トラブルに見舞われ続けた宮田莉朋「開幕したという手応えはない。歯がゆい」/FIA F2第1戦レビュー

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2025年03月18日 15:10  AUTOSPORT web

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2025年FIA F2第1戦メルボルン 宮田莉朋(ARTグランプリ/TGR-DC)
 3月14〜16日にオーストラリア・メルボルンで開幕を迎えた2025年シーズンのFIA F2。強豪チームへの移籍やオフのテストでの好調ぶりもあり、参戦2年目を迎えた宮田莉朋(ARTグランプリ/TGR-DC)の走りに注目が集まった。しかし、宮田は雨の悪天候で日曜日のフィーチャーレースがキャンセルになったこともあり、挽回の機会なく、開幕戦ではポイントを獲得できずに週末を終えた。

「フリー走行からエンジントラブルに見舞われ、また3回も赤旗が出たこともあり、フリー走行では予選に向けた準備に専念することもできませんでした」と、宮田はレースウイーク後の取材で明らかにした。

 45分間のフリー走行では、4台のマシンがアクシデントに見舞われ3度の赤旗が入り、3度目の赤旗導入をもってセッション終了を迎えていた。宮田のチームメイトであるビクトール・マルタンス(ARTグランプリ)がトップタイムをマークする一方、宮田は0.953秒遅れの11番手だった。このトラブルは続けて行われた予選でも発生してしまう。

「予選では5回ほどプッシュラップを行いましたが、そのうちの4回はエンジントラブルが起きていました。最後のアタックの際はエンジンカット(編注:エンジンへの燃料供給が止まってしまう症状)が起きないよう、ショートシフト(編注:エンジン回転数を抑えてギヤチェンジをすること)で走ることになり、まったくフルプッシュできない予選となりました」

 宮田の予選でのベストタイムはショートシフトで臨んだ1分30秒017となった。それでもポールポジションを獲得したチームメイトとは0.617秒差の12番手と、厳しい結果で予選を終えることになり「マシンの信頼性を含め、自分のパフォーマンスをフルには発揮できず、結構辛い予選でした」と、宮田は振り返った。

「チームメイトのマルタンス選手には幸いトラブルの影響が少なく、ポールポジションを獲得できています。そういう意味では、マシントラブルの影響がない、もしくは影響が少なければ予選でも前に行けるポテンシャルは十分にあったと感じています」

 宮田は詳細に関する言及を避けたが、ARTグランプリの2台はともにトラブルを抱えた状況だったようだ。ただ、宮田車の方が症状が重く、それが予選結果に出てしまう結果となった。

 明けて15日に行われたスプリントレースは、複数台がグリッド降格ペナルティを受けたことから9番グリッドからスタートした宮田。好スタートを決めることは叶ったが、ターン1でアウト側のポジションにいたことから、イン側のマシンに行手を阻まれポジションアップならず。

「スタートはチーム2台ともよかったのですが、位置取りが悪く他車に押し出されるかたちとなりました。レースペースに関しても、フリー走行を満足に走れず、予選でもいいフィードバックを得られないまま終えたこともあり、オフのバルセロナテストなどで課題だった部分を避けるかたちでのトライとなりました。結局、それが裏目に出てしまい、レースペースは厳しいものになりました。ただ、スプリントレースを走り切り、車両の特性を初め良いフィードバックを得られたので、そこはポジティブに感じています」

 宮田は2周目に13番グリッドスタートのガブリエレ・ミニ(プレマ・レーシング/アルピーヌ育成)、10番グリッドスタートのアービッド・リンドブラッド(カンポス・レーシング/レッドブル育成)にかわされ11番手に後退してしまう。その後ハードプッシュの甲斐もあり一旦はリンドブラッドの前に出るが、再びかわされてしまう。

「メルボルンはタイヤのウォームアップ(温まり)が遅いため、セーフティカー後はクルマのバランスが良くなく、改善を図るべくできる限りタイヤにエナジー(負荷)を与えてレースに臨んでいました。序盤はタイヤにかなり負荷をかけながらの走行となりましたが、それがマシンバランスの改善を手助けすることもなく、依然として厳しい状況が続きました」

 その後は他車のスピンもあり、10番手で17周目の2度目のリスタートを迎えた宮田。その17周目のターン11でアレクサンダー・ダン(ロダン・モータースポーツ/マクラーレン育成)が宮田のインに飛び込んだ。アウト側の宮田はコース外に押し出されるかたちでグラベルに足を取られタイムロスを喫し13番手まで後退してしまう。

 そこから20周目にラファエル・ヴィラゴメス(ファン・アメルスフォールト・レーシング)をかわすも、宮田の2025年初レースは12位という結果に。入賞圏内の8位には届かなかった。

「スプリントレースは押し出されるかたちで順位を下げる展開となり、自分としてもやるせない思いです。ただ、それ以前にトラブルも多かったですし、いい状態でフリー走行や予選を走れなかったことがスプリントレースに大きく響いてしまったという印象です」と、宮田は話した。

 そうして迎えた16日、メルボルンの天候は一変し、大雨と強風が吹く悪天候のコンディションとなった。宮田はマシンの中で状況を見守る展開が続き、当初の予定から大幅に遅れとなりフォーメーションラップが開始されたが、レース開始を前に赤旗が掲示され、日曜のフィーチャーレースは開催がキャンセルとなった。

「キャンセルとなりましたが、いつどんな時でも走り出せるように準備はしていました。チームもFIAが提供する雨雲レーダーを常にチェックし、随時状況を教えてくれていましたが、時間が経過するにつれて雨も酷くなる状況でした」

 初日のマシントラブルに始まり、フィーチャーレースのキャンセルと、宮田の2025年開幕ラウンドは挽回の機会なく、不完全燃焼に終わった。

「メルボルンの週末は、自分もチームも本来のパフォーマンスでは走れていません。そのため、今回の開幕戦ではシーズンが開幕したという手応えはありません。まずはトラブルが起きない、トラブルを起こさないようにすることが第一です。とはいえ、そのトラブルも僕たちが直せるものであればいいのですが、今回は直せる部分ではなく、歯がゆいレースウイークとなってしまいました」

「まずは、そのトラブルを自分たちでできる限り解決していけるようにし、その上で自分もパフォーマンスを上げていけるように、次戦に向けてできる限りの準備をしていきます」

 次戦のFIA F2は4月11〜13日にバーレーン・インターナショナル・サーキットで開催される第2戦サクヒールとなるが、幸い3月26〜28日には同地で3日間のインシーズンテストが行われる。

「テストもありますし、次戦はフルパフォーマンスで戦えるようにしたいです。これまでアブダビ、バルセロナのテストではこういったトラブルもなく、トラブルフリーの状況ではショートランも良く、レースペースもすごく良かったので、とにかくトラブルが起きないことを願いつつ、僕らもトラブルを起こさないように徹底します。トラブルフリーで走れば結果はついてくると考えていますし、自信もあります」

 開幕戦メルボルンはエンジントラブルが大きな足枷となり、本来のパフォーマンスを見せることが叶わなかった宮田。次戦こそはトラブルフリーとなり、オフのテストで見せた快走ぶりを見せてくれることを願うばかりだ。

[オートスポーツweb 2025年03月18日]

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