2025年F1第2戦中国GP リアム・ローソン&マックス・フェルスタッペン(レッドブル) レッドブルが次のF1第3戦日本GPから角田裕毅(レーシングブルズ)を起用することを検討しているというニュースが国内外で続々と報じられている。
この件に関してレッドブルはまだ何も発表していないだけでなく、第2戦中国GPのレース後の囲み取材でもクリスチャン・ホーナー代表はこう言って、過熱する報道を牽制していた。
「(ドライバーの)変更についてコメントするつもりはない。なぜなら、それが(翌日のニュースの)ヘッドラインになるからね。いいかい、シーズンはまだ開幕して2戦を終えたばかり。リアム(・ローソン)には、まだ可能性がある。ただ、今はまだそれに気づいていないだけだ。彼にとっての問題は、ここ数週間、本当に厳しい週末が続いていること。そのため、メディアから大きな注目を浴びていることだ。この業界ではプレッシャーがどんどん大きくなると、とてもつらい状況に陥る。2レースのデータをよく検証して、リアムと協力し、できる限りのサポートをしていくつもりだ」
この言葉だけを聞くと、レッドブルが今後もローソンをサポートしていくように思えるが、囲み取材をしていたメディアがそう受け取らなかったのは、次のようなやりとりがあったからだと思われる。
▼2025年中国GP後記者:「ローソンをサポートするが、日本GPに乗せることは決定していない?」
ホーナー:「まだ2レースが終わったところだ。我々は今、中国GPのレースを終えたばかり。このレースで得た情報を持ち帰り、検討するつもりだ」
つまり、ホーナーはローソンを日本GPで走らせることを確約しなかった。さらにこんなやりとりもあった。
記者:「中国GPでの角田の走りには感銘を受けましたか?」
ホーナー:「そうだね。裕毅は経験豊富なドライバーで、素晴らしい仕事ぶりだった。今日の戦略とフロントウイングの問題については、私が見る限りでは不運だったと思う。彼は、先週末もいい仕事をしていた。またチームメイトのアイザックもよかった。ルーキーとしては非常に力強い週末だったと思う」
記者:「ふたりの走りをどう分析しますか? 特に裕毅の昨年のテスト結果をチェックしますか?」
ホーナー:「データを分析すると思う。我々のチームには400人のエンジニアがおり、彼らは600個の車載センサーからデータを収集している。我々には膨大な情報がある」
ホーナーは角田を日本GPから起用することを否定しなかっただけでなく、角田のデータを分析すると語った。
この質疑応答は、昨年の最終戦アブダビGP後の囲みの際に、セルジオ・ペレスの去就について行われた次のようなやりとりと酷似していた。
▼2024年アブダビGP後記者:「ペレスのシートは、これからどうなりますか?」
ホーナー:「チェコは間違いなく、チームのために本当に多くのことを成し遂げてくれた。これから彼とチームの間で、これから話し合いが行われるだろう。私たちは彼と腰を据えて話し合い、今シーズンを振り返り、明らかにどこで間違ったのかを振り返り、そして、今後どうすべきか、正しい方法、適切な方法を一緒に考えることにしている」
記者:「ペレスの後任は?」
ホーナー:「多くの憶測があることは知っている」
記者:「来年もペレスがレッドブルにとどまるというシナリオはありますか?」
ホーナー:「彼は『まだ』我々のドライバーだ。だから、我々と話し合って、今年を振り返り、チームとして検討するまでは、来年のことをあれこれ推測するのは間違っている」
記者:「角田とローソンについては?」
ホーナー:「リアムは厳しい状況のなかで、本当によくやっていると思う。 彼がこれまでやってきたこと、与えられた時間、レースペースを分析すれば、彼は良い仕事をしていると。裕毅もいい仕事をしていると思う。もちろん、チェコも候補のひとりだ。とにかくいまはチェコと座って話し合い、この1年を振り返ることが先決。それまでは、そのこと(レッドブルのふたつ目のシート)についてコメントするのは不適切だろう」
昨年のアブダビGP後の囲みでホーナーはペレス離脱を否定しなかった。そしてその後、チームはペレスの対談を発表。それから3カ月後の中国GPでもホーナーはローソンに関しては「検討する」と語り、離脱を否定しなかった。
果たして、レッドブルはファクトリーでトライバーたちのデータをどのように分析し、結論を出すのか。その答えはもうすぐ出る。
[オートスポーツweb 2025年03月26日]