首相官邸に入る石破茂首相=25日、東京・永田町 石破茂首相は26日、国賓として来日したブラジルのルラ大統領と会談する。気候変動問題で緊密な連携を確認。今後5年間の経済、安全保障両面の協力を定めるアクションプラン(行動計画)を策定し、2年に1回の首脳相互訪問を明記する方向だ。
林芳正官房長官は25日の記者会見で「ブラジルはわが国にとってグローバル課題解決の責任を共有するパートナーだ」と強調した。
ブラジルは、中国やロシアが接近を図るグローバルサウス(新興・途上国)の代表的存在だ。米国のトランプ政権が自国第一外交に傾斜する中、首相はルラ氏と法の支配など普遍的な価値を共有し、国際秩序の安定につなげたい考え。日本が先進国とグローバルサウスの橋渡し役となることで存在感を示す狙いがある。
近年、ブラジルでは大規模洪水や干ばつなど自然災害の被害が拡大し、ルラ氏は気候変動対策を重視している。こうした状況も踏まえ、行動計画にはアマゾンの熱帯雨林保護や脱炭素化など幅広い協力を盛り込む見通し。
外交・安全保障分野では首脳の定期往来を実現するのに加え、外相会談を「戦略対話」に格上げする。国連安全保障理事会の議席拡大など、国際社会の課題に協調して取り組む姿勢を打ち出す。
日本が国賓として外国首脳を招いたのは、新型コロナウイルス禍前の2019年のトランプ大統領(第1次政権)以来。