
「吉本新喜劇を見て育ちました」と言うのは、関西生まれの平祐奈(26)。日常感たっぷりの会話で魅せる映画『ネムルバカ』(3月20日公開)では、ローテンション芝居の中にクスっとした笑いを絶妙にブレンドさせている。
早い段階で捨てた恥
劇中からは、あえて狙いにいかない絶妙なユーモアがちらほら。お笑いセンスは高いとお見受けするが「関西生まれなので、吉本新喜劇を見て育ちました。お笑いは好きだし、センスは高くありたいなとは思います。でも自分としてはまだまだです」と謙遜する。
「お笑い芸人さんや関西出身の先輩俳優さんと共演したりすると、アドリブも上手だし、間の取り方が絶妙だなと感心させられます。私はどうもせっかちな人間なので、その間の取り方が下手。間の持ち方に余裕を持ちたい、といつも思っています」
同じく関西出身の阪元裕吾監督と組んだ『ネムルバカ』を拝見すると、その間の取り方は実に見事。そもそも役柄へのなりきり方に躊躇がない。バンドでメシを食おうとする大学生・鯨井ルカのダラっとしたモラトリアムな日々を、体に染み渡らせて演じているように見える。
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「私は11歳からこの世界に入りましたが、早い段階からお芝居をする上での恥を捨てました。自分ではない誰かを演じる際の照れ、自分にはない引き出しを思い切り開けるのもそうだし、コメディ作品で顔を崩すのもそう。恥があったら演じにくいので、結構早い段階でどこかに置いてきました」
無意識にボケ
ルカを慕う同居人で大学の後輩・入巣柚実(久保史緒里)との間で交わされる、独特なトーンでの会話の数々。聞き心地のいいラリーは、まるでシュールな漫才のよう。やはりこの人のお笑いセンスは相当高い。
「しーちゃん(久保)とはこの作品をきっかけに凄く仲良くなりました。そう言えば、普段からお互いにボケとツッコミをやっています。私としてはボケている感覚はないけれど、しーちゃんから言わせるとボケっぽいらしくて…。会話するたびにしーちゃんからツッコまれています」
持ち前の勘の良さがユーモアに昇華する瞬間を、是非とも大きなスクリーンで。
(まいどなニュース特約・石井 隼人)
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