00年の高松宮記念でGI初制覇を果たしたキングヘイロー(c)netkeiba 世代屈指の良血馬として期待されながら、キングヘイローはなかなかGIに手が届かなかった。3000mの菊花賞に1200mのスプリンターズS、さらにはダートのフェブラリーSを使うなど、陣営も試行錯誤。その末に待望のビッグタイトル獲得となった四半世紀前、00年の高松宮記念を振り返る(馬齢は当時の表記)。
キングヘイローは父ダンシングブレーヴ、母グッバイヘイロー、母の父Haloの血統。父は86年の凱旋門賞などG1を4勝し、80年代欧州最強と言われる歴史的名馬。一方の母も88年のケンタッキーオークスなど米G1を7勝した名牝だった。
当時2年目の福永祐一騎手とコンビを組み、97年にデビュー。無傷の3連勝で東京スポーツ杯3歳Sを制し、重賞ウイナーの仲間入りを果たす。しかし、クラシックではスペシャルウィークやセイウンスカイの前に涙を飲んだ。古馬となって柴田善臣騎手を主戦に迎えると、東京新聞杯と中山記念を制したが、GIではやはり善戦止まり。福永騎手に手綱が戻ったマイルCSが2着、スプリンターズSが3着。6歳を迎え、再び柴田善臣騎手とコンビを組み、初ダートとなったフェブラリーSで13着に大敗。すかさず芝に戻し、2回目のスプリント参戦となったのが高松宮記念だった。
1番人気は2.2倍でブラックホーク、2番人気は2.7倍でアグネスワールド、3番人気は5.4倍でマイネルラヴ。GI馬が上位人気に推される中、キングヘイローは12.7倍で差のある4番人気だった。レースは前半3Fが33秒1のハイペース。アグネスワールドは番手、ブラックホークは中団の前寄り、キングヘイローは中団の外で脚をためた。直線でアグネスが先頭に立ったが、ブラックホークがジワリと詰め寄る。この2頭を残り100mで内からかわしたのがディヴァインライト。そして次の瞬間、大外から強襲したのがキングヘイローだった。内の各馬をまとめて捕らえてゴール。実に11回目の挑戦でGI初制覇を果たしたのだ。
この勝利が大きな勲章となり、キングヘイローは01年にスタッドイン。種牡馬としてカワカミプリンセスやローレルゲレイロを輩出。近年は母の父としてイクイノックスやピクシーナイト、キングズソードを送り出している。偉大な仔や孫を通じ、その血は永遠に血統表に残り続けるに違いない。