ハウスクリーニング業者が見たトンデモ衝撃現場「臭すぎて防毒マスクも効かない」理由」

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2025年03月21日 08:00  週刊女性PRIME

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週刊女性PRIME

夜逃げをした人の部屋からは強烈な異臭が(写真はイメージです)

「家なんか汚くても死にはしない」という言葉があるが、汚い家では本当に死人が出ることも“まれにあること”。あらゆる場所やシチュエーションで行われる“清掃”の現場では、さまざまな事件が起こることもある。

 今回はハウスクリーニング会社「エムズクリン」の社長である前田清貴さんに、キャリア30年の間に起こった衝撃のエピソードについて教えてもらった。

●防毒マスクも効かない異臭。天井裏で腐敗する“元”住人

 ある日、前田さんが不動産業者から頼まれた案件は、夜逃げをした人が残していった部屋の清掃。現場に行って、すぐに異変に気づいた。

「鍵を開けて入ったら、ものすごく臭いんです。防毒マスクをしても意味がないくらいで。部屋が汚い人の中には、おしっこを紙パックにためていたりするような人もいるのですが、こんなに臭うのは初めてでした」(前田さん、以下同)

 折しも季節は夏。部屋中に立ち込めている異臭に、マスクをしていても10分といられず、不動産業者に「無理だ」と連絡を入れたところ、「ゴミは回収しているから、そんなに臭くはないだろう」と言いつつもやってきた管理会社の人も一瞬で納得、その場は引き揚げることとなった。

「管理会社の人が後日部屋を確認したら、点検口の中で住んでいた人の遺体が見つかったそうです」

 聞けば頻繁に借金取りが来ていたようで、住人が逃げるために点検口へと入り、そのまま天井裏で亡くなったとする線が濃厚だったようだ。その後、遺体が撤去されたあとのクリーニングも依頼されたという……。

「嫌でしたけど、金額はだいぶ上げてもらったので、それならいいかと引き受けました」。地獄の沙汰も金次第、とはこのことか。

●クレーム率、ほぼ100%!? 新婚夫婦の夢と現実

 前田さんが極力受けないようにしている案件が2つあるという。

「紹介のない初めての人と、新婚さんですね。うちは基本、業者を通しての依頼なので、あえて業者を通さないで依頼しようとしてくる人は、何かの事情があると考えられますから」

 また、新婚の夫婦も「危険」なのだという。

「中古マンションを購入された方からの依頼が多いのですが、新婚さんは夢を見てしまっているので、ハウスクリーニングで新築みたいになると勘違いしているんですよね」

 ほぼ必ずといっていいほど、なんらかのクレームがあるのだとか。

「周りの業者にいろいろ聞きますけど、やっぱりどの業者も新婚さんにはクレームを受けてますね」

 ハウスクリーニングだけで家は変わらないので、新築を買うかリフォームを検討すべき、と全清掃業者が思っているといっても過言ではないようだ。

●業者がかち合うと誰も幸せにならない

「業者」を呼ぶ日はなるべくまとめたい、休みも取りづらいからいっぺんに済ませたい……と思う依頼者側の気持ちはわかるが、実際にやってしまうと業者側からしたら、たまったものではないという。

「ある日お客さんから頼まれて行ったら、エアコンの工事業者とWi-Fiの工事業者が来ててね、こういうことは珍しくないんですが……」

 清掃のホースや脚立などを置いて、Wi-Fi業者とエアコン業者がそれぞれ“お店”を広げてしまうと、ベランダも窓サッシも床掃除も満足にできない。三者が三者とも仕事がはかどらず、時間ばかりがかかるという。

「『うまくやってくれ』って言われても、うまくできるわけがないんですよ(笑)。時間をずらせば大丈夫なこともあるので、もし他の工事を入れる場合は連絡してほしいですね」

 工事がかち合ってしまうと、清掃が満足にできない場所も出てしまい、依頼者側も幸せになれない。くれぐれも清掃を入れるときは、他の業者とかぶらない日程・時間帯を!

●有名女性歌手から八つ当たりクレーム

 20年ほど前のある日、依頼を受けたのは、有名大御所女性歌手の「I」から。彼女が購入した中古物件の清掃を依頼されたが、行ってびっくりの家だったという。

「なんで買ったのかわからないくらい、ものすごく汚い家でした。柱もヤニだか何かわかりませんが、指でもごっそりこすり取れるほど。30〜40年くらい放っていたレベルの汚さ。建具もすべて洗うくらいのヘビー級物件でした」

 作業をしていると、作業の様子を見に「I」が顔を出したという。

「挨拶をしても無視で、態度がよくないなと思いました」

 翌日にも顔を出した彼女は、「ここに置いておいた書類がない! 勝手に捨てたの!?」と、すごい剣幕で食ってかかってきた。

「結局彼女の勘違いだったことがわかったんですが、謝罪のひとつもなくて。さすがに腹が立ちましたね」

 そのころ彼女は離婚騒動の渦中にあった。いろいろと大変な時期だったのではとも察するが、八つ当たりされるほうはたまったものではない……。

●死んだ母の押し入れに大金。その時、息子の目には涙が

 子どもたちがみんな出ていったあと、年老いたお母さんが一人で住み、そして亡くなった「実家」の清掃を依頼されたときのことである。

「息子さんが大きなものは処分したから、あとの細かいものの処分と清掃の依頼でした。全部お構いなく捨ててくれという感じで、母親でも亡くなってしまうとこうなってしまうんだと、寂しさを覚えましたね」

 とはいえ仕事として片づけを行っていると、押し入れの奥から息子さん宛ての封筒が何通も出てきたという。

「中身は現金で、息子さんのために貯めていたのでしょう。それが次から次へと出てくるものだから、これはちょっと手をつけられないと息子さんに連絡をしました」

 なんとその封筒の束、金額にして約700万円もあったという。金額ではないが、その母の思いの強さに息子さんは号泣し、遺品をきちんと引き取ることにしたという。

「息子さんが急にお母さん思いの子どもに戻って、私もさすがにもらい泣きしてしまいました」

●隣人が代わる代わる来る!? 有名選手が住んでいた部屋

 いわゆる“タワマン”もハウスクリーニング業者にとっては上得意だ。前田さんが依頼されて行った先は、超豪華なタワマンの一室。やりごたえのある、それは大きな部屋だった。

「作業をしていたら、やたらとそのフロアの住人が覗きに来るんですよね。ひどい人はピンポンを押したりしてくる。なんだろうなと思いながら仕事を終えると、同じフロアの人たちがやってきて『ここ、M選手が住んでたのよ!』って教えてくれたんです」

 彼らはその後、中を見たいと上がり込み、部屋からの景色や棚の位置など、自分の部屋と違う部分を、大喜びで見学していったという。

●ビジュアル系歌手の部屋にいた女性は…

 依頼を受けて行った先は、某有名ビジュアル系バンドのボーカルの家だった。依頼者は同居の女性で、彼のツアー中にプロに掃除を頼みたいとの連絡がきたという。

「彼女さんはとても感じがよくて、清掃業者の私にも気遣いをしてくれる方でした。なにより本当に彼のことを好きなんだと感じました。帰り際には料金とは別に手間賃まで渡してくださって、どうしてもというので受け取って、開けてみたら2万円も」

 婚約者だと思い込んでいた前田さんだが、その彼はなんと、1か月後に“別の”女性と結婚したという報道が。

「直前で清算されたのか、それとも何人か女性がいた中のお一人だったのか……二人の幸せを願っていたのですが、悲しくなりましたね」

 最後に、清掃業者を頼むときのおすすめの時期について聞いた。

「年末と引っ越しシーズンは繁忙期なので避けるべき。ですが、正月過ぎから2月末くらいまでは比較的余裕があるため、お得になったり、じっくり清掃をしてもらえるでしょう。あとは10月あたりも狙い目ですね」

構成/美女川満子

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