【F1第1戦無線レビュー(1)】「K1が使える」「わかってる」繰り返される助言に苛つきを見せたハミルトン

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2025年03月18日 17:20  AUTOSPORT web

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 2025年F1第1戦オーストラリアGP。金曜日、土曜日とドライコンディションだったが、日曜日は予報通り雨が降り、それがレースのスタート前からドライバーにも大きく影響することになった。オーストラリアGP前半を無線とともに振り返る。

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 荒れに荒れた第1戦オーストラリアGPは、フォーメーションラップから波乱の展開となった。

ピエール・アムラン(→アイザック・ハジャー):タイヤを温めるのにブレーキを使おう。ただしウィービングはストレートでね。

 担当エンジニアのピエール・アムランがそう注意した直後、アイザック・ハジャー(レーシングブルズ)がターン2でスピン、クラッシュ。1周もせずに、開幕戦を終えた。

アムラン:コース復帰できそうか?ハジャー:ノー。

 前日の予選では、ルーキー6人中最上位となる11番グリッドにつけていた。しかし「最新のF1マシンでウエット路面を走ったことは一度もない」と語っていた不安が、あまりに早く的中してしまった。パドックに戻るハジャーは、ヘルメットのなかで号泣していた。

 波乱はその後も止まらない。再スタート直後、同じルーキーのジャック・ドゥーハン(アルピーヌ)がウォールの餌食となった。

ジョシュ・ペケット:大丈夫か?ドゥーハン:大丈夫。ペケット:クルマ(のダメージ)も大したことない。心配するな。

 これで最初のセーフティカー(SC)導入となった。

SC中シャルル・ルクレール:(路面は)すごく早く乾いている。

 去年までルイス・ハミルトンの相棒だったピーター・ボニントンが、今季はルーキー、アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)を熱心にサポートしている。

ボニントン:ビデオを見直すと、ドゥーハンは白線に乗ってスピンしたようだ。アントネッリ:僕もほとんど同じ目に遭うところだったよ。

 SC走行中、今度はカルロス・サインツ(ウイリアムズ)がクラッシュを喫した。

ガエタン・イエゴ:何が起きたんだ?サインツ:ひどいトルク変動だった。イエゴ:コースに戻れそうか?サインツ:いや、無理だ。突然トルクがドカンと来たんだ。

 シフトアップした瞬間に、くるっと回ってしまった。ベテランのサインツでさえ制御不能な挙動。リタイア後にデータを確認したサインツは、「セーフティカーモードでのシフトアップに関係している」とコメントしている。

 8周目にレースが再開された。

ブライアン・ボッツィ:一番冷やさなきゃいけないのは左フロントだ。ルクレール:情報が多すぎる。少しほっといてくれ。

13周目リカルド・アダミ:K1が使えるぞ。それでもっと接近できる。ハミルトン:わかってるよ。

 この時点でルクレール5番手、ハミルトン8番手。開幕前は優勝候補のひとつに挙げられていたフェラーリが、予選でもレースでも速さを見せられない。ふたりのドライバーは、少なからずイラついている様子だった(注:「K1」はフェラーリのオーバーテイク時のパフォーマンスに関係するボタンと思われる)。

 その後もハミルトンは、ペース不足に苦しみ続けた。

ハミルトン:どこで遅いのか教えてくれ。ドライバビリティで苦しんでる。アダミ:ターン12と13だ。

 雨はすでに止み、路面は乾いて行った。しかしランド・ノリス(マクラーレン)の担当エンジニアが、まもなく雨が来ると伝えた。

ウィル・ジョゼフ(→ノリス):6周後にクラス1の雨だ(編注:クラス1は最も弱い雨を指す)。

 17周目、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が左リヤタイヤをコース外に落とすミスを犯す。背後につけていたオスカー・ピアストリ(マクラーレン)がその隙を逃さず、2番手を奪い返した。

フェルスタッペン:もうタイヤがXXだ。ジャンピエロ・ランビアーゼ:後ろとの差はまだ10秒ある。

 焦っているであろうフェルスタッペンに、すかさず周囲の状況を伝えて落ち着かせるランビアーゼ。さすがの対応だった。

19周目フェルスタッペン:雨が来るなら教えてくれ。ニュータイヤに変えたいんだけど。ランビアーゼ:それをすると順位を落とす。天気は10分後によくなる。

21周目ジョゼフ:今SCが出たら、ステイアウトだ。雨が降ったらタイヤ交換だ。ノリス:そうだね。

 いつから、どれくらい降るのか。降雨についての情報は錯綜し、どのチームも対応に追われていた。

24周目ルクレール:何か漏れてる?ボッツィ:何が漏れてる?ルクレール:シートが水浸しなんだ。ドリンクみたいだけど、まだ(ドリンクは)残っている。ボッツィ:それは水だね。

 平然と答えるボッツィ。ちなみにフェラーリのドリンクタンクは、シート背後に搭載されている。

 フェルスタッペンを抜き返して2番手に上がったピアストリが、首位ノリスの1秒以内に迫る。満員の地元ファンたちは大熱狂だ。しかしチームからは、抑えろという指示が来た。

30周目トム・スタラード(→ピアストリ):ドライになるまでポジションキープだ。

 まだ走行ラインしか乾いておらず、ここでバトルを許すと同士討ちの恐れがあった。

33周目スタラード:OK、オスカー。ここから自由にレースしていい。ルールはわかっているね。

 それでも3周後には許可が出た。この時点で2台の差は2秒前後。しかしピアストリがペースを上げようとした矢先の34周目、フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)がターン6で挙動を乱し、スピン、クラッシュ。これで2回目のSC導入となった。

────────────────────F1第1戦無線レビュー(2)に続く

[オートスポーツweb 2025年03月18日]

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