国民スポーツ大会で「7回制」の導入決定…真夏ではない大会でなぜ高野連は採用を決断したのか

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2025年03月17日 17:00  ベースボールキング

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ベースボールキング

夏の甲子園大会 (C)Kyodo News
 



国スポで7回制を採用した2つの理由



日本高野連が今年9月に滋賀で開催される国民スポーツ大会(以下、国スポ)での7回制採用を決めた。



 国民スポーツ大会とは、23年まで国民体育大会の名称で開催されていた全国大会の一つである。



 高野連は、今大会で7回制を採用した理由を2つ挙げている。



 一つは過密日程であること。出場8校が休養日を含む4日間で決勝まで行う必要があり、天候不良が重なった場合でも全日程を消化できる可能性を高める狙いがある。



 もう一つは開催時期。日程が秋の都道府県大会と重なる可能性があるため、両方の大会に出場する選手の健康面に配慮した。



 ただし、7回制採用は今大会の特性だけを見て判断したわけではないことは明白だ。



 現在、高野連が検討している7回制導入の可否は今年中に結論が出される予定で、その検討資料の一つとするために公式戦で試験的に実施したい思惑があった。同連盟の井本亘事務局長は「実際にどこかで(7回制に)取り組む方法がないかを模索していた」と説明している。



 練習試合ではなく、公式戦で実施することで見えてくる数値がある。井本事務局長は「試合時間の短縮は、よりリアルに分かると思う。7回制にすれば約30分短縮できるとの試算があるが、それはあくまで数字上の話。試合に取り組む姿勢が9回制とは違うと思うので、本当に30分縮まるかどうかはやってみないと分からない。投球数の変化も具体的に数字として出てくると思う」と言及した。







暑さ対策としての効果は…



 ただし、7回制導入の重要な判断基準になると見込まれる暑さ対策についての効果を見ることはできない。大会は9月開催で、残暑の中での実施が想定されるものの、夏本番との気候の違いは明らかだからだ。



 それでも秋の大会で試験的に導入することについての意義を井本事務局長は強調する。



「7回制の議論の始まりは暑さ対策だと思われているが、選手の健康、先生方の働き方改革など高校野球を取り巻く環境が変化する中で、7回制に取り組むのはどうかということが議論の中心にある。暑さ対策は我々が直面している大きな課題の一つではあるけど、国スポでの7回制を実施するときに、暑さ対策ができるか、できないかにそこまで着眼したわけではない」



 7回制導入については、今年1月に日本高野連内で発足した「7イニング制等高校野球の諸課題検討会議」で議論を重ね、12月開催予定の理事会で同制度に関する対応策が提出される見通しだ。



 年内に結論が出ることを考えれば、9月開催の国スポで見えた効果が答えを出す過程で大きな意味を持つことは間違いない。



 高野連の井本事務局長は、国スポでの7回制導入に関する記者対応で、以下のように主張した。



「高校野球を取り巻く社会は急激に変化し、環境や天候など、ここ5年、10年で大きく変わった。高校野球は100年以上続き、多くの人から応援していただいてきた中で、高校野球を未来に繋げていくために、この変化にどう対応していくかを考えることが大事だと考えている。たとえば、選手権大会での2部制導入や継続試合、タイブレーク、1週間500球の投球数制限などを新たに設けてきた。選手に無理をさせない環境づくりを進めていくことは、これから高校野球を進めていく上で大事なことだと思う。その中の一つとして7回制について議論し、まずは国民スポーツ大会で取り組んでみようということです」



 7回制導入に関する結論が出るまで残り9カ月ある。未来の高校野球にとってよりよい結論にたどり着くためにも、国スポでの採用によって議論がより深まることを前向きに捉えたい。



文=河合洋介(スポーツニッポン・アマチュア野球担当)

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