スプリングSを制したピコチャンブラック(撮影:小金井邦祥)【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】
◆血統で振り返るスプリングS
【Pick Up】ピコチャンブラック:1着
現3歳のキタサンブラック産駒は好調。サトノカルナバル、クロワデュノールに次いで3頭目の重賞勝ち馬となります。この世代の血統登録頭数は70頭、ひとつ下の2歳は133頭、ふたつ下の1歳は163頭。繁殖牝馬の質と量がアップしていくので、これから先のキタサンブラック産駒はかなり楽しみです。
母方にサドラーズウェルズを持つキタサンブラック産駒は、初年度はほとんど目立たなかったのですが、2年目に皐月賞馬ソールオリエンスと桜花賞2着馬コナコーストが出現し、いまでは産駒全体の平均を上回る好成績を収めています。現3歳からはピコチャンブラックの他にきさらぎ賞2着馬リンクスティップが出ています。
キタサンブラック産駒のトップクラスの大物は、重厚なヨーロッパ血統を抱えているものが目立ちます。母トランプクイーンは皐月賞とスプリングSを勝ったアンライバルドの全妹で、ダービー馬フサイチコンコルドの半妹。2代母バレークイーンは、父が英愛チャンピオンサイアー14回のサドラーズウェルズ、母がサンプリンセス(英オークス、英セントレジャー、凱旋門賞2着)という重厚な血統構成です。
キタサンブラック産駒の「サンデーサイレンス3×3」は、ラヴェル、テーオーステルス、ヒップホップソウル、ピースオブザライフなどが出ており成功しています。障害界のスター候補アンクルブラックもこのパターンに当てはまります。3×3は、普通の感覚では避けたくなるのですが、キタサンブラック産駒の場合は問題ありません。
父キタサンブラック、その父ブラックタイド、母の全兄アンライバルドはいずれもスプリングSの勝ち馬。このレース向きの血統だったといえるでしょう。
◆血統で振り返る金鯱賞
【Pick Up】クイーンズウォーク:1着
牝馬の金鯱賞制覇は1995年のサマニベッピン以来30年ぶり。キズナ産駒はシックスペンス、ショウナンザナドゥに続いて3週連続重賞制覇となり、今年に入って早くも重賞5勝目です。クイーンズウォーク自身、昨年9月のローズS以来となる重賞3勝目です。
母ウェイヴェルアベニューは現役時代にBCフィリー&メアスプリント(米G1・ダート7ハロン)を勝った名牝。繁殖牝馬としてすでにグレナディアガーズ(朝日杯FS、阪神C)を産んでおり、同馬は2024年から社台スタリオンステーションで種牡馬入りしています。
母方にアンブライドルドを持つキズナ産駒は、ほかにビアンフェ、シャムロックヒル、ショウナンラプンタ、リビアングラスなどが出ており、連対率、1走あたりの賞金額、勝馬率ともキズナ産駒全体の数値を上回っています。
これで左回りは4戦3勝、右回りは5戦1勝。左右の回りで成績に差が出てきた感はあります。