しいときは、我慢せず泣いてください。でも、できれば、ドラマや映画などを見て、感動の涙を流す“涙活”がおすすめ

 確かに思い切り泣くと心のモヤモヤが晴れるような……。

涙を流した後は、“幸せホルモン”と呼ばれるβエンドルフィンが増加し、これがストレスを和らげ、免疫力を高めます。ちなみに私は、スポーツや動物ものですぐ泣いてしまいます(笑)」

熱いお湯に20分もつかるのは危険

×「入浴は40℃のお湯に20分以上」
◯「入浴は40℃のお湯に10分以内!」

 寒い冬は湯船でじっくり身体を温めたいけど……。

熱いお湯に20分もつかるのは危険です。心臓や血管に負担がかかって、高血圧の人なら脳卒中や心筋梗塞を引き起こす可能性があります

 夏は40℃、冬は41〜42℃のお湯に10分つかるのがおすすめだという。

「うっすら汗をかいたら身体が温まったサイン。さっと出るようにしましょう。38℃の長い半身浴で寒い思いをするなら、温度を上げて10分で出るほうがいいですね」

 昨年、女優の中山美穂さんが入浴中に亡くなって、「飲んだ後は、お風呂に入らないほうがいいの?」と心配になった人もいるのでは?

飲酒後の入浴は禁物です。お酒で血流がよくなって血管が開き、血圧が下がっています。その状態でお風呂に入ると、さらに血圧が下がって脳に血液が届きにくくなり、意識がなくなって溺れてしまう可能性があります

 健康な人でも飲酒後の入浴は厳禁! 汚れを流すならシャワーだけにとどめよう。

×「コレステロール値が高い人は卵NG」
◯「コレステロール値が高めでも卵はOK」

 中高年になると、健康診断でコレステロール値が上がっていることが判明して、「卵を食べてはいけない」とアドバイスを受けることがある。

特に女性は、更年期になると女性ホルモンが減ります。健康な人でも高めになるのが当たり前なので、神経質になる必要はありません。むしろ細胞を守る膜となるコレステロール不足のほうが、免疫力が下がる原因になるので心配です。総コレステロール値が200を切るなら食生活を改善したほうがいいですね

 石原先生は、「卵を控えるのはもったいない」と話す。

卵は完全栄養食。免疫力を上げるには心強い味方です。タンパク質はもちろん、ビタミンやミネラルも豊富で、皮膚や粘膜を強くする働きもありますから

 さまざまな研究で、卵をまったく食べなくても、1日1個以上を食べても、心疾患などのリスクに変わりはないという結果も出ているそう。

 世の中にあふれる健康情報。運動習慣のある人、ない人、ライフスタイルの違いにより、その効果はさまざま! 逆効果を招かないように自分の身体に合う健康法をいま一度見直してみては?

教えてくれたのは……石原新菜先生●医師・イシハラクリニック副院長。漢方医学、自然療法、食事療法を得意とする。わかりやすい医学解説と親しみやすい人柄で、テレビ、ラジオ、執筆活動と幅広く活躍。著書は『1週間で勝手に最強の免疫力がつくすごい方法』など70冊を超える。

取材・文/鷺島鈴香

このニュースに関するつぶやき

  • ワシらが便秘外来で指導するのが「水分1日2リットル」。代謝が悪くて排泄能力が低い人は心臓や腎臓に疾患があるか高齢者だし、便秘じゃない患者には言わない。
    • イイネ!1
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