
3月20日、サッカー日本代表がFIFAワールドカップ2026アジア最終予選でバーレーン代表と対戦。2-0で勝ち、6勝1分でグループCの2位以内が確定。8大会連続8回目のワールドカップ出場を決めた。
W杯出場を決めた日本代表
「バーレーン戦は“引き分け以上”の結果でワールドカップ本戦出場が確定した試合。開始早々にゴールネットを揺らしましたが、VARによってハンドの判定となりゴール取り消し。その後は堅い守りのバーレーン相手に攻めあぐね、なかなかシュートも打てない展開に。現在の代表選手はそのほとんどがヨーロッパのリーグで戦っており、長距離移動でコンディションが良くなさそうな選手も多かったですね」(サッカーライター)
しかし後半、イングランド・プレミアリーグの『クリスタル・パレス』所属の鎌田大地のゴールで先制。その後、スペインリーグ『レアル・ソシエダ』所属の久保建英のゴールで勝利を確定的なものにした。
「最終予選も圧倒的なスコアで相手を下してきた日本代表。バーレーン戦は少々苦戦しましたが、結果的には完勝。ゴールが奪えず勝利に向けて嫌な展開だった中、鎌田選手はわざとボールをバウンドさせるテクニカルなシュート。追加点の久保選手も自身のコーナーからキーパーの意表を突いた狭い空間を射抜いた。今の日本代表は“史上最強”という呼び声がありますが、それにふさわしい得点、勝利だったと思います」(同・サッカーライター、以下同)
日本代表史上最速、全世界で見ても“世界最速”でのワールドカップ予選を突破。その勝利、強さを称賛する報道が多数を占めたが、一部ネガティブなものも。視聴率についてだ。
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「サッカーvs野球の構図で煽りたいメディアは昔から少なくないですが、今回も視聴率を題材に“大谷フィーバーには敵わず”など……。ほぼ同じ時期に大谷翔平選手がドジャースの一員として来日し、開幕戦を戦ったので、比較したい気持ちもわからなくはないですが」
日本テレビが18日に中継した大谷出場の開幕戦の平均世帯視聴率は31・2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。瞬間最高視聴率は大谷が勝ち越しのホームを踏んだあたりで35・7%だった。
一方、テレビ朝日の中継だったバーレーン戦は、平均世帯視聴率が21・7%(同)、瞬間最高視聴率は26・6%。
「バーレーン戦はスポーツ専門の『DAZN』でも配信されており、騒がしすぎるなどを理由に地上波放送を嫌うサッカーファンも少なくない。ほとんど日本で試合をすることがない大谷選手と、ワールドカップ予選突破がかかっているとはいえ、たびたび試合をしているサッカー日本代表の比較は難しいというか、無意味。もちろんサッカー協会関係者などは、より多くの人に見てもらいたいと願っているでしょうが」
ネガティブな意見も
一方で一部サッカーファンには、狂信的な野球ファンと同様(?)なネガティブな意見を持つ者も。
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「ひと言でいえば、“強すぎる”ということでしょうか。古くはギリギリで予選突破を逃した『ドーハの悲劇』、続いてギリギリで出場権を獲得した『ジョホールバル』。そこからほぼすべての選手が国内のJリーグで戦っていた時代から、中田英寿選手を筆頭に海外リーグでの活躍。'02年の日本開催のワールドカップで初めての予選リーグ突破。ジーコ監督時代の不満。オシム監督への期待と予期せぬ監督交代劇。本田圭佑選手の躍進……。史上最強に至るまでの日本代表はサッカー後進国から弱小国、中堅国への成長と、浮き沈みが非常に多かった」
現在、サッカー日本代表は世界ランキングで15位。ワールドカップではベスト8の壁を破ることはできていないが、9割のメンバーが海外クラブ所属で、遠藤航や伊藤洋輝など世界的に見ても、“トップオブザトップ”のクラブに所属する選手もいる。
「“もうずっと楽勝だから予選も昔と比べて面白くないな”という人は確かにいますね。“ドラマがない”と……。日本人には判官贔屓な人も少なくないので。少し前まで日本のワールドカップ予選は“ここで勝たないと……”、“ここで負けたら……”という手に汗を握らざるをえない展開、試合が多かった。現在の日本代表のワールドカップ予選は大差に次ぐ大差、連勝に次ぐ連勝。選手は強くなることを求め、ファンもそれを求めている人が多数のはず」
盛り上がりに欠ける状況を生む、外的要因も。
「今回のバーレーン戦のようにワールドカップ最終予選は、国内で行われるホーム開催は当然、地上波中継がありましたが、国外のアウェイ開催の試合は放映がなくなった。これはサッカー人気が低いというより、放映権料の値上がり、正確には代理店による釣り上げがあり、日本のテレビ局の採算が合わなかったから」
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サッカーvs野球の“対立”の構図は続くだろうが、大谷はサッカー日本代表の予選突破をインスタグラムのストーリーズで祝福。一方、久保や堂安律はメディアの取材に対し、大谷の活躍を称賛している。
当事者たちは皆、それぞれのスポーツを楽しんでいるのだが……。