
不足しがちなタンパク質を効率的に補えるプロテイン。「ホルモンバランスが崩れ、骨折リスクが増える更年期世代には特におすすめです」と栄養学のプロ。プロテインの選び方や飲むタイミングなど、健康と美容に一番効く方法を教えてもらった。
糖質制限で陥るタンパク質不足
「ダイエットで、極端な糖質制限を行う人が多いんです。ご飯やパン、麺類など、糖質を多く含むものを減らせば、体重や体脂肪を落とす効果は期待できます。しかし、糖質を多く含む食材にはタンパク質も含まれているため、制限しすぎるのは厳禁」と話すのは管理栄養士の三城円さん。
「筋肉量の低下が日々進む中高年の場合、タンパク質の摂取量が減ると筋力が維持できないだけでなく、骨密度が低下して骨粗しょう症に陥ることも。そこで活用したいのがプロテイン。普段の食生活で不足しがちなタンパク質を手軽に補うことができます」
プロテインには動物性や植物性など種類があるが、どう違うのか。
「プロテインは大きく分けて3種類。1つ目は牛乳由来のホエイプロテイン。水溶性で吸収速度が速いのが特徴です。筋肉を合成するロイシンという物質が多く含まれるため、筋肉をつけたい人に最適」(三城さん、以下同)
摂取タイミングは運動直後を推奨。運動すると筋肉の分解や筋繊維の傷みなどが起こるが、ホエイプロテインをとることで筋肉の再構築を助ける効果が期待できるという。筋肉づくりのスイッチを入れる役割になるアミノ酸も含まれ、効率よくタンパク質を吸収でき、ランニングなど有酸素運動のあとにもいい。
2つ目は、牛乳に含まれるもう一つのタンパク質、カゼインプロテイン。
|
|
「カゼインはホエイと真逆で水に溶けやすく、ゆっくり吸収されます。摂取タイミングは寝る前。寝ている間に緩やかに消化され、身体に必要なタンパク質が吸収されやすくなります。また満腹中枢が刺激されて空腹感を感じにくくなるので、おやつの代わりにとるのも有効。ダイエット中や、朝ごはんを食べる時間がないときに活用してみてください」
3つ目は、大豆由来のソイプロテイン。
「低カロリー、低脂質、吸収速度がゆっくりで腹持ちが良いため、食事代わりにもなります。ホルモンバランスを整える大豆イソフラボンが豊富なので、更年期障害やホルモンバランスの乱れによる体調不良をサポートします。また、活性酸素を取り除く作用も期待できるため、肌のハリやシワ、髪のパサつきの改善など、美容や健康のケアもできます」
最近は筋力増強だけでなく、ビタミンやミネラルなど美容や健康に有効な成分が入ったものも登場しているので、目的に合わせて選びたい。
効果を高めるプロテインの割り方
「飲料としてプロテインをとる場合、中高年は骨粗しょう症の予防効果が高い、牛乳で割るのがおすすめ。ダイエットを考えている人はオーツミルクや豆乳など、低脂質な飲料。アンチエイジングや血流促進には、ビタミンEが含まれるアーモンドミルクがいいでしょう」
時間がある人は食事からタンパク質を補給しつつ、プロテインで補うときは固形物にして摂取してほしい、と三城さん。
「身体の機能を老化させずに健康、美容効果を高めるには、食べ物を噛む動作が欠かせません。噛まない場合としっかり噛んだ場合では、エネルギーの消費量が変わってきます。おすすめは、ヨーグルトとプロテインに、ビタミンEが豊富なナッツやビタミンCがとれる冷凍のイチゴを入れて食べること。脂肪の燃焼や代謝を高めるので、ぜひ試してみてください」
飲むより食べる! 管理栄養士おすすめの食事法
チョコ味などの甘いプロテインにビタミンCが豊富なイチゴを掛け合わせる食べ方。プロテインに含まれないビタミンCをとることで肌のケアにも効果的。またタンパク質と一緒に糖質をとるとアミノ酸の合成が促進されるので、グラノーラやバナナなどの果物をトッピングするのもおすすめ。さらに、アンチエイジングや抗酸化作用があるビタミンEが豊富なナッツやブルーベリーを入れてみても。
|
|
三城円さん
管理栄養士。芸能人や一般の方のダイエットなど延べ1万人以上の食事コンサルティングを実施。「食べながらキレイになるダイエット」を基本とした食事の大切さと内臓力を高める食べ方を伝えている。
|
|
600種類以上試したマニアおすすめの大人女子がとるべきプロテイン
プロテイン愛好家のプロテインひろこさんが、これまで試したプロテインは600種以上! そこで、女性におすすめのプロテインや、上手なとり方を聞いた。
「30代半ばにダイエット目的でプロテインを飲み始めたのですが、1〜2か月で髪のボリュームが増え、肌荒れも改善されてすぐに美容効果を実感しました。当時は仕事が多忙で時間がなく、食事も基本、コンビニ弁当。タンパク質が大幅に不足していたんです。プロテインはシェイカーを振れば10秒で飲めるので習慣化しやすく、忙しい生活でも続けられました」
それまでは、寝不足やストレスで食べ過ぎることも多かったが、腹持ちのいいプロテインを飲むことで無縁に。
「食欲が強いときは食前にプロテインを飲んで、食事量のコントロールを意識。その結果、運動せずに体重は4か月で4kg減。中高年で体重を落とすと顔がこけたり、髪や肌の艶が失われたりしてやつれた印象になりがちですが、プロテインを活用すれば髪や肌に必要な栄養をとりつつ、無駄なカロリーを抑えられます」(ひろこさん、以下同)
飲み方のコツは、食事での不足分を補うこと。「私は1日60gのタンパク質摂取を目指していますが、タンパク質はとりだめできないので、朝昼晩で20gずつ摂取するのが理想。とはいえ、忙しい朝は食事で20gとるのが難しいことも。でもタンパク質は活動を始める朝こそきちんととるのが大切なんです。そこで、私は朝食として無調整豆乳に20gのプロテイン、良質な糖質やビタミン、乳酸菌が豊富な甘酒を入れて飲んでいます。まずは自分のタンパク質摂取量を確認し、不足があればプロテインで補ってみてください」
大人女子におすすめのプロテイン4選
ひろこさんが、女性におすすめする4種類のプロテインをチョイスした理由とともに解説。ぜひ一度、お試しあれ。
朝食のスープ代わりに
『プロテインスープコーンクリーム味』(600g)オープン価格/味の素
あの「クノール」で有名な味の素が作ったお湯で溶かせるホットプロテイン。冷たいプロテインが苦手な人や寒い季節に最適で、スープとして家族みんなで美味しく飲める味。牛乳由来のホエイプロテイン。
大人のダイエットに最適
『ボタニカルプロテインきなこ味』(375g)3450円/アンファー
低カロリーで、吸収が穏やかで腹持ち抜群なソイプロテインを使用。大豆イソフラボンの働きで更年期など女性ホルモンの乱れを整える効果も。19種のスーパーフードや乳酸菌、ビフィズス菌など腸活素材もまとめてとれる優れもの。
皮膚科医開発の本気系
『友利新がほんきでつくったプロテインほうじ茶ラテ味』(351g)オープン価格/ファイン
皮膚科医の友利新先生が開発したホエイプロテイン。苦味やエグ味の少ないプロテインを使用し、人工甘味料など余計なものを一切省いた本気系。甘さ控えめで飲みやすい。値段の張りやすい自然派プロテインの中ではお手頃価格なのも魅力。
美容効果抜群の初心者向け
『タンパクオトメ宇治抹茶味』(260g)3218円/タマチャンショップ
物性のホエイと植物性のソイを配合した、飲みやすい初心者向け。1日分のビタミン、ミネラル、コラーゲンなどが配合され、美容効果も抜群。白砂糖・乳化剤・保存料等不使用で身体にも優しい。甘さ控えめで、味は9種類から選べる。
プロテインひろこさん
プロテインマイスター。運動しないプロテイン愛好家として、美容・健康食としてのプロテインの楽しみ方を提案。テレビや雑誌と幅広いメディアで活動中。プロテイン商品のプロデュースにも携わる。