ウッド・ブラザーズ・レーシング移籍のベリー、得意のラスベガスでカップ初優勝を達成/NASCAR第5戦

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2025年03月18日 18:00  AUTOSPORT web

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今季より新たなチャンスを求めたジョシュ・ベリー(ウッド・ブラザーズ・レーシング/フォード・マスタング)が悲願のカップシリーズ初優勝
 カテゴリーを代表する古参チームのひとつ、ウッド・ブラザーズ・レーシングに移籍加入し、今季より新たなチャンスを求めたジョシュ・ベリー(フォード・マスタング)が、ラスベガス・モーター・スピードウェイで開催の2025年NASCARカップシリーズ第5戦『ペンズオイル400』で完勝。終盤の競り合いでダニエル・スアレス(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)を退けた苦労人が、自身のエクスフィニティ・シリーズ時代に2勝を挙げた得意のトラックで、悲願のカップシリーズ初優勝を飾っている。

 ウイリアム・バイロン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)が2年連続勝利を成し遂げた伝統の開幕戦『デイトナ500』を経て、2025年シーズンは第2戦アトランタのハイバンク、第3戦サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)の短縮版ロードコース、そして前週第4戦のフェニックス1マイル“トライ”オーバルと、ここまでクリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)が特性のまるで異なるトラックで破竹の3連勝を飾ってきた。

 そんななか迎えたラスベガスは、走り出しのフリー走行をロス・チャスティン(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)が、続く予選をマイケル・マクドウェル(スパイア・モータースポーツ/シボレー・カマロ)が制し、こちらもチームに初のポールポジションをもたらすなどレース展開が未知数となるなか、13番グリッドに留まったベルの“4連勝の試み”がどう転じるかに注目が集まった。

 しかし、スタート時点で承認されていないスロットルボディ交換のため後方からの勝負を強いられた20号車のベルは、107周目にシェーン-ヴァン・ギズバーゲン(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)がターン2でスピンし、コーション中のピット作業でさらなる窮地に追い込まれる。

 この段階でトラックポジションを2番手まで回復していたJGR陣営だが、ピットロード入口付近にある自身のボックスを離れる前に、フロントタイヤチェンジャーが左前輪を固定できず。慌てた無線通信の後、僚友チェイス・ブリスコ(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)の19号車用作業エリアに飛び込んだベルは、フロントタイヤチェンジャーが緩んだラグを増し締めすることに。

 これで「ピットボックス外でサービスを受けた」ためにペナルティを受け、後方に沈んでからは複数回のリスタートでもダーティエアの影響で浮上できず。そのままリヤグリップの喪失を訴えてステージ2を27位で終え、事実上ここで4連勝のチャンスは潰えることとなった。

「まだ自分の気持ちがよくわからないが、ここ数週間やってきたようなことはできなかった。それは、ただクリーンなレースをすることだった」と最終ストップで“2タイヤ”を選択し、12番手まで挽回しながら肩を落としたベル。

「今日のカムリXSEは、ベストの状態のときは間違いなく優勝を争える能力があったと思うが、集団後方ではバランスをうまく取れなかった。ステージ2では、また優勝を争える位置にいたと感じていたが、逃げられてしまったよ……」

 ステージ1は2列目3番手発進だったオースティン・シンドリック(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)が勝利したものの、この日はピットストールの作業で悲劇が続発し、左前輪の脱着に手間取った僚友ライアン・ブレイニー(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)を皮切りに、ブリスコの19号車やカイル・ブッシュ(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)らも、タイヤが外れるミスが連鎖する。

 都合13人のドライバーにより32回のリードチェンジを記録し、ステージ2を制覇して最多61周をリードしていたカイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)だったが、再開直後の195周目に発生したリッキー・ステンハウスJr.(ハイク・モータースポーツ/シボレー・カマロ)を起因とし、ブレイニーも巻き込まれた7台のマルチタングルを経て、フィールド後方へと沈む展開に変わる。

 これで201周目のリスタートを7番手で再開したベリーが、234周目にスアレスをパスして初のラップリーダーに躍り出る。直後となる243周目にはノア・グラグソン(フロントロウ・モータースポーツ/フォード・マスタング)がターン2のウォールに激突し、この日9回目かつ最後のコーションに。これで各車とも燃料消費の問題は考慮外となり、ここで迅速な“4輪フレッシュ”を選択したスアレスが、ベリーを従え首位で最後のリスタートに臨む。

 前戦フェニックスではカップシリーズ・デビューを飾ったキャサリン・レッグ(ライブ・ファスト・モータースポーツ/シボレー・カマロ)の単独事故に巻き込まれていたスアレスだが、直後から「彼女に責任はなく、その選考プロセスの安易さによりNASCARに腹を立てている」と語っていたメキシコ出身ドライバーは、その雪辱とばかりに残り20周の隊列を率いていく。

「彼女が何度も電話をくれたことは大いに評価するし、それは良かった」と、週末のラスベガス入り直後に語っていたスアレス。

「僕の立場は変わっていない。その状況に腹を立てているし、彼女は失敗するように仕向けられたと思う。あなたが優れたドライバーであろうと下手なドライバーであろうと関係ないんだ。経験も積めないまま、世界でもっとも難しいシリーズのひとつに放り込まれたら、それは不公平だ。それが僕の見方だった。彼女よりも僕の方がNASCAR に失望していたから、彼女にそのことを伝えたよ」

 しかし、昨季ハリソン・バートンの手でチーム通算100勝目を飾っていたウッド・ブラザーズ・レーシングのため、通算101回目の勝利に向け奮闘したベリーは、昨季限りで運営を停止した強豪スチュワート・ハース・レーシング(SHR)により宙に浮いたキャリアを「継続する機会を与えてくれた」チームに恩返しするべく、99号車スアレスとサイドドラフトの勝負を展開。

 残り15周を切って首位浮上に成功すると、そのままクリーンエアで差を広げて1.358秒差でフィニッシュラインを通過し、フォードの21号車で初のカップ優勝を果たした4人連続のドライバーのひとりとなった。

「ああ、なんて考えればいいのか分からない。ただただ最高だ。このトラックが大好きだ。ラスベガスは僕にとって本当に良い場所だ。ここでは素晴らしい瞬間がたくさんある」と、降車直後に興奮冷めやらぬ状況で語ったベリー。

「ここでは(現行規定の)Next-Gen車両で苦戦した。でも21号車のチーム全員、ウッド・ブラザーズ・レーシングの全員が、今日は素晴らしいマシンを用意してくれた。ただひたすら戦い続けた。ああ、今日は我々の一日だった。最後にダニエル(・スアレス)と1.5マイルを激しく攻め合った。本当にクレイジーだ! 先頭に立つ者が勝つだろうと思っていたし、我々は先頭に立つことができたんだ!」

 併催されたNASCARクラフツマン・トラック・シリーズ第3戦『エコセーブ200』は、ピットロードでのスピード違反のペナルティを、クルーの迅速な作業で克服したコーリー・ハイム(トリコン・ガレージ/トヨタ・タンドラTRDプロ)が勝利。

 同じく併催のNASCARエクスフィニティ・シリーズ第5戦『ザ・リウナ!』は、前戦勝者アリック・アルミローラ(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタGRスープラ)を抑え切ったシリーズチャンピオンのジャスティン・オルゲイアー(JRモータースポーツ/シボレー・カマロ)が、今季初、キャリア通算26勝目、そしてチームに90回目の勝利をプレゼントしている。

https://www.youtube.com/watch?v=koTrHB4uhLI

[オートスポーツweb 2025年03月18日]

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