「ヒーローの重大さを実感」俳優・葉山侑樹『ブンブンジャー』の撮影で学んだスタッフへの感謝とリスペクト

0

2025年03月22日 13:00  リアルサウンド

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

リアルサウンド

『爆上戦隊ブンブンジャー』(テレビ朝日系)でブンブルー・鳴田射士郎を演じた、俳優・葉山侑樹

 2024年から1年間を通じて放送されたスーパー戦隊シリーズ『爆上戦隊ブンブンジャー』(テレビ朝日系)でブンブルー・鳴田射士郎を演じ、注目を集める俳優・葉山侑樹。彼にとって初となる写真集「葉山侑樹 1st写真集 蒼穹(そうきゅう)」)』が、3月14日に発売された。


【画像】葉山侑樹、撮り下ろし写真&写真集収録カット


 歴史あるスーパー戦隊シリーズに出演し、ヒーローショーで視聴者の子どもたちの声援を耳にしたことは俳優としての意識を大きく変えたという。今回のインタビューでは『爆上戦隊ブンブンジャー』(以下、『ブンブンジャー』)の撮影を通して変化した俳優観、その経験を経て大きく成長した自身の姿が収められた写真集について語った。


◾️戦隊シリーズの撮影で得たもの


ーー子ども向けの特撮作品に出演されると「子どもたちが見ているからこそ、この役を一生背負っていかなければならない」という意識を持つようになった、とお話しされる俳優の方々が多い印象があります。葉山さんはヒーローを演じられて、その点はどのように意識していましたか?


葉山侑樹(以下、葉山):役が決まったときは、あまり意識していませんでした。正直にいえば、その頃は自分がヒーローになることの重大さ……というか、その意味を理解していなかったんです。


 作品が放送されるようになると街中で声をかけていただくことが増えたのですが、僕の名前ではなく「シャーシロー!」と(ブンブンジャーの)役名で声をかけていただくようになったんです。ヒーローショーに出演させていただいた時も、子どもたちが「頑張れー!」と声援をくれました。僕も子どもの頃は戦隊ものが大好きだったので、そんな子どもたちの姿を見て、『昔の自分も、きっとこうだったんだろうな』と感じました。その声を聞くことで「今、子供たちにとって自分は『葉山侑樹』じゃなくて、『シャーシロ』なんだな」と、ヒーローであることの重大さを実感しました。


ーーそういった責任感を持つこと、また1年間で同じ作品を制作していくことで、仕事観は変化しましたか?


葉山:成長を実感したことで言えば、制作部のスタッフの皆さん、撮影以外でも現場に関わるすべてのスタッフさんに、感謝の気持ちやリスペクトを持つことの意味をしっかりと知ることができた一年でした。


 たとえば、ロケに行ってお水が用意してあるのは当たり前じゃないし、お弁当だってお昼になれば並んでるけれど、それはスタッフの方々が用意してくださっているからあるわけで。撮影のためのロケ地だって、僕ひとりでは何も調べることができない。スタッフさんに感謝すること、そしてリスペクトを持って仕事をしていくことがどれだけ大事なことなのか。お芝居の技術とかではなく、それをしっかり理解できたことが自分にとって大きな学びでした。


ーー改めて学ばれたと。


葉山:そうですね。より引き締まった気持ちで撮影に臨むようになりました。たとえば、NGテイクは簡単に出していいものじゃないということを強く意識するようになり、一発目で良いカットが撮れるように集中するようになったり…。


ーー撮影現場では、何度もテイクを重ねて良いシーンを撮っていく、というイメージを持っていたので意外でした。


葉山:もちろんそういうシーンもありますが、基本的に、撮影現場では時間が限られているので、一つ一つのシーンに時間をかけすぎるわけにはいかないんです。特に、自分ひとりだけのシーンなら最初の一回でいいものを出せるならそれに越したことはない。NGを出すたびに照明さんが動かなくてはいけないし、カメラマンさんも画角を調整してくださる。どのようにスタッフの皆さんが動いているのかを知ることで、NGは簡単に出してはいけないという意識を持って、現場に臨むようになりました。


ーーそういうことを意識するようになるということは、『ブンブンジャー』の撮影現場は、スタッフの方々の動きが見えやすい現場だったのでしょうか。


葉山:スタッフさんの動きがよく見える環境だったということもありますが、僕の場合は、先輩の役者の方々が直接教えていただいたことが大きいです。『ブンブンジャー』ではキャストの中でも僕は年下だったこともあり、先輩方から色んなことを教えてもらいました。もちろん以前からスタッフさんが動いてくださっていることは分かっていたつもりでしたが、「すべては当たり前じゃないんだよ」と言葉にして伝えてくださったことで、実際にどのように当たり前ではないのかということを分かるようになりました。


◾️「ちょっと背伸びしている自分」も含めて、一つの等身大の姿


ーー今回発売された写真集は「等身大」がテーマですね。特にどのページが、自分らしさが出ていると思いますか?


葉山:表紙のカバーを外すと見られるカットがあるのですが、それは「等身大の自分」というコンセプトにすごく合っていると感じています。


 今回の写真集のタイトルにはいくつかの候補があって、その中から『蒼穹(そうきゅう)』を選んだのですが、その決め手になったのが、このカットなんです。真っ青な空が大きく映っていて、その中で僕が振り返っている。カッコつけているわけでもなく、自然な表情で笑っていて、リアルな感じが出ているので、お気に入りのカットです。


ーー「等身大」がテーマですが、ご自身で思う「葉山侑樹の等身大」のイメージはどんなものですか?


葉山:僕は無意識のうちに「良くしなきゃ」と自分を追い込んでしまうところがあって、ついカッコつけてしまうんです。今回の写真集では、そういう「ちょっと背伸びしている自分」も含めて、一つの等身大の姿として収録されています。


 表情をキメているカットもあれば、趣味に没頭しているカットや、素で笑っているカットもある。仕事モードでいるときの自分も、油断した表情でいる自分も、どちらも僕だと思っていて。全部ひっくるめて「等身大の自分」だと思っています。


ーー 役柄のイメージが先行して、素の葉山さんもクールな方と思っているファンも多いかと思います。


葉山:最初は、「近寄りがたい」と言われることもありますね(笑)。実は初対面の人に自分から話しかけるのがあまり得意じゃなくて。無意識のうちに警戒心を漂わせているのかもしれません。


 でも、本当は人と話すのが好きなんです。撮影現場でも役者仲間の方の話を聞かせてもらうと、すごく面白くて。いろんな考え方があるし「取り入れてみよう」と思うこともあって、本当はもっと人と話したいと思っています。ボケるのも大好きですし、他愛のない話をするのも好きなので…実は、人と会話するのが大好きな人間です(笑)。


◾️今の原動力は「お芝居が好き」


ーー戦隊作品への出演を経て、俳優としての道がさらに広がっているように感じます。今後、どのようなキャリアを描いていきたいですか?


葉山:俳優をやっているので「こんな作品に出てみたい」「この役をやりたい」という願望はもちろんあるのですが、その願望以上に、僕はお芝居が好きなんですよね。純粋にお芝居が好きだからやっていて、今回でいえば『ブンブンジャー』という作品に出会い、出演することでまた新たな俳優像が見えてきました。


周りの人たちが『俳優として賞を取りたい』と言っているのを聞いても、正直に言えばあまり僕にはまだあまりピンときていなくて、もちろん評価されることは大切だとは思いますが、今の僕は、役を演じることそのものが原動力になっていると感じます。


ーーでは「こんな作品に出てみたい」「この役をやりたい」以外で、俳優としての目標はありますか?


葉山:僕は19歳の時に『タイタニック』の映画を観て、本気で役者になろうと決めたんです。もちろんストーリーやお芝居、セリフにも感動したんですけど、それ以上に主人公が三時間を通して本当に”生きている”と感じたんです。言葉にするのは難しいんですけど、彼の生き方がすごく素敵で、それを観たことで、なんだか人生が楽しくなったんですよ。「こういう生き方もあるんだ」って。僕もそういう風に思ってもらえるお芝居がしたいなと思っています。


ーー『タイタニック』といえば、若き日のディカプリオの美貌が話題に上がることも多いですが、葉山さんが惹かれたのはジャックというキャラクターそのものだったんですね。


葉山:そうですね。主人公のジャックはお金も家もないのに、三時間の物語の中でずっと全力で人生を生きているんです。上流階級の女性に本気で恋をしたり、賭けで勝ったから勢いで豪華客船に乗ったり。あのジャックの姿を見て「今、生きているこの人生って素敵なものなんだな」と思えたんです。だから「ディカプリオだから」とか「イケメンだから」ということだけではなく、ジャックというキャラクターの生き方に心を打たれました。


 最初に観たのは、役者を志したばかりの頃で、母にすすめられて観たんです。それまで映画をあまり観る習慣がなかったんですが、「いろいろ観た方がいいな」と思って、出会いました。当時は俳優として明確な目標を持っていなかったんですが『タイタニック』と出会って、「ああ、こういう生き方ができるんだ」と感じて、役者という道を本気で目指すようになりました。だから、僕も自分の演じる役を通して、誰かに元気や勇気を与えられること、それが一番の目標ですね。


(文=リアルサウンドブック編集部)



    ランキングエンタメ

    前日のランキングへ

    ニュース設定