画像提供:マイナビニュース1968年(昭和43年)に登場した日産自動車の3代目「スカイライン」(C10型、通称:ハコスカ)では、レース直系のS20型直列6気筒DOHCエンジンを搭載して翌年にデビューした「2000GT-R」が最も有名なモデルだろうと思われるが、一方で、「愛のスカイライン」をキャッチフレーズにしたノーマルモデルには4ドアセダンの「C10型」、エステート版の「WC10型」、商用バンの「VC10型」がラインアップされていた。
商用バンだけどスタイリッシュ!
東京・江東区の「VICTORY50」(母体は内田モーターワークス)が展示していたのは、商用バンタイプの「スカイライン1500デラックス」だ。ボディサイズは全長4,265mm、全幅1,595mm、全高1,425mmと現代の目で見るとコンパクトだが、長いサーフラインを備えたリアのオーバーハング部分と短いボンネット部分の対比がとてもスタイリッシュ。「ショートノーズ、ロングデッキ」とでも呼ぶべきか。
その短いノーズに搭載するのが、日産と合併したプリンス自動車が設計した「G15型」エンジン(1,500cc直列4気筒SOHC、最高出力88PS/6,000rpm、最大トルク12.2kg/4,000rpm)。同社の内田幸輝代表によると「4気筒だけど、やっぱりプリンスの技術が入ったクロスフロー(吸気と排気のポートが別々)エンジンなので、走ると力強いんです。フロア4速シフトで5ナンバー登録してあるので、普通にどこでも乗れます」とのこと。
昭和46年当時のパーツが欠品なし!
個体としてはフロントグリル、フェンダーミラー、ホイールキャップ、バイアスタイヤなどがそのままの当時モノで、欠品ゼロの昭和46年(1971年)製。オリジナルがゴールドのボディカラーは一度オールペン(全体の塗り直し)しているとのことだが、同色のインテリアカラーとマッチしていて、横に置いてあったカタログから抜け出してきたような雰囲気だ。カスタムもいいけれど、オリジナルは「設計者や開発者の思いが全部詰まった姿」(内田さん)をそのまま伝えてくれるので、とてもいい。商用車は新車で買って仕事で使い倒した後、大体がスクラップになって潰されてしまうので、残っているものは数が少ないのだ。
価格は応談とのことだが、「海外とか投資目的とか、コレクターさんには買ってもらいたくない。ずっと何十年も探していて、やっと出会えたというお客さんが来てくれさえすれば、ちゃんと面接して価格を決めたい」と内田さん。もし走っていて壊れても、自社が元々戦前からやっている整備工場なので修理には自信があるそうだ。ハコスカであれば「ラジエーターから水が漏れた」「ヘッドガスケットが抜けた」「エンジンが焼きついた」などなんでもござれ。走る、曲がる、止まるの部分と壊れたものの整備は全部できるという。
とっても珍しい美品のスカイラインバン。あなたならいくらで買いますか?
原アキラ はらあきら 1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。RJC(日本自動車研究者ジャーナリスト会議)会員。 この著者の記事一覧はこちら(原アキラ)