カーリング世界選手権、日本代表がどこか波に乗れない理由 今後の逆襲はあるのか?

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2025年03月18日 07:30  webスポルティーバ

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 韓国・議政府市で開催中のカーリング女子世界選手権(3月15日〜23日)は、3日目までスケジュールを消化した。日本代表のフォルティウスは、2勝3敗と黒星が先行する苦しい戦いとなっている。

 延長までもつれた韓国との初戦を落とし、欧州トップ4の一角であるイタリアから白星を奪うも、中国に敗れた。リトアニアには勝利したが、欧州王者のスイスに押し負けた。どこか波に乗れない理由のひとつに、アリーナアイスへの対応がある。

 スキップの吉村紗也香はチームのショットについて「フィーリングはすごくいい」としながらも、「アイスの読みと投げが噛み合わない」というジレンマを口にした。

 チーム全体のショット成功率は、83.4%と決して悪くはない。特にリードの近江谷杏菜は93.1%を記録し、全リードのなかで2位の数字を残している。その近江谷も「ドローウエイト、ヒットステイ、基本的なショットはできている」とチーム状態を分析する。

 やはりキーショットがオーバーカールしてしまったり、曲がり幅に齟齬が生まれるあたり、アイスリーディングのエラーが起こっている印象だ。

 そのエラーを解消するべく、中盤以降の戦いについて吉村は「その時のアイスをどれだけ読んで、工夫してショットをつなげるか」と決意を口にした。

 たとえば、刻一刻と変化するアリーナアイスを乗りこなすために、好調の近江谷のショットを散らしながらセットアップを進め、キーショットやフィニッシュが初見のパス(石の通り道)にならないような布石を打つ。そのなかで、時には大胆な曲がり幅をとって勝負をかけるなど、吉村の適切なスキップワークが求められる。

 もちろん、世界選手権に出場するような各国の代表チーム、これまで対戦した韓国のキム・ウンジやスイスのシルバーナ・トリンゾーニ、これから対戦するカナダのレイチェル・ホーマンやスウェーデンのアンナ・ハッセルボリなどは、世界選手権や五輪でメダルを獲得した熟練の名手たちだ。

 しかし、横浜でのハイレベルな日本選手権を制した吉村も、そうした名手たちにも劣らない実力と実績を備えているはずだ。「(自身の)いい感覚を大切にできることに集中していきたい」と前を向いた、彼女の反転攻勢に期待したい。

 参加13カ国でクオリファイ(プレーオフ進出)は、6チームのみ。そこに食い込むためには、最低でも7勝5敗の勝ち越しが必要だろう。

 ラウンドロビン(総当たりの予選)の終盤には、カナダやスウェーデンといった強豪との戦いを残しているため、3月18日のアメリカ戦、19日のデンマーク戦、スコットランド戦、20日のトルコ戦は必勝を期さなければならない。

 そして、もしその4戦でパフォーマンスとショットメイクの精度を上げながら結果を出すことができれば、その後のカナダ、スウェーデンといった強豪とも十分に渡り合えるポテンシャルを、フォルティウスは秘めている。

 大会前、メンバーは「世界一になるために」と、それぞれ抱負を語った。そのためにはこれまでの5試合で繰り返したトライとエラーをすべて血肉として、さらに高いところへ昇っていかなくてはならない。

 世界レベルと戦える好チームのままか、世界でも勝てる強いチームとなるのか。ラウンドロビン残り7試合、フォルティウスの真価が問われる。

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